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ずいまくしゅ

髄膜腫

監修:

概要

髄膜腫とは、脳を包んでいる髄膜から発生する脳腫瘍(のうしゅよう)の1つで、脳腫瘍の中でもっとも発生頻度が高いものとされています。その約9割は良性で、通常は緩やかな成長を示しますが、まれに急速に大きくなる悪性腫瘍の場合もあります。特に40~60歳の女性に多く発症することが知られています。

症状は腫瘍の発生部位によってさまざまで、頭痛のほか、手足が動かしにくい、発話が難しくなる、ものが見えづらくなるなどの症状が生じます。

治療においては、手術による腫瘍の摘出が基本的な方法となりますが、症状がまったくみられない場合には、定期的に経過観察を行うこともあります。また高齢者や手術で制御が難しい場合などには、定位放射線治療が推奨される場合もあります。

定位放射線治療:標的に対して複数の方向から放射線を照射する治療法。周囲の組織への影響を抑えることができる。

原因

髄膜腫の原因は明らかではありません。中高年の女性に多く発生する傾向があることなどから、女性ホルモンのはたらきが何らかの形で関与していると考えられています。また、ほかの病気に対する放射線治療が原因となって、髄膜腫が引き起こされる場合もあります。このような髄膜腫では、通常の髄膜腫と比較して悪性腫瘍の頻度が高いとされています。

症状

髄膜腫の症状は、腫瘍が発生した場所に応じて異なります。代表的な症状としては、大脳・小脳・脳幹・脊髄(せきずい)・神経を圧迫することによる手足の動きにくさやしびれ、脱力、バランス障害などのほか、痛み、頭痛や言葉の出にくさが挙げられます。また、視神経に近いところに腫瘍がある場合は、視力の低下や視野の障害が生じることがあります。

検査・診断

髄膜腫の検査では、CTやMRIといった画像検査が行われます。脳ドックの一般化により、無症状の段階で偶然発見されるケースが増えています。確実な診断を行うためには、外科的処置により腫瘍組織を採取し、組織学的検査を実施します。

治療

髄膜腫の標準的な治療法は手術による摘出です。症状がすでに出現している場合、あるいは症状がなくても腫瘍が3cm以上の場合、また視神経の近くに腫瘍が発生して将来的に視力や視野に障害が生じるリスクが高いと判断される場合には、手術による摘出が検討されます。

しかし、無症状の場合はすぐに治療を行わず、定期的なCTやMRIの検査で腫瘍の増大の有無を経過観察することもあります。腫瘍の大きさに変化がなく、症状のないまま経過観察を続けられている方も少なくありません。

高齢者や腫瘍が小さく手術による摘出が困難な場合は放射線治療(定位・分割照射)が選択されることもあります。悪性の髄膜腫の場合も、原則として手術による摘出を行い、腫瘍が残存した場合に術後放射線治療が行われます。

分割照射:放射線照射を複数回に分けて行い、1回の放射線量を減らす方法。正常な組織への影響を減らすことができる。

治験

髄膜腫に関連する治験の情報をご覧いただけます。

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最終更新日:
2025年06月03日
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2025/06/03
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

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