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脳梗塞治療後のリハビリテーションと再発予防

脳梗塞治療後のリハビリテーションと再発予防
メディカルノート編集部 [医師監修]

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脳梗塞(のうこうそく)は、治療が終わった後もリハビリテーションや再発予防に長く取り組む必要がある病気です。どのような目的でリハビリテーションを行うのか、再発を予防するためにはどのようなことに気を付ければよいのかについて解説します。

“リハビリテーション”は病気やけがなどによって受けた障害に対して、日常生活が快適に送れるように、また社会復帰のために行う訓練のことをいいます。

私たちの体は動かさないでいる期間が続くと、関節が硬くなったり、筋力が衰えたりして、すぐに不具合が起こってしまいます。早期より適切なリハビリテーションを行うことで、再発の予防やリスク管理、障害の程度を最小限にとどめることができます。

障害を受けると、身体的にも精神的にもさまざまな影響を受けることになります。そのためリハビリテーションでは、精神面も含めたアプローチが必要となります。リハビリテーションには医師や看護師だけではなく理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療相談員、管理栄養士、臨床心理士など多くの職種が携わり、患者さん一人ひとりに合わせたプログラムに沿って、在宅・社会復帰に向けたサポートを行います。

特に急性期から生活期までの間を指す“回復期”での集中的なリハビリテーションが重要視されています。

急性期治療後、患者さんに残ることが多い後遺症は以下のとおりです。

  • 片方の手や足が麻痺して動かなくなる
  • 言葉が話しづらくなる
  • 食物がうまく飲み込めなくなる
  • 服を着るなどの今までできていた行為の手順が分からない
  • 同名半盲(両目ともに同じ側面の視野が欠ける)
  • 高次脳機能障害(空間認識などに障害が生じる)

脳梗塞は治療を行った後も再発しやすいといわれています。

2005年に発表された国内の大規模研究では、治療10年後の脳梗塞再発率は約47%~75%と高い数字が報告されました。

もともと脳梗塞は、心房細動不整脈高血圧糖尿病脂質異常症などの基礎疾患(もともと持っている病気)が原因となって起こる病気です。

そのため、治療によって脳梗塞そのものが治っても、基礎疾患がある限り再び脳梗塞になる可能性は続くと考えられます。

治療後も同様で、以下のような方は脳梗塞の再発の危険性が高いと考えられます。

  • 血圧が高い
  • 生活習慣病(糖尿病、脂質異常症)がある
  • 心房細動や不整脈がある
  • 日常的にたばこを吸う
  • 高齢である
  • 男性(女性のほうがリスクが高いタイプもあります)

年齢や性別など、なかには治療のしようがないような再発の原因もあります。このことは常に頭にいれておくべきだと考えますし、だからこそ治療後も是正できるところについては再発予防を意識的に行う必要があるのです。

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しっかりと血圧を管理する

高血圧は再発リスクを高める要因になるため、普段から血圧が高くならないように気を付けて生活する必要があります。

血圧を上げないためには、食事の塩分制限と適度な運動が必須となります。

なかには「塩分の量といわれてもピンと来ない」といった方もいらっしゃいますので、そのような方には「体重を今から〇kg減らしましょう」とお話ししています。体重を減らすためには食事管理と運動が必要になり、メタボリックシンドロームの解消は血圧を低下させます。

日常的に料理をしない方には、塩分の量よりも体重でご説明したほうが理解していただきやすい場合があるのです。

睡眠不足に注意する

睡眠不足も高血圧の原因となります。規則正しい生活を送るよう、心がけましょう。

飲酒はほどほどに

断酒する必要はありませんが、飲み過ぎには注意しましょう。

全てを我慢することよりも、適量で楽しみながら、再発予防と長く付き合うことが大切だと考えます。

基本的に服用する薬

抗血栓薬(血栓が再発しないようにする薬)、胃腸薬(消化管出血による貧血を防ぐ薬)は術後も内服を続けていただきます。また、血圧管理も並行して行います。

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患者さんの状態に応じて服用する薬

患者さんの持つ病気や体調によって、高血圧・糖尿病・脂質異常症に対する治療薬を投与します。

再発予防治療の期間について

脳梗塞は、手術の後も長く付き合っていく必要がある病気です。

再発予防のための薬は将来的に減量することもありますが、リスクを考慮し、基本的には完全になくなることはありません。生涯にわたって薬物療法を行いながら、基礎疾患をきちんと管理していくことが必要です。「治療を続けることで病気とうまく付き合っていく」という考えを持ちましょう。

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