【疾患啓発(スポンサード)】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 a01ad246 0320 44fd 9060 346bc86a89c6
QOLを重視した脳神経外科治療(後編)−脳血管障害、機能性脳疾患(顔面...
脳神経外科では、脳・神経にかかわるさまざまな病気を扱っています。横浜市立大学附属市民総合医療センター脳神経外科では、患者さんのQOL(Qualityoflife:生活の質)を重視し、治療を行って...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません

QOLを重視した脳神経外科治療(後編)−脳血管障害、機能性脳疾患(顔面けいれん・三叉神経痛など)

公開日 2018 年 12 月 28 日 | 更新日 2019 年 01 月 17 日

QOLを重視した脳神経外科治療(後編)−脳血管障害、機能性脳疾患(顔面けいれん・三叉神経痛など)
坂田 勝巳 先生

横浜市立大学附属市民総合医療センター 脳神経外科 部長

坂田 勝巳 先生

目次

脳神経外科では、脳・神経にかかわるさまざまな病気を扱っています。横浜市立大学附属市民総合医療センター 脳神経外科では、患者さんのQOL(Quality of life:生活の質)を重視し、治療を行っています。本記事では、後編として、脳血管障害や機能性脳疾患に対する脳神経外科治療について、同院の坂田勝巳先生にお話を伺います。

脳血管障害に対するQOLを重視した脳神経外科治療とは?

リスクや患者さんの人生観を考慮して治療戦略を立てる

脳血管障害とは、くも膜下出血を引き起こすことのある脳動脈瘤や、脳梗塞の原因となる脳・頚部血管の狭窄(間がすぼまって狭くなること)、脳動静脈奇形など、さまざまな病態を指します。

このような脳血管障害は手術が必要になることがあり、病気や治療によるリスク、患者さんの人生観を考慮して、治療戦略を立てます。

脳動脈瘤に対する治療

脳動脈瘤が破裂すると、くも膜下出血を引き起こします。くも膜下出血は命にかかわることがあるため、救急車などで病院に運ばれ、緊急的な治療を行います。

脳ドックなどで未破裂の脳動脈瘤がみつかったときには、まず、治療を行うかどうか、治療を行う場合にはどのような治療法を選択するのかを検討します。

一般的に、脳動脈瘤の破裂率(こぶが5mm以上の場合)は、年間1.1%といわれます。脳動脈瘤がみつかったからといって必ず治療をするというわけではありません。

日本脳ドック学会が定めたガイドラインによれば、未破裂脳動脈瘤の手術適応は、以下のとおりです。

  • 脳動脈瘤の最大径が5mm以上
  • 患者さんの年齢がほぼ70歳以下
  • そのほかの条件が手術の妨げにならない

脳動脈瘤がみつかった場合には、このような条件に加えて、患者さんの状態や人生観を考慮し、脳動脈瘤の治療の実施を検討します。

切る手術、切らない手術の選択

脳動脈瘤を治療する場合には、開頭クリッピング術と血管内コイル塞栓術、いわゆる「切る手術」か「切らない手術」のどちらを行うかを検討します。

開頭クリッピング術とは、皮膚を切開して頭蓋骨の一部を開放し、脳動脈瘤への血流を遮断する方法です。いわゆる「切る手術」です。当院では、手術顕微鏡を用いて、周辺の血管などをできるだけ温存しながら治療を行います。

開頭クリッピング術

一方、血管内コイル塞栓術は、太ももの付け根からカテーテルを挿入、レントゲンをみながら脳動脈瘤へ誘導し、こぶの中にプラチナ製のコイルを送り込むことで、脳動脈瘤内の血流を遮断する方法です。こちらは「切らない手術」といえます。

血管内コイル塞栓術

血管内コイル塞栓術は時間経過と共に動脈瘤が再び開通すること(コイルコンパクションといいます)があり、定期的な検査が必要となります。

脳動脈瘤が脳の外側にある場合、形が複雑であることが多く、また、カテーテルを入れるには遠いこともあり、開頭クリッピング術を推奨することがあります。

脳動脈瘤の大きさや状態、患者さんのバックグラウンドは千差万別ですから、それらさまざまな医学的条件と患者さんの希望を考慮して、治療法を選択します。

機能性脳疾患に対するQOLを重視した脳神経外科治療とは?

症状や患者さんの背景を考慮して治療法を検討する

機能性脳疾患とは、生命には直接かかわる病態ではなく、運動機能、感覚機能などにかかわる症状を引き起こす脳疾患の総称です。たとえば、自分の意思とは関係なく顔の片側がピクピクと動く「顔面けいれん」や、激しく短い痛みが発作的に顔面領域に生じる「三叉神経痛」などがあります。

症状や患者さんのバックグラウンドを考慮し、手術や薬物療法を含めて、治療法を検討します。当科の場合、保存的療法の効果がみられない患者さんが紹介されてくるケースが多いため、手術を中心に行っています。

顔面けいれんに対する治療

顔面けいれんは、脳の深部で、脳幹から顔面神経が出る部分に血管が接触することで起こるとされています。顔面けいれんそのものは生命に直接かかわりませんが、仕事や生活に支障をきたすことがあり、患者さんのQOLに大きな影響を及ぼします。

顔面けいれんに対する治療には、主に、顔面神経への血管の接触を外す手術と、ボトックス治療という2つの方法があります。

顔面けいれんに対する手術は、後頭下開頭を行い、脳の深部で神経に接触する血管を剥離して移動するもので、微小血管減圧術(MVD)と呼ばれます。

一方、ボトックス治療は、ボツリヌス毒素という筋弛緩薬を注射し、けいれんを起こしにくくする治療法です。根本的な治療ではありませんが、一般的に、1回の注射で3〜4か月の間は症状が軽減されます。

三叉神経痛に対する治療

三叉神経痛は、三叉神経という顔の感覚(痛みや温度、触覚など)を脳に伝える神経に、何らかの原因で痛みが起こる病気です。三叉神経痛による痛みは、非常に強く突発的であることが特徴です。生命に直接にはかかわらずとも、激しい痛みが突発的に起こることから、患者さんのQOLに大きな影響を与えます。

三叉神経痛に対する治療では、神経の伝達を抑えることで痛みを軽減させる作用を持つ内服薬を使った薬物療法が第一選択となります。それでも症状が改善されない場合、手術を検討します。

三叉神経痛に対する手術では、顔面けいれんの手術と同様に後頭下開頭を行い、三叉神経を圧迫している血管を剥離して移動します。

パーキンソン病に対する治療

パーキンソン病は、脳深部の大脳基底核におけるドパミンが不足することによって起こる病気です。

パーキンソン病に対する基本的な治療は、ドパミンを薬として補充する薬物療法です。しかし、徐々に薬の効果が保たれる時間が短くなり、薬物療法だけで症状をコントロールすることが困難になることがあります。

そのようなケースに対して、DBS(脳深部刺激療法)手術を検討します。

DBS(脳深部刺激療法)とは、脳深部の大脳基底核に電極を埋め込み、それを電気刺激することで症状を改善する治療法です。病気の進行を抑えることはできませんが、薬物量を減らすことで副作用に伴う症状を改善させ、患者さんのQOL向上を目指します。

DBS(脳深部刺激療法)手術

坂田先生からのメッセージ

脳神経外科治療にはさまざまな治療がありますが、開頭手術を行う場合、患者さんはそれぞれの思いや人生を私たちに預けてくれているものと感じます。だからこそ、その期待に応え、人生のQOLを改善すべく、私たちは知識や経験をフルに活かして、最善を尽くして日々治療にあたっています。

よりよい治療法があればそちらをおすすめしますし、同等の選択肢がいくつかある場合には、患者さんの希望を最優先にして治療法を検討します。また、当院では、手術の後にも定期的な検査などのフォローをきちんと行います。もし何か不安なことや気になることがあれば、遠慮せずに担当医に相談してください。

 

脳神経外科治療(坂田 勝巳 先生)の連載記事

日本の脳神経外科の第一人者。髄膜腫や神経鞘腫などの良性脳腫瘍や頭蓋底腫瘍を専門としており、神奈川県でも有数の症例数の経験を誇る。以前より静脈温存手術に取り組み、QOLを重視し、機能温存を優先した脳神経外科手術に積極的に取り組んでいる。