概要
髄膜腫とは、脳を包む髄膜にできる腫瘍です。髄膜腫のうち約90%以上は良性の腫瘍あり、大きくなるスピードも非常にゆるやかです。良性の髄膜腫は、がんとは異なり転移することはありません。
髄膜腫は女性に多く、脳の腫瘍のなかでは頻度が高い病気として知られています。腫瘍が小さいときには症状が現れないため、別の目的で画像検査を受けたときなどに偶然発見されることもあります。
髄膜腫のうち約4~7%は異形性髄膜腫というタイプで、成長スピードが速く再発しやすいため注意が必要です。また、頻度はごくまれですが悪性の髄膜腫もみられます。
原因
髄膜腫が生じる原因は解明されていません。髄膜腫は男性よりも女性に多く、腫瘍には女性ホルモンの受容体もあることが多いため、ホルモンとの関連が指摘されています。また、第22染色体に存在する遺伝子異常によって生じる神経線維腫症Ⅱ型という病気では多発性の髄膜腫を合併することから、遺伝子の異常が原因になることも示唆されています。
症状
髄膜腫が小さい場合、多くは無症状です。腫瘍が大きくなっていくと、以下の症状が現れることがあります。
神経症状
麻痺や言語障害、めまいなどの神経症状が生じます。また、てんかん発作の原因になることもあります。現れる神経症状は、腫瘍ができた部位に応じて変わります。
頭蓋内圧亢進症状
どの部位にできても共通して現れる症状は、脳圧が高くなることによる頭痛や吐き気などです。腫瘍が非常に大きくなったときにみられます。
検査・診断
髄膜腫の検査は画像検査が主体となります。
CT検査
造影剤を用いて撮影すると、腫瘍が強く造影されます。また、腫瘍のなかにある石灰化や腫瘍が付着した頭蓋骨の変形などを観察することができ、腫瘍がどの程度脳を圧迫しているのかを評価することもできます。
MRI検査
MRIでも造影剤を用いた撮影が行われます。CTと比べるとMRIでは石灰化や頭蓋骨の変化は確認しにくいですが、腫瘍が髄膜から連続して発生している様子が確認しやすいという特徴があります。
血管撮影検査
手術を行う前に、腫瘍を栄養している血管を調べるために行うことがあります。髄膜腫は外頸動脈系と内頸動脈系の栄養血管があります。特に外頸動脈系の栄養血管を持つ腫瘍では、血管造影を行うと腫瘍に張り巡らされた細い血管が一点から広がるように描出され、雲間から日光が広がるような像を示すことが特徴です(sunburst appearance)。
手術中の出血を最小限に抑えるために、治療前に栄養血管を塞栓(ふさぐこと)することがあります。
治療
経過観察
腫瘍が小さく症状がない場合には、数か月ごとに画像撮影を行い、経過を観察します。患者さんの年齢が若く、将来的に腫瘍が大きくなって症状を起こすことが予想される場合は、時期をみて治療を行うこともあります。
手術
症状が出ている場合や、脳にむくみが生じている場合は、手術治療を行う必要があります。手術により髄膜腫を完全に切除できれば、完治となる可能性が高いとされます。
放射線治療
脳底部の髄膜腫などの手術が難しい症例や、手術で腫瘍を全て切除できなかった場合にも、放射線治療が行われます。
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嗅窩髄膜腫の手術で嗅神経を残せるか?
今年1月に初めて脳の造影MRIで頭蓋底髄膜腫の嗅窩髄膜腫(3.8cm)が見つかり、右嗅覚は脱失しているものの、左嗅覚は残存しており、他に特に症状もなく日常生活には全く支障が無い為現在は3ヶ月間の経過観察中。 ただ、腫瘍が脳を圧迫し始めている点、左嗅覚が残ってはいるものの腫瘍が左嗅神経を巻き込んでいる点からタイミングを見て開頭手術が必要とのこと。 その際、再発リスクを避けるために残っている左嗅神経も全部取らなければいけないと言われたが、そうすると完璧に嗅覚脱失になってしまうので、今せっかく生きている左神経を一部でも残したまま剥ぐように腫瘍を取ることはできないのでしょうか。 これが一番知りたいです。
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