治療
顔面けいれんでは、症状の程度に応じて経過観察を行うケースや、薬物療法、ボツリヌス毒素治療、手術を行うケースがあります。
経過観察
軽症の場合は、積極的に治療せずに経過観察を行うケースがあります。けいれんの悪化を防ぐために疲労やストレスを避け、顔に冷気が当たらないよう注意したり禁煙や禁酒を行ったりすることも重要です。
薬物療法
顔面けいれんを治癒させるための治療薬は今のところありません。しかし、症状が比較的軽度な場合や発症からの期間が短い場合、ボツリヌス治療や手術が行えない場合などに、抗てんかん薬などを用いた薬物療法が行われることがあります。
薬物療法の副作用は主に眠気やだるさなどです。効果が期待できない場合や副作用が強くみられる場合には、ほかの治療法が検討されます。
また、高血圧の状態の患者の場合では、降圧薬の投与によってけいれんの改善がみられるケースがあります。
ボツリヌス毒素治療
注射によるボツリヌス毒素の治療では、顔面けいれんによる症状を一時的に和らげる効果が期待できます。注射後は2〜3日程度で効果が現れることが多く、4か月ほど持続するとされています。
2000年に保険が適用され、安全性や有効性が期待できる治療法とされていますが、効果が消失してきた場合に再度注射による治療を行う必要があります。
手術
重症の場合や完治を希望する場合は手術が検討されます。
手術では、MRI検査で神経を圧迫する血管を特定したうえで圧迫を取り除く“ジャネッタ手術”が全身麻酔下で行われる場合があります。
この手術は、顕微鏡下で丁寧に神経と血管を剥離し、血管を移動させることで顔面神経の根元への圧迫を解除します。脳の中枢である脳幹に近い部位を操作するため、手術の適応については入念に検討され、患者がリスクを十分に理解したうえで行うことが重要です。術後は、経過が良好であれば1週間から10日程度で退院となるのが一般的です。
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