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のうしゅよう

脳腫瘍

最終更新日
2020年07月28日
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2020/07/28
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

脳腫瘍とは、頭蓋内に発生する腫瘍の総称のことです。

脳腫瘍にはさまざまなタイプがあり、頭蓋内に存在する細胞自体から発生する“原発性脳腫瘍”と、肺がん乳がんなど他部位のがんが脳に転移することによって発生する“転移性脳腫瘍”に分けられます。いずれのタイプでも、脳腫瘍を発症すると脳の細胞や神経にダメージが加わるため、発症部位によって運動麻痺や言語障害、視力・視野障害などさまざまな神経症状が現れます。

脳の断面図(提供:PIXTA)

原発性脳腫瘍は、さらに良性腫瘍と悪性腫瘍(がん)に分けられます。一般的に良性腫瘍は脳の外の神経や硬膜に生じるものが大半で、進行が遅く急激に症状が悪化することはほとんどありません。一方、悪性腫瘍は脳の細胞にでき、進行が早いものでは急速に大きくなって頭蓋内圧(頭蓋骨内の圧力)を上昇させることで頭痛や意識障害などの症状を引き起こすこともあります。なお、転移性脳腫瘍はもととなるがんの性質を持つため、肺からの転移であれば肺がんの特徴をもっています。

脳腫瘍の治療は基本的には手術による切除が行われますが、症状がほとんどない良性腫瘍の場合にはすぐに治療せずに経過観察を行うケースもあります。また、腫瘍が広範囲にわたっている場合や脳内に複数個存在する場合は、手術により組織診断をしたうえで放射線治療や抗がん剤治療が行われます。

原因

脳腫瘍は脳自体や神経、脳や脊髄を包む髄膜などの細胞から発生する“原発性脳腫瘍”と他部位のがんが転移することによって発生する“転移性脳腫瘍”の2つのタイプに分けられます。

原発性脳腫瘍には、さらに発生する細胞や組織の違いによって150以上のタイプに分類され、主なものでは悪性脳腫瘍の膠芽腫(こうがしゅ)・中枢神経系原発悪性リンパ腫や良性脳腫瘍の髄膜種・下垂体腺腫神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)などが挙げられます。しかし、これらの原発性脳腫瘍のほとんどは明確な発症メカニズムが解明されておらず、原因は不明です。なお、ごくまれに遺伝性の脳腫瘍が生じることもあります。

一方、転移性脳腫瘍は肺がん乳がん大腸がんなどが原因になりやすく、血液に乗って脳内に流れ着いてがん細胞が脳内で増殖を始めることによって引き起こされます。

症状

脳腫瘍の症状にはさまざまなものがあります。主に以下のようなものが挙げられます。

脳の機能の異常

腫瘍の大きさや位置によって症状の現れ方や重症度は異なりますが、腫瘍が発生した部位やその周囲が圧迫されてダメージを受けるため、脳の機能にダメージが加わります。その結果、手足の麻痺、感覚障害、言語障害、視力や視野の異常、平衡感覚の喪失などが引き起こされます。

また、ホルモン分泌を行う下垂体や視床下部に発生する腫瘍の中にはホルモンの分泌低下ではなく過剰なホルモン分泌を促すタイプのものもあり、末端肥大症や月経不順、高血圧肥満などさまざまな症状を引き起こすことが知られています。

精神症状

前頭葉や側頭葉など脳腫瘍の生じた位置や大きさによっては認知機能に障害をきたし、認知症のような症状が現れることがあるほか、気分が強く落ち込み、うつ病のような症状が現れることもあります。

けいれん

脳腫瘍が発生すると、発生した部位の細胞が異常に刺激されることにより、けいれんが生じることがあります。片方の手足が震える場合もあるほか、全身けいれん(大発作)となると全身が硬直して意識を失うこともあります。

頭蓋内圧亢進症状

脳は頭蓋骨という限られた狭いスペースの中に収まっています。そのため、脳腫瘍が発生して頭蓋内に収まる体積が大きくなると頭蓋内の圧力は高くなります。

その結果、脳が全体的に圧迫され、頭痛や吐き気・嘔吐、意識障害などの“頭蓋内圧亢進症状”を引き起こすことがあります。

検査・診断

脳腫瘍が疑われるときは、次のような検査が行われます。

神経学的所見

神経学的所見とは患者の状態を観察し、意識レベルや言語機能、運動機能などを評価・確認することをいいます。この診察によって、脳腫瘍で生じることのある麻痺・言語障害などさまざまな症状を確認します。

画像検査

脳内の腫瘍の有無を評価し、腫瘍の大きさ・個数・位置・周辺組織への広がりなどを調べるためにCT・MRI・PETなどによる画像検査が必須となります。CT検査は迅速に行うことができるため、CTで腫瘍を発見した後、MRI検査でがんの広がりなどを確認することが一般的です。

また、がんの既往があると転移性脳腫瘍が疑われますが、原発のがんが不明な場合には元々どこにがんがあるのか調べるために全身の画像検査が必要になることもあります。

血液検査

血液検査は貧血の有無など全身の状態を調べるほか、がんでは血液中の腫瘍マーカーが高くなることがありますが、脳腫瘍のほとんどは腫瘍マーカーで診断されることはありません。悪性リンパ腫ではIL2-Rというマーカーが高値になることがあります。

病理検査

脳腫瘍には150種類以上のタイプがあるため、どのタイプのものか確定するには手術で腫瘍組織を採取し、病理検査を行う必要があります。

病理検査は、手術中に病理検査を同時にする“病理迅速診断”を行い術後により詳しく検査を行います。病理迅速診断は脳腫瘍が悪性か良性かを見極め、おおよその診断をつけます。たとえば悪性リンパ腫のような脳腫瘍では、放射線化学療法で腫瘍が消失するので無理に切除する必要はありません。また最近では、脳室にある腫瘍に対して神経内視鏡を用いて脳腫瘍の組織を採取し、病理検査で確定診断を行うこともあります。

遺伝子検査

悪性脳腫瘍の分類は腫瘍組織の遺伝子によって分類されます。この遺伝子検査は保険適応にはなっておらず、一部の大学病院やがんセンターの研究室で行われますが、診断や化学療法の効果を予想するうえではとても重要な検査です。

さらに、次世代シークエンサーを用いたがんゲノムプロファイリング検査が行われています。がんゲノムプロファイリング検査は腫瘍組織の遺伝子変異などを網羅的に解析し、新薬の治験に参加できるかどうかを決めるうえで役立つことがあります。

現在は再発した人などごく限られた人にしか行われない検査ですが、いずれより広く行われるようになることが期待されています(2020年7月時点)。

治療

脳腫瘍の根本的な治療は手術による腫瘍の切除です。しかし、脳腫瘍を切除するには開頭手術が必要であり、さらに正常な脳の組織にまでダメージを与えてしまうというリスクがあります。そのため、サイズが小さくほとんど症状がないような良性腫瘍の場合には、治療せずに定期的な検査を行いながら経過観察をするケースも少なくありません。

一方、症状がある場合や画像検査などから悪性腫瘍が疑われる場合は手術を行います。悪性腫瘍の場合、手術後は再発を予防するために放射線治療や抗がん剤治療などを行います。    

脳腫瘍の手術は症状を悪化させずに最大限の腫瘍を摘出することが重要です。そのため“覚醒下手術”が盛んに行われるようになってきています。覚醒下手術とは、皮膚や骨を切開して開頭後に一時患者さんの麻酔を覚まして行う手術です。麻酔がかかっていると確認できない言語機能・運動機能などの脳の機能が保たれているかどうかを確認しながら、腫瘍を切除することができます。このような術式をとることによって、脳の機能を温存しながら腫瘍を取ることができます。

転移性脳腫瘍や一部のロウ性腫瘍では、腫瘍が小さい場合には、ガンマナイフやサイバーナイフなどの定位放射線治療を行います。

予防

脳腫瘍は現在のところ明確な発症メカニズムは解明されていません(2020年7月時点)。そのため、確かな予防方法もないのが現状です。高血圧糖尿病などの病気は脳の血管に障害を引き起こし、脳卒中の原因となります。脳腫瘍に限らず脳の病気を予防するために規則正しい健康的な生活を送ることが大切です。

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