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脳梗塞、脳出血、脳動脈瘤…脳外科手術の種類や術式について

脳梗塞、脳出血、脳動脈瘤…脳外科手術の種類や術式について
廣田 暢夫 先生

横須賀市立うわまち病院 脳神経外科

廣田 暢夫 先生

脳梗塞や脳内出血、脳動脈瘤などは、脳外科手術によって治療が可能です。近年、カテーテル治療の発達により、脳外科手術の技術や質は大きく変わりつつあります。本記事では横須賀市立うわまち病院の脳外科専門医 広田暢夫先生に、脳外科手術の方法や、脳外科手術をより安心・安全に行うことを目指した取り組みを伺いました。

脳外科手術とは

脳・脊髄・末梢神経系の疾患を手術で治療すること

手術

脳外科手術とは、脳神経外科医が担当する領域であり、脳や脊髄、神経といった神経系全般の疾患に対して、外科的治療法を行うことを指します。疾患や病態によっては手術療法のみでしか患者さんの命を救うことができないケースもあり、患者さんの一生を左右する可能性の大きい治療法といえます。手術療法の進歩により、従来手術方法がなかった疾患が手術で治療可能になったものもあり、脳外科手術の対象となる疾患は増えてきています。

脳外科手術の対象となる主な疾患

脳

脳外科手術は主にどのような疾患に対して行われるのでしょうか。日本脳神経外科学会広報委員会および日本脳神経外科コングレスが合同で作成した、「脳神経外科疾患情報ページ」では、脳神経外科疾患として下記が紹介されています。

脳血管障害

脳梗塞

・頸部頸動脈狭窄症

・くも膜下出血

・未破裂脳動脈瘤

・もやもや病

脳腫瘍

・髄膜腫

・聴神経腫瘍

・下垂体腺腫

・頭蓋咽頭腫

・神経膠腫(グリオーマ)

・中枢神経系原発悪性リンパ腫

・髄芽腫

・頭蓋内胚細胞性腫瘍

・転移性脳腫瘍

頭部外傷

・急性硬膜外血腫

・急性硬膜下血腫

・慢性硬膜下血腫

脊髄疾患

・頚椎ヘルニア

・脊椎腫瘍

機能性脳疾患

・てんかん

・パーキンソン病

・ジストニア

・顔面痙攣

・三叉神経痛

小児脳神経外科疾患

・水頭症

・二分脊椎

・キアリ奇形

・Dandy-walker奇形

・頭蓋骨縫合早期癒合症

脳外科手術の対象疾患には「緊急性の高いもの」と「緊急性の低いもの」がある

脳外科手術というと、自宅などで倒れ、救急で病院に運び込まれ、昼夜を問わず緊急の手術が行われるイメージが強いと思います。たしかに、脳出血や脳梗塞の急性期などは、どれほど早く治療できるかで生存率や後遺症の程度が大きく変わるため、緊急の対応が求められます。

その一方で、そういった疾患と比べると手術の緊急性が低い脳神経外科疾患も多くあります。例えば脳腫瘍や脳動脈瘤、三叉神経痛や顔面けいれんなどは、いますぐ命に影響を及ぼす疾患ではありません。脳外科手術では緊急性の高い疾患だけではなく、こうした様々な脳の疾患も対象にしています。

脳外科手術の対象疾患には「緊急性の高いもの」と「緊急性の低いもの」がある

*三叉神経痛・顔面けいれんについてはこちらの記事2『顔が痛い、ピクピクする、けいれんする、は手術で治るケースも 三叉神経痛・顔面けいれん手術を脳外科医が紹介』をご覧ください。

主な脳外科手術の種類

実際に脳外科手術にはどのような手法があるのでしょうか。ここでは有名な脳外科手術を紹介します。

主な脳外科手術の種類

「よりよい脳外科手術」のために必要な医療体制

外科手術風景

24時間の治療体制で救急の手術に対応する

くも膜下出血や頭部外傷では、脳の血管が破れたり、頭蓋骨内の出血によって脳が圧迫されたり、脳の血管が詰まるなど、患者さんは非常に危険な状態にさらされています。そうした状態に一刻も早く対応するため、夜間であっても緊急手術が必要です。

カテーテル手術の技術は必須の時代

カテーテルとは、医療用に用いられるプラスチック製の管であり、体の中に差し込んで使用することで、体にメスを入れ開く手術に比べ、小さな傷口のみで外科治療を行うことができます。近年このカテーテル手術が進歩を続けており、脳外科手術の質が向上しています。よりよい治療を実現するためにこのようなカテーテル治療の技術の習得がどの病院にも求められています。

これからの脳梗塞治療では「血管内治療」が重要

近年、脳梗塞への血管内治療の重要性が示され、どの病院でも標準治療として行われることが求められつつあります。

脳血管内治療とは、脳の病気に対して、頭を開かずに、血管内からカテーテルを入れることで治療をする方法です。2016年に発表されたHERMESという研究では、この血管治療を行わない患者さんよりも、血管内治療を行った患者さんのほうが社会復帰率、自宅復帰率が向上したという試験結果が報告されました。この研究発表を受け、2016年11月に神戸で行われた第32回日本脳神経血管内治療学会学術総会では「脳梗塞に対する血管内治療の普及に関する学会宣言(神戸宣言)」が発表されました。そのため、各医療機関がよりよい治療を患者さんに提供するために血管内治療の普及を目指しています。

*Goyal M, et al. Lancet.2016.

横須賀市立うわまち病院 脳神経外科のとりくみ

広田先生

このような脳外科手術の体勢や技術が求められるなか、病院ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。一例として、横須賀市立うわまち病院 脳神経外科の取り組みをご紹介します。

脳外科医の充実で24時間体制を整える

当院には現在脳外科医が6名勤務しています。このように多くの脳外科医が勤務していることは、とても充実した体制だといえます。このような充実したマンパワーのおかげで、365日24時間体制で毎日脳外科医が対応できる体制が整い、常に患者さんを受け入れられるシステムを構築しています。

日本では、多忙な脳外科医は比較的希望者が少ないことから、脳外科医の医師不足が懸念されています。しかし、当院ではカテーテル手術など高度な医療を学びたいという若い医師や、中堅の先生を中心に人材が集まり、充実した体制を整えることができました。

こうした充実した体制を構築できることで、大きなキャパシティを確保でき、患者さんを常に受け入れることができています。そして治療経験を多く積むことで、私たちの技術もより磨かれていきます。そうすることで患者さんによりよい医療を提供できると考えています。

当院は脳血管内治療専門医・指導医がいる「指導施設」である

日本脳神経血管内治療学会という脳血管内治療(カテーテル治療)の学会では、脳神経血管内治療を専門とする優れた医師を「脳血管内治療専門医」と定めています。脳血管内治療専門医は、治療経験の審査、筆記試験、口頭試問、実技審査を通過してはじめて認定されます。さらに専門医のなかで審査を通過し定められた基準をクリアした医師は「指導医」になることができます。

脳血管内治療の指導医がいる医療施設は「脳血管内治療の指導施設」と定められ、脳血管内治療を積極的に行う治療体制が敷かれます。このような環境も、意欲の高い脳外科医が集まってくる要因の一つでしょう。

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