ちょうしんけいしょうしゅ

聴神経鞘腫

最終更新日:
2018年06月20日
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2018/06/20
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概要

聴神経鞘腫とは、第Ⅷ脳神経である内耳神経のシュワン細胞から発生する良性腫瘍のことです。内耳神経は前庭神経と蝸牛神経(かぎゅうしんけい)に分けられますが、大部分は前庭神経から発生します。神経鞘腫は、他の臓器に転移せず、緩やかに時間をかけて成長するのが特徴です。

大部分は左右に二本ある内耳神経の片方のみに腫瘍が発生しますが、神経線維腫症2型の患者さんでは両側に発生することがわかっています。

原因

内耳神経は、前庭神経と蝸牛神経(かぎゅうしんけい)に分けられますが、大部分は前庭神経から発生します。神経鞘腫は、他の臓器に転移せず、緩やかに時間をかけて成長します。

聴神経鞘腫が発生する原因は正確には解明されていません。高頻度で両側性の聴神経鞘腫を発症する神経線維腫症2型は、Merlinというたんぱく質を作る遺伝子の異常が原因であると考えられています。

症状

症状は腫瘍の大きさによって異なります。初期には内耳神経に限局していた腫瘍が徐々に大きくなると、周辺の小脳などに機能障害が生じ、最終的には脳圧が上昇してさまざまな症状が引き起こされます。

腫瘍が内耳神経に限局している初期の段階では、高音域の難聴や耳鳴りが主な症状となります。個人差はありますが、ふわふわと浮くようなめまいを感じる人もいるでしょう。

腫瘍が大きくなると、周辺の小脳や他の脳神経を圧排し、小脳の障害によって運動失調やめまいなどが生じ、舌咽神経や三叉神経などの障害によって物の飲み込みが悪くなったり、ろれつがまわらなくなったりする神経症状が現れます。

腫瘍がさらに大きくなると、脳脊髄液が流れる脳室内に進達し、脳脊髄液の流れが悪くなることで水頭症を発症したり、脳圧が上昇することで頭痛や吐き気、意識障害などの重篤な症状が出てきたりすることもあります。

検査・診断

腫瘍の存在を確認するためにCTやMRIなどの画像検査を行います。一般的にはどちらも造影剤を用いて行いますが、小さな病変でも描出されやすくなります。また、かつては内耳道の拡大などを確認するためにレントゲン検査が行われることもありましたが、今ではCTやMRIの精度が上がっているため、レントゲン検査で内耳道の評価を行わないことが多いです。

画像検査以外には、聴力検査や眼振検査などが内耳神経障害の評価をするために行われることが多いでしょう。

治療

聴神経鞘腫は良性腫瘍であるため、脳ドックなどで偶然発見された無症状の腫瘍は定期的な画像検査で経過観察することが多いです。

症状があったり、経過観察中に大きくなったりした腫瘍に対しては、放射線治療や腫瘍を取り除く手術が行われます。特に腫瘍が3cm以下のときには、定位放射線治療が実施可能です。一方、腫瘍が3cm以上であったり、重篤な症状があったりする場合には積極的に手術が行われます。手術は、内耳神経を傷つけないようにモニタリングをしながら行われることが多いです。

また、腫瘍が大きくなりすぎて水頭症や脳圧上昇が見られるときには、緊急で髄液のドレナージを行ったり、脳圧を下げるために頭蓋骨の一部を取る開頭減圧術が行われたりします。しかし、聴神経腫瘍難聴や耳鳴りなどの比較的自覚しやすい症状が初期に起こるため、この段階まで気づかれずに未治療のことはほとんどないでしょう。

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