インタビュー

もやもや病の検査法と診断基準

もやもや病の検査法と診断基準
吉村 紳一 先生

兵庫医科大学 脳神経外科 主任教授/診療部長/脳卒中センター長

吉村 紳一 先生

この記事の最終更新は2016年02月22日です。

もやもや病の検査は主に画像診断によって行われます。画像診断にも種類がありますが、どの検査が最適なのでしょうか。もやもや病の検査法や診断基準について兵庫医科大学脳神経外科主任教授の吉村紳一先生にお話を伺いました。

画像診断にはいくつかの種類がありますが、もやもや病の検査は主にMRI・MRAによる画像診断によって行われます。MRIとは磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)のことで、磁気と電波を使って人体の断面画像を撮影します。またMRAとは磁気共鳴血管画像(Magnetic Resonance Angiographyの略)のことをいい、血管を立体的に撮影します。

MRIとMRAは同じ機械を使って異なった撮影方法で行われるため、一度の検査で両方受けることができます。

詳しく説明しますと、MRIでは脳組織そのものの異常を撮影することができます。例えばもやもや病による過去の脳出血脳梗塞の跡などの発見には大変有効です。一方、MRAは造影剤を使用せず、血管だけを映し出すことができるので、もやもや病を低侵襲に発見することができるのです。

このように、もやもや病の発見にはこのMRI・MRAによる画像検査で十分なのですが、さらなる精密検査として血管造影検査が必要なことがあります。

もやもや病では、左右の内頚動脈という血管の一部が細くなり、その血流不足を補うために脳底部などに異常血管網(もやもや血管)が作られることが特徴です。

・頭蓋内の内頚動脈に閉塞や狭窄がみられる

・異常血管網(もやもや血管)が形成されている

以上の2点がもやもや病の診断基準になります。

ただし、動脈硬化が原因と思われる閉塞や狭窄、過去に頭部に放射線照射を受けた方、特定の遺伝病を持つ方についてはもやもや病と診断されません。

もやもや病の診断にMRIとMRAは必須です。ほとんどの場合、この2つの検査で診断されますが、病変が片側だけの場合や動脈硬化の合併が疑われる場合は血管造影検査が必要になります。しかし血管造影検査は動脈にカテーテルを挿入し、造影剤を使用するためリスクもあります。特に小児例では全身麻酔が必要なことが多いため、適応が限られます。

小児例(18歳未満)と成人例とにわけて考えます。

・小児例

運動障害・知能障害・意識障害・行動障害・自閉傾向・痙攣発作などのうち、1つ以上の症状が一時的ではなく継続する場合、小児慢性特定疾患として認定されます。

・成人例

成人例では画像診断による明らかな器質的変化(組織や細胞が、変形・変性・破壊され、元の形に戻らないこと)と高次脳機能検査(脳の認知機能の検査)の結果をもとに診断されます。高次脳機能低下を難病指定医に認定された場合や、脳出血の再発例などが発症した場合、重症例として認定されます。

 

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