インタビュー

もやもや病の治療法ー予後のリスクと注意点とは

もやもや病の治療法ー予後のリスクと注意点とは
吉村 紳一 先生

兵庫医科大学 脳神経外科 主任教授/診療部長/脳卒中センター長

吉村 紳一 先生

この記事の最終更新は2016年02月23日です。

原因不明の難病であるもやもや病。もやもや病の治療には主に内科的治療と、バイパス手術などの外科的治療による血行再建術があります。それぞれどのような場合に有効でどのような治療なのか、またその予後について、兵庫医科大学脳神経外科主任教授の吉村紳一先生にお話を伺いました。

現在、もやもや病の特効薬はなく、血管の狭窄などの進行を防ぐ方法はありません。ですから、内科的に行う治療は、発作を減らす目的で行われる血圧コントロールや抗血小板療法(血栓形成防止を目的とした療法)、脳出血を起こした患者さんに行われる脳圧降下療法(頭蓋内圧を低下させる対症療法)などがあります。

もやもや病による血管の狭窄や閉塞は防ぐことができません。このため、対策としては「新しい血管を作る手術」しか方法がありません。

もやもや病の手術治療には、脳の表面の血管と頭の皮膚の血管を直接つなぐ「直接バイパス術」と、頭の筋肉や膜を脳に貼り付けて新らしく血管が生じるのを期待する「間接バイパス術」の2つがあります。また実際の手術ではこれらを組み合わせる場合もあります。

直接バイパス術を行えば脳の血流が良くなるため、脳虚血には有効と考えられてきましたが、脳出血の再発予防効果については疑問視する声もありました。しかし、2013年に「出血型もやもや病治療ガイドラインのための多施設共同研究(Japan Adult Moyamoya trial=JAM trial)」によって脳出血の再発予防効果が確認されました。

一般的には予後不良が多いといわれています。これは、発症した年齢が若いほど進行が早く、より重症度が高いと考えられるためです。発育段階の脳に梗塞や出血が起こると部位によって半身麻痺や失語症、全盲になる可能性もありますし、知能障害や精神機能障害などを引き起こすこともあります。患者さんが若いほどそのリスクは高くなります。

しかし症状が一過性脳虚血発作や軽症脳梗塞の場合には、適切な外科的治療を行うことで、問題なく日常生活を送れるようになる可能性が高まります。

脳梗塞や脳出血を起こしてはじめてもやもや病と診断されるケースが全体の約半数を占めます。一度発作を起こした方は再発作を起こしやすいことがわかっていて、重度の後遺症となったり死亡する可能性もあります。従って、適切な診断と早期の手術治療が重要なのです。

もやもや病は脳の血管が細く狭くなる病気ですので、バイパス術に高度な技術を要します。ですから治療の実績が豊富な医師に執刀してもらうことが望ましいといえるでしょう。

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    東京都立多摩総合医療センター 脳神経外科 部長

    おおた たかひろ

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    東京科学大学 脳神経機能外科 助教

    はら しょうこ

    内科、血液内科、膠原病・リウマチ内科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、肛門科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科

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