もやもやびょう

もやもや病

最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

もやもや病とは、脳の主要な血管のひとつである内頚動脈が、頭蓋内で時間をかけて徐々に狭くなり、その結果閉塞してしまう病気です。日本人に多い病気ですが、はっきりとした原因はわかっておらず、難病指定されています。

病気の初期では、内頸動脈から脳に供給される血液が足りなくなるため、手足のしびれや意識障害、麻痺(まひ)、言語障害、けいれんなどの症状が現れることがあります。病気が進行すると、閉塞した内頸動脈の端近くから、細い血管が数多く発生します。これらの血管は通常の血管よりも弱いため、脳出血を起こすことがあります。

原因

もやもや病が認知され始めた頃には、生まれつきの血管奇形によるものではないかと考えられていました。1980年代には、風邪など何らかの病気に感染することによって引き起こされる病気であるという説もありました。

現在は、もやもや病が疑われる患者さんのうち10%の方は家族のなかに発症者がいることや、アジア人のほうが多く発症することがわかっています。そこで、遺伝的な原因がある病気ではないかと考えられるようになってきています。しかし、いまだに明確な原因は解明されていません。

症状

子どもの場合は、

  • 熱い麺類を冷まそうと息を吹きかけたとき
  • 大声で泣いたとき
  • 笛などの吹奏楽器を演奏したとき

など、大きな呼吸を短い時間に繰り返すときに起こる過呼吸によって、症状が現れることが典型的です。一過性の脳虚血発作(TIA症状:脳の一部の血液の流れが一時的に悪くなることで、半身の運動まひなどの症状が現れ、24時間以内に完全に消える)が起こり、手足の脱力や言語障害などの症状が出ます。朝方に、頻繁に頭痛を訴えることもあります。

大人の場合は、子どもと同じように一過性の脳虚血発作を起こすことがあります。しかし、子どものように顕著には症状が現れないことが多く、脳梗塞脳出血を起こしてから初めて発見されることがあります。

検査・診断

もやもや病は、多くの場合、脳MRIやMRAなどの画像診断によって発見されます。MRIとは磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)のことです。磁気を使って人体の断面画像を作ります。MRAとは磁気共鳴血管画像(Magnetic Resonance Angiographyの略)のことです。血管の像だけを作るMRIの一種です。

診断を確定するためには、血管内カテーテルを用いた脳血管撮影が行われることもあります。内頚動脈が、頭蓋内に入ったところで狭くなったり閉塞したりしていて、さらにその部分から異常な血管が多数みられることが診断基準となります。

治療

現在、もやもや病の特効薬はなく、血管の狭窄(きょうさく)などの進行を防ぐ方法はありません。内科的な治療は、以下のような対症療法に限られます。

  • 発作を減らすことを目的とした血圧コントロール
  • 血栓形成防止を目的とした抗血小板療法
  • 脳出血を起こした患者さんに行われる、脳圧を下げる治療

など

手術療法としては、脳へ向かう血流を取り戻すために新しい血管をつくる手術があります。手術の方法には、脳の表面の血管と頭の皮膚の血管を直接つなぐ「直接バイパス術」と、新しい血管が自然に生じることを期待して頭の筋肉や膜を脳に貼り付ける「間接バイパス術」があります。

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