概要
悪性末梢神経鞘腫瘍とは、体幹や四肢の末梢神経から発生する悪性腫瘍を指します。
神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病)と呼ばれる疾患に合併することがあります。
腫瘍が発生した部位にしこりを触れることがあります。また、罹患部位に痛みや感覚障害などが生じることもあります。
治療では、手術で病巣を完全に摘出することが第一の目標となります。
原因
悪性末梢神経鞘腫瘍は、神経線維腫症1型と呼ばれる疾患に罹患していると発症リスクが高くなります。
神経線維腫症1型は、遺伝子異常により発症します。この遺伝子異常を基盤として神経細胞が異常増殖を来すと、悪性末梢神経鞘腫瘍が生じることがあります。
また、悪性末梢神経鞘腫瘍は、こうした基礎疾患がない状況でも生じることがあります。
完全な発症原因は明らかにされていませんが、TP53と呼ばれる遺伝子異常を基盤として発症することも推定されています。その他、放射線の影響も考えられています。
症状
悪性末梢神経鞘腫瘍は、体中あらゆる部位の末梢神経に発症します。腫瘍が発生した部位に、しこりを触れることがあり、このしこりは時間経過とともに大きくなり、より腫瘍としてはっきりと認識されるようになります。
また、腫瘍が神経を障害するために罹患部位が痛んだり、運動障害や感覚障害が生じたりすることもあります。
悪性末梢神経鞘腫瘍は転移することもあります。たとえば、肺に転移した場合には、咳や呼吸困難、胸の痛み、血痰などの症状が出現します。悪性度が高く、生命予後は悪いです。
検査・診断
悪性末梢神経鞘腫瘍では、病変部位における変化を詳細に評価するために、超音波検査やCT、MRI、PETCTといった画像検査が行われます。
また、病理検査を行い、悪性末梢神経鞘腫瘍に特徴的な組織変化を観察します。病理検査とは、病変部位から組織を一部採取し、顕微鏡で詳細に観察する検査です。
治療
悪性末梢神経鞘腫瘍では、手術により病巣を完全に摘出することを第一の目標とします。
病変の広がりに応じて、放射線療法や化学療法が選択されることもありますが、必ずしも効果は十分ではありません。
悪性末梢神経鞘腫瘍は、神経線維腫症1型の経過中に発生することがあります。神経線維腫症1型で生じる皮膚病変は、基本的には良性腫瘍ですが、悪性腫瘍の発生に注意する必要があります。
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