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しんけいせんいしゅ

神経線維腫症

最終更新日
2018年09月13日
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2018/09/13
掲載しました。

概要

神経線維腫症とは、身体中に存在する神経(脳や脊髄など)に腫瘍(しゅよう)が発生することと関連して、全身にさまざまな症状を引き起こす病気を指します。

遺伝子異常が原因で起こる病気ですが、原因となる遺伝子はさまざまです。具体的には、遺伝子異常の違いによって、神経線維腫症Ⅰ型、神経線維腫症Ⅱ型、シュワノマトーシスの3つに分類されています。

それぞれ腫瘍の発生部位や合併症、発症年齢などに違いがあります。

原因

神経線維腫の原因は遺伝子異常です。原因遺伝子に応じて神経線維腫症Ⅰ型、神経線維腫症Ⅱ型、シュワノマトーシスの3つに分類されます。

神経線維腫症Ⅰ型

神経線維腫症I型は、NF1と呼ばれる遺伝子に異常が生じることから発生します。NF1遺伝子はニューロフィブロミン(neurofibromin)と呼ばれるタンパク質を産生します。

ニューロフィブロミンは、神経細胞そのものや、神経細胞周囲に存在するシュワン細胞と呼ばれる細胞に多く認められます。ニューロフィブロミンは、細胞が異常に増殖しないように調整する働きをもっており、このように細胞増殖に対してブレーキとしての働きを持つ遺伝子は、癌抑制遺伝子と呼ばれます。

神経線維腫症Ⅰ型では、異常なニューロフィブロミンが産生されるため、細胞増殖に対する抑止力が働かなくなり、無秩序に細胞が増殖するようになります。その結果、神経線維腫をはじめとした腫瘍が神経系に多く発生するようになります。

神経線維腫症Ⅰ型は、常染色体優性遺伝と呼ばれる遺伝形式をとりますが、両親がこの病気を有していない場合でも発症することがあります。

神経線維腫症Ⅱ型

神経線維腫症Ⅱ型は、NF2と呼ばれる遺伝子に異常が生じます。この遺伝子が作り出すタンパク質はマーリン(merlin)と名付けられています。

マーリンはシュワン細胞(神経細胞を包み込む細胞の一種)に多く認められ、ニューロフィブロミンと同様に、細胞が異常に増殖しないようにする癌抑制遺伝子としての働きをもっています。

したがって、NF2に異常のある神経線維腫症Ⅱ型では、シュワン細胞を中心として腫瘍が形成されるようになります。遺伝形式は、神経線維腫症Ⅰ型と同様に常染色体優性遺伝の形式をとります。

シュワノマトーシス

シュワノマトーシスは、SMARCB1遺伝子あるいはLZTR1遺伝子の変異を原因として発症することが多いです。

これら遺伝子異常があるだけでは腫瘍が発生するには不充分であり、NF2遺伝子変異など追加の遺伝子異常が発生することから腫瘍が発生すると考えられています。

両親など家族内での発症がある場合もあれば、ない場合もあります。

症状

症状もそれぞれのタイプによって異なります。

神経線維腫症Ⅰ型

皮膚にカフェオレ斑と呼ばれる発疹が現れることが特徴です。この発疹は、早期の段階から認めます。

年齢を経て思春期頃になると、神経線維腫と呼ばれる腫瘍が皮膚に多発性にみられるようになります。

その他にも悪性末梢神経鞘腫瘍、視神経膠腫、視神経膠腫、毛様細胞性星細胞腫、脊髄腫瘍など多種多様な腫瘍があらゆる神経において発生します。

また、側彎(そくわん)や四肢の骨の変形、学習障害・注意欠陥多動症などがみられることもあります。

神経線維腫症Ⅱ型

神経線維腫症Ⅱ型の特徴は、両側性の聴神経鞘腫です。この腫瘍に関連して、難聴やふらつきを認めるようになります。

そのほかにも、脊髄に同タイプの腫瘍が発生することがあり、手足のしびれや感覚低下、脱力などが現れる場合もあります。

シュワノマトーシス

シュワノマトーシスでも、神経鞘腫に分類される腫瘍を認めることから神経線維腫症Ⅱ型に類似した部分も多いのです。

しかし、神経線維腫症Ⅱ型の特徴ともいえる両側性の聴神経鞘腫を認めないことから両者は区別されます。

また見た目にそれとわかる腫瘍が発生する前から、慢性的な疼痛(とうつう)が現れることも特徴です。

検査・診断

神経線維腫症の診断は、全身各種臓器に発生する腫瘍を見た目に確認することが重要です。

たとえば神経線維腫症Ⅱ型であれば、両側性の聴神経鞘腫が特徴であるため、頭部MRIで同病変を確認します。腫瘍部位によっては実際に組織を採取し、病理検査を行うこともあります。

また、神経線維腫症Ⅰ型であれば眼の中に虹彩小結節と呼ばれる病変がみられることもあるため、眼科的な検査も必要になります。

さらに、骨の変形を伴うこともあるため、レントゲン撮影が併用されることもあります。
各種臓器に多発する病変の広がりをもとに最終的な診断がおこなわれるため、家族歴を含めた病歴、身体所見、画像検査等が診断には重要です。

治療

全身各部位に生じる神経系に関連した腫瘍の多くは良性腫瘍です。腫瘍が存在することにより症状が現れている場合は、症状や部位に応じて適宜手術や放射線療法などが行われます。

たとえば、神経線維腫症Ⅰ型で生じる皮膚の神経線維に対しては、外科的手術、電気焼却術、ガスレーザーなどで切除することも検討されます。

神経線維腫症Ⅱ型であれば、聴神経鞘腫に関連して難聴が生じることがあるため、腫瘍を摘出することがあります。しかし治療によって周囲神経を損傷する可能性もあるため、注意深く治療方針を検討することが求められます。

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