とうがいいんとうしゅ

頭蓋咽頭腫

最終更新日:
2024年10月08日
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2024/10/08
更新しました
2017/04/25
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概要

頭蓋咽頭腫は脳腫瘍(のうしゅよう)の1つです。脳腫瘍には良性・悪性ともにさまざまな種類がありますが、頭蓋咽頭腫は良性腫瘍に分類されます。一般的に良性の脳腫瘍は悪性腫瘍と比較すると予後のよい病気と考えられます。しかし、頭蓋咽頭腫は下垂体茎(かすいたいけい)と呼ばれる脳の深い場所に発症することから、治療が困難であることで知られています。下垂体茎の周辺には人間の意識や認知機能を司る部位、視覚情報を脳に伝える部位などがあり、頭蓋咽頭腫が増大するとこれらの機能に悪影響を及ぼす可能性があるため、できるだけ早く治療を開始し、腫瘍を取り除くことが大切です。

原因

頭蓋咽頭腫は、胎児期に下垂体となって消退していく頭蓋咽頭管と呼ばれる組織が残存し、腫瘍化することで発症すると考えられています。

症状

頭蓋咽頭腫には、頭蓋内圧亢進症状、下垂体の異常による症状、視床下部の異常による症状、視神経の異常による症状があります。

頭蓋内圧亢進症状――頭痛・吐き気など

頭蓋咽頭腫が大きくなると、頭蓋内を流れる脳脊髄液(のうせきずいえき)の流れが悪くなり、頭蓋内に異常に水がたまる水頭症を生じることがあります。脳脊髄液がたまり頭蓋内の圧力が高まると、頭痛・吐き気・視力低下・傾眠(意識障害)などの頭蓋内圧亢進症状がみられます。

下垂体の異常による症状――疲れやすさ・肥満など

下垂体はさまざまなホルモンを分泌して体の機能を保っています。頭蓋咽頭腫はこの下垂体の周辺に発生する腫瘍であるため、発生すると下垂体のホルモン分泌が乱れて体にさまざまな症状を引き起こします。

下垂体の異常による主な症状は、甲状腺刺激ホルモンや副腎皮質刺激ホルモンの不足により疲れやすくなったり、代謝が悪くなり肥満になったりすることがあるほか、抗利尿ホルモンの不足によって尿量が増えることなどがあります。

また小児の患者の場合、成長ホルモンの不足による低身長や、性ホルモンの不足による二次性徴の遅れなどがみられることもあります。

視床下部の異常による症状――血圧の不安定・精神症状など

脳の一部である視床下部はホルモンを分泌し、下垂体のはたらきをコントロールしています。視床下部が腫瘍によってダメージを受けると、血圧や体温の調節がうまくいかなくなったり、体の水分・塩分バランスが崩れたりすることがあるほか、意識障害などの症状がみられることもあります。

また、視床下部の周辺にある乳頭体という部位がダメージを受けると、うつ症状や物忘れ、認知症状などの精神症状がみられることもあります。

視神経の異常による症状――視力・視野の低下など

腫瘍によって視神経が圧迫されることにより、視力の低下や視野狭窄(しやきょうさく)(視野が狭くなる)が起こることがあります。

検査・診断

腫瘍を確認するためにCT検査やMRI検査などの画像検査が行われます。また、ホルモン分泌の状態を調べるために血液検査や尿検査が行われるほか、視力・視野の異常がないかを確認するために視力検査などの眼科的検査や、精神症状の評価をするために認知機能の検査も行われます。

治療

頭蓋咽頭腫の治療方法は手術治療と放射線治療です。

まずは手術治療を行ったうえで、残った腫瘍や再発腫瘍に対して放射線治療を行います。

頭蓋咽頭腫の手術治療にはさまざまな方法がありますが、脳の深い部分に腫瘍が存在するため、鼻の穴の中から内視鏡を通して行う経鼻内視鏡手術など、内視鏡的手術が広く行われるようになってきています。ただし、腫瘍の大きさや部位によっては頭蓋骨(ずがいこつ)を切り開いて行う開頭手術が検討されます。

頭蓋咽頭腫は腫瘍が大きかったり、周辺の組織に食い込んでいたりすると、完全に切除することが難しい傾向にあります。無理に腫瘍を切除しようとすると、合併症や後遺症を起こすリスクがあるため、手術ではできる範囲の摘出にとどめ、放射線によって残りの腫瘍を治療することもあります。

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