概要
顔面けいれんとは、自分の意志とは無関係に顔面の一部がけいれんする病気を指します。顔面のけいれんは、第三者から見てもそれとわかる症状です。そのため、容姿の変化に敏感な若い女性や、営業職など人と面会する仕事に就く方は、顔がひきつることで生活に大きな支障が生じることもあります。
しかし、基本的にはけいれんの症状以外に体に影響を及ぼす病気ではありません。
原因
顔面の筋肉の動きに関連する顔面神経が、発症に大きく関係しています。顔面神経が物理的に圧迫を受けると神経が不意に刺激を受けることになり、結果として顔面の筋肉が自分の意図とは関係なく動くようになります。
顔面神経を圧迫する原因はさまざまですが、頭蓋内の血管が神経を圧迫していることが多いです。また、血管以外にも脳腫瘍や動脈瘤、くも膜などが神経を圧迫する原因になっていることもあります。
症状
顔面けいれんでは、顔面の筋肉が自分の意志とは無関係に動きます。目のまわりの筋肉や頬、口まわりの筋肉などの多くの場所がぴくぴくと動きます。
顔面けいれんは疲れやストレス、睡眠不足などがあると症状が出やすくなります。時に、寝ている状況でもけいれんが発生することがあります。
顔面けいれんは健康に影響する類いの病気ではありませんが、けいれんの症状から他人の目が気になるという方もいます。そのため、顔面けいれんが大きなストレスとなり、うつ症状につながることもありえます。
検査・診断
顔面けいれんを診断するためには、実際に顔面が動いている状態を確認することが重要です。
また、顔面けいれん以外にもてんかん、眼瞼ミオキミア、チック、顔面麻痺に伴う顔面の病的共同運動(pathological synkinesis)などといった病気とも症状が似ているため、鑑別に注意が必要です。鑑別のためには、顔面のけいれん以外の症状にも注目することが重要です。
顔面けいれんは、顔面神経に対しての物理的な圧迫を原因として発症することもあります。この状況を確認するためには、特にMRIやMRA、血管造影検査などの画像検査が重要です。この検査を行うことで、顔面神経と周囲の血管との位置関係、脳腫瘍の有無や動脈瘤の存在などを検索することができます。
また、電気生理学的な検査、脳波などの検査を組み合わせつつ、顔面けいれんの診断を行います。こうした検査は、顔面けいれんの診断のみならず、その後の治療方針決定に際しても有益な情報を提供するものです。
治療
顔面けいれんは、必ずしも健康に影響を及ぼす病気ではありません。そのため、実際に治療介入をおこなうかは、患者さんがどのような状況で困っているかなどを詳細に確認したうえで決定されます。
顔面けいれんに対しての治療介入が必要と判断された際には、ボツリヌス毒素療法もしくは、手術的な治療介入によって治療されます。それぞれの治療法にはメリットやデメリットがあるため、症状や原因なども加味しつつ適切な治療方針を決定することが重要です。
ボツリヌス毒素療法
顔面けいれんで行われるボツリヌス毒素療法は、けいれんを止めるのではなく、顔の筋肉を麻痺させて、見た目上はけいれんがないようにみせる方法です。患者さん自身はけいれんの動きを感じますが、他者から見てもけいれんはわかりません。
この方法は顔の感覚を麻痺・消失させているため、口の中を噛んでしまう、感覚が戻らなくなるなどのリスクがあります。また、対症療法であるため、症状が戻ったときには再度治療を行わなくてはいけないというデメリットもあります。
手術
顔面けいれんは、顔面神経に対しての血管による圧迫が原因となっていることもあり、圧迫を解除するために微小血管神経減圧術が選択されることもあります。
また、顔面けいれんの圧迫が脳腫瘍や動脈瘤等が原因となっていることもあります。これらが原因となっている場合には、腫瘍摘出術や動脈瘤に対しての治療介入も適宜検討されます。
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