インタビュー

脳梗塞の症状-初期症状を見逃さないために知っておくべきこと!

脳梗塞の症状-初期症状を見逃さないために知っておくべきこと!
瀧澤 俊也 先生

神奈川リハビリテーション病院 脳神経センター長、東海大学 医学部内科学系神経内科学 所属主任教...

瀧澤 俊也 先生

この記事の最終更新は2016年03月14日です。

脳梗塞を発症すると脳に血液が行き渡らなくなり、脳の組織が壊死を起こしてしまうため、初期症状を見逃さず一刻も早く治療を受けることが大切です。また、どの血管が詰まるかによって脳が損傷を受ける部位が異なり、失われる機能にも違いがあります。東海大学医学部付属病院神経内科領域主任教授・診療科長であり、東海大学総合医科学研究所の所長を務めておられる瀧澤俊也先生に脳梗塞の症状についてお話をうかがいました。

「ACT-FAST」とは、脳梗塞が疑われるときにできるだけ早く気づいて行動するための取り組みです。

チェック方法:笑顔をつくる

症状:顔の片側が下がる・ゆがみがある

チェック方法:目を閉じて胸の前に両腕を伸ばし、手のひらを上にして5秒間キープする

症状:片方だけ落ちたり上がらなかったりする

チェック方法:簡単な質問をして答えてもらう・簡単な言葉を言ってもらう

症状:滑舌が悪い・ろれつが回らない・言葉が出てこない

上記のような症状があったときは、症状が出始めた時間を記録しておき、すぐに救急車を呼びましょう。治療は早ければ早いほど、その後の経過がよくなります。

脳梗塞で損傷を受けた脳の部位によって症状に違いがあります。前大脳動脈では脚の麻痺が多く、顔や舌の麻痺はあまりみられません。中大脳動脈では手の麻痺が強く、言葉にも障害が出るといわれています。また、後大脳動脈では物が見えないなど、おのおの症状が異なります。

  • 下肢優位の運動感覚障害
  • 顔面と舌は麻痺を免れることが多い
  • 活動性や発話の自発性の低下
  • 課題を持続出来ない無為(abulia)
  • 古典的記載では、尿失禁
  • 対側の顔面、上肢優位の運動感覚障害
  • 対側の同名性半盲
  • 病巣への共同偏視
  • 左大脳半球であれば失語をきたす
  • 左大脳半球後方(角回・縁上回)ではゲルストマン症候群(失書、失算、手指失認、左右弁別障害)
  • 右大脳半球であれば、視覚空間認知障害・構成失行・病態失認
  • 対側の半盲をきたす
  • 左半球では失書を伴わない失読(alexia without agraphia)・失読失書(alexia with agraphia)・錯読・健忘
  • 右半球では構成失行・地誌的見当障害
  • 両側後頭葉では、本人が見えていないことを自覚しないAnton徴候

ラクナ梗塞は細い血管が詰まって1.5cm未満の小さい梗塞が起こるタイプです。したがって、運動麻痺のみ、感覚の麻痺のみ、言葉がうまくしゃべれないだけで他に異常がないといった、限局的な症状である場合が多くみられます。しかし、心原性脳塞栓症やアテローム血栓性塞栓症など梗塞が大きいものは麻痺も強く、意識障害(ぼーっとしている・言っていることがわからない)や失語(言葉が理解できない)など、脳の皮質にかかわる障害が疑われる症状があります。

一過性脳虚血発作TIA)は、しばらくすると症状がおさまるため、医療機関を受診せずそのまま放置されることがあります。しかし狭心症心筋梗塞の関係と同様に、TIAを発症した方は一定の割合でその後に脳梗塞を起こします。したがって、TIAと急性脳梗塞は一連の病態として扱われ、区別することなく治療することが必要であると考えられます。

TIA発症後90日以内の脳卒中発症危険度は15〜20%といわれており、また脳梗塞発症例の約半数はTIA発作から48時間以内に発症しています。しかしご高齢の方の場合は、近隣の方に知られて大ごとになることを好まないため、いったん症状がおさまってしまうと救急車を呼ばないことが多く、早急な受診を呼びかけてもなかなか効果が上がりません。

そこで最近では、お孫さんの世代にあたる若い方たちに対する教育・周知活動が重視されています。中高生など学生の方を対象に、おじいちゃん・おばあちゃんに麻痺などの異常があったときにはすぐに救急車を呼ぶようにしましょうというキャンペーンを行っています。

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  • 神奈川リハビリテーション病院 脳神経センター長、東海大学 医学部内科学系神経内科学 所属主任教授、東海大学総合医科学研究所 所長

    瀧澤 俊也 先生

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周辺で脳梗塞の実績がある医師

東京女子医科大学 脳神経外科学講座 教授・講座主任

かわまた たかかず

内科、血液内科、膠原病リウマチ内科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、消化器内科、内視鏡内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科、人工透析内科、脳神経内科、内分泌外科、放射線診断科、精神神経科、総合診療科、病理診断科

東京都新宿区河田町8-1

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総合東京病院 院長

わたなべ さだよし
渡邉先生の医療記事

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内科、血液内科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、ペインクリニック科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、代謝内科、脳神経内科、血管外科、放射線診断科、放射線治療科

東京都中野区江古田3丁目15-2

都営大江戸線「新江古田」 徒歩10分、西武新宿線「沼袋」 徒歩15分、JR中央・総武線「中野」関東バス 中27 総合東京病院下車すぐ  京王バス 中92 浄風園前下車 徒歩3分 バス

新座志木中央総合病院 部長、脳卒中・血管内治療センター長、佐々総合病院 非常勤、メディカルスキャニング浜松町 非常勤

おくむら ひろたか
奥村先生の医療記事

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内科、外科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産科、婦人科、リハビリテーション科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、脳神経内科、肛門外科、放射線診断科、児童精神科、総合診療科、産婦人科、救急科

東京都西東京市田無町4丁目24-15

西武新宿線「田無」北口 徒歩3分、西武池袋線「ひばりヶ丘」西武バス 境03、境05、田42系統 田無駅下車 徒歩3分   バス、JR中央線(快速)「武蔵境」西武バス 境03、境04、境07系統 田無駅下車 徒歩3分 バス

東京都済生会中央病院 院長補佐、脳神経内科 部長、脳卒中センター長

おおき こういち

内科、血液内科、リウマチ・膠原病内科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科

東京都港区三田1丁目4-17

都営大江戸線「赤羽橋」赤羽橋口 徒歩3分、都営三田線「芝公園」A2出口 徒歩8分

昭和大学 医学部脳神経外科学講座 教授

みずたに とおる
水谷先生の医療記事

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内科、アレルギー科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、腫瘍内科、感染症内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科、放射線治療科、頭頸部外科、精神神経科、病理診断科

東京都品川区旗の台1丁目5-8

東急大井町線「旗の台」 徒歩5分

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