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心房細動の症状や合併症について

心房細動の症状や合併症について
北井 敬之 先生

医療法人札幌ハートセンター札幌心臓血管クリニック 循環器内科

北井 敬之 先生

目次
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心房細動は誰にでも起こり得るもので、特に加齢に伴って増加していきます。そのため、自覚症状が出てもご本人が加齢による症状と判断して医療機関を受診せず、心房細動があると気付かれない場合もあります。今回は、心房細動の症状や放置した場合の合併症などについて、札幌心臓血管クリニックの北井(きたい) 敬之(たかゆき)先生にお話を伺いました。

心房細動の症状としてまず挙げられるのは、動悸や息苦しさです。これは心室が速く動くことによって脈が非常に速く打つ、頻脈によって引き起こされる症状です。安静にしているときや就寝時などに突如胸が苦しくなり、場合によっては胸の痛みを伴うこともあります。動悸などの症状は、発作性心房細動で特に強く現れる症状だといわれています。また、頻脈だけでなく脈が不規則に打つ(脈が飛ぶ)、脈がゆっくり打つ(徐脈)という場合や頻脈と徐脈の両者が現れることもあります。頻脈の後に徐脈となったときにはめまいやふらつきを伴ったり、ひどい場合には失神したりする方もいらっしゃるため注意が必要です。

一方で、心房細動が起こる方のうち、およそ4割は自覚症状がないという研究結果が出ています。安静時の心拍数が1分間に80回以下であれば、運動や仕事において不自由を感じることは少ないようです。

心房細動自体は、死に直結するものではありません。また、自覚症状がない方もいらっしゃいます。しかし、だからといって心房細動を放置していると、生活の質(QOL)や命に関わる合併症を引き起こす可能性もあるのです。心房細動が引き起こし得る合併症には、以下が挙げられます。

心房細動でもっとも気を付けるべき合併症は、脳梗塞です。心房細動がある方は、ない方と比較しておよそ5倍も脳梗塞を発症する確率が高まるといわれています。

心房細動は、本来規則正しく収縮するはずの心房がけいれんしたように震え、不規則な収縮になります。すると血流が遅くなり、血液のよどみが生まれやすくなります。そのため、心房細動が起こる方は心房内に血栓ができやすいのです。さらに、もともと心房には左心耳(さしんじ)と呼ばれる血液が停滞しやすい作りになっている部分があります。心房細動の方の心房内血栓は、約9割がこの左心耳にできるといわれています。

そして、血栓が心房の壁から剥がれ、血流にのって体内をめぐり脳の血管を塞いでしまうことで、脳梗塞となります。脳梗塞は脳細胞に血液を送り込むための血管が詰まり、脳細胞に血液を供給できなくなることで脳細胞が破壊される病気で、発症すると麻痺や言語障害などの後遺症が残る可能性や最悪の場合には死に至ります。

心臓でできた血栓が脳へと運ばれて起こる脳梗塞(心原性脳塞栓症)は、動脈硬化などの進行によって起こる脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞)や脳の深い部分にある多数の細い血管が詰まる脳梗塞(ラクナ梗塞)と比較しても、突如大きな血管が詰まるため影響を及ぼす範囲が多く重症化しやすいといわれています。

人間の心臓は、一生の間に動く回数が決まっているといわれています。そのため、心房細動によって心臓が速く動いてしまうとその分、弱るのも早くなってしまいます。1分間に140回以上脈を打つ状態が長期間持続すると、心不全になる可能性が高まります。

心不全は心臓のはたらきが悪くなることで、疲れやすさやだるさ、息苦しさなど多様な症状を呈する状態を指します。必ずしも命の危険が伴うものではありませんが、生活の質に大きな影響を及ぼし、入院加療が必要となる場合もあります。

こうした合併症を防ぐためには心房細動の治療が重要となりますが、特に自覚症状が出ない方に関しては、どのように心房細動が発見されるのでしょうか。

心房細動を発見する方法は、発作性のものか持続性のものかによって少し異なります。持続性の方は、心房細動の状態が長く続いているため、定期的な通院もしくは健康診断などで心電図をとれば発見できる可能性が高いといえます。当院で行う市民講座では、年に1回は心電図をとるよう市民の方々に呼びかけています。

一方、症状がある発作性の心房細動の場合、発作が起きている(症状がある)ときに心電図をとらないと心房細動を検知することができません。発作性の心房細動は短い場合では数時間しか持続しないため、症状が出たそのときに病院に来ていただいても、検査をするタイミングでは治まってしまっているという場合があります。従来、ホルター心電図(24時間心電図)を用いて不整脈の検出を試みてきましたが、1日つけるだけで不整脈が見つかる可能性は残念ながら高くはありません。そのような方のため、当院では小型の心電計(イベントレコーダー)を貸し出して心電図を記録してもらうようにしています。貸し出しの期間はさまざまで、発作が頻繁に起こらない方もいるため、3日間~1週間単位での貸し出しを行い、不整脈の発見に努めています。

前ページでも触れたとおり、心房細動のリスクを高める要因はすでにいくつか分かってきています。そのため、排除が可能な要因については、それらを排除することで心房細動になるリスクを下げることができます。具体的には、禁煙を行う、飲酒量を抑える、肥満を解消する、血圧や血糖値を適正に保つ、といったことが挙げられます。つまり、生活習慣の改善が心房細動の予防につながるといえます。

また、早期発見のためには常に自分の体の状態を知っておくことが重要です。たとえば毎日脈を測ることで、自覚症状がない方でも異変に気付くことができます。現在販売されている家庭用血圧計のなかには、血圧を測ると同時に脈拍が計測できるものがあるため、そうしたデバイスを用いることも効果的だといえるでしょう。

心房細動は、それ自体が命を脅かすことは少ないです。しかし、放置することで心不全脳梗塞などになる方もいらっしゃいます。早めに発見して治療を行うことで、それらの合併症は十分防ぐことができます。健康診断を毎年きちんと受ける、かかりつけ医がいる場合には年に1度は心電図をとってもらうようにするなどして、なるべく早めに発見できるようにしましょう。

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