
悪性脳腫瘍の治療は、手術、放射線治療、抗がん剤治療の3つを組み合わせて行います。命に関わることがあるため、診断がついたらできる限り早く入院して、手術を受けることが重要です。札幌柏葉会(はくようかい)病院は、テクノロジーを用いて安全性を担保することを目指しながら、一部の悪性脳腫瘍に保険適用されている治療方法を積極的に導入するなど、悪性脳腫瘍の治療に力を注いでいる病院です。
今回は、悪性脳腫瘍の治療のポイントを述べるとともに、病院の取り組みについて、同院の理事長・院長である寺坂俊介先生に伺いました。
悪性脳腫瘍の治療は、手術、放射線治療、抗がん剤による化学療法という、3つの方法を用いて治療することが必要です。この3つがうまく組み合わさることで、よい治療を目指すことができます。
悪性脳腫瘍であることが画像診断の結果から明らかであり、確定診断がついた場合は、すぐに手術することをおすすめします。その理由は、悪性脳腫瘍は基本的に脳に浸潤している腫瘍だからです。脳の中で、たこ足状に浸潤する悪性腫瘍は、小さければ小さいほど摘出しやすくなります。ただし、腫瘍が小さくても、神経線維に沿って遠くまで腫瘍細胞が伸びている場合があるので、手術だけでなく抗がん剤治療と放射線治療を組み合わせて行います。
患者さんにとっては症状が軽いと感じられて、「悪い“できもの”なんだ」ということを受容できない場合も多いと思います。仕事などの都合から、手術までに少し時間が必要な場合もありますが、医師としては、診断がついたらなるべく早く手術を受けていただきたいと考えています。
悪性脳腫瘍は、維持療法といって、退院して自宅に帰ったあとも抗がん剤での治療を続けます。維持療法を続けながら働かれる患者さんもいらっしゃいますが、抗がん剤を使っている間は体がつらくなったり、倦怠感が出たりするため、仕事を休んで治療をする方もいらっしゃいます。
維持療法は、月に5日間抗がん剤を飲み23日休むという、28日周期の治療です。1コースが1か月で、短くて6コース行います。患者さんの状態によっては、それよりも長期にわたる場合もあります。
悪性脳腫瘍の場合、治療によって白血球の数値が低下することがあるため、感染に弱くなることがあります。食事の際、生ものを避けて、火の通ったものを食べるように気をつけたり、動物との接触を回避したりするよう指導することがあります。白血球が減りにくく、通常に近い状態を保てているようであれば、あまり制限をかけることはありません。
手術の前後は、たばこを控えるようにしてください。私は、患者さんご自身がつらい思いをされていることをよく理解しています。そのため、退院後の喫煙を楽しみにされていても、厳しく止めることはありません。しかし、免疫力が低下すること、ビタミンが壊れることなどから、喫煙は控えていただいたほうがよいでしょう。
2019年現在、悪性脳腫瘍の標準治療としてはテモゾロミドが用いられています。それ以外に、悪性脳腫瘍に効果的な新しい抗がん剤はまだ登場していません。
しかし、近年登場してきた治療の1つで、“腫瘍電場療法”というものがあります。頭に電極を貼り、脳にゆるい電場をかけることで、腫瘍細胞の細胞分裂を防ぐという治療方法です。
腫瘍電場療法は、初めて発症する膠芽腫のみに保険適用されています。実施するためには、指定の講習を修了した医師が行う必要があります。当院では私が講習を修了し、腫瘍電場療法を導入しています。
近年、脳腫瘍の手術において、術中モニターおよび術中ナビゲーションというシステムを使うようになりました。術中モニターでは、麻酔がかかった患者さんのまひの有無を、電気刺激によって確認します。また、視力、聴力、顔の動きなども術中にモニターできるようになりました。術中ナビゲーションとは、術者の使っている器具などが、脳のどの位置にあるのかをモニター上で確認することができるというものです。術中モニターや術中ナビゲーションによって、以前から比べると、より安全性の担保された手術ができる環境が整ってきているのではないかと思います。
悪性腫瘍の場合には、術中に“蛍光診断”という方法を用いることがあります。アミノレブリン酸という薬を手術前に飲んでいただくと、手術中に悪性脳腫瘍が赤い色を発し、腫瘍のある部分を示すため、摘出する際の手がかりとなります。できる限り腫瘍を摘出し、そのうえで安全性のバランスをとることに貢献する新たなテクノロジーも、今後登場してくるのではないかと期待しています。
悪性脳腫瘍と診断された患者さんにお伝えしたいことは、「覚悟を決めて治療をしましょう」ということです。通常、悪性脳腫瘍の治療は、手術、放射線治療、抗がん剤治療という3つの治療方法を同時に、あるいは連続的に行わなければなりません。この3つの治療が可能な病院、もしくは、その病院と連携している病院で、治療することをおすすめします。
札幌柏葉会病院 理事長・院長
周辺で脳腫瘍の実績がある医師
東京都立多摩総合医療センター 脳神経外科 部長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、感染症内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科、血管外科、頭頸部外科、精神神経科、総合診療科、病理診断科
東京都府中市武蔵台2丁目8-29
JR武蔵野線「西国分寺」南口 JR中央線も乗り入れ バス(約5分):総合医療センター(府中メディカルプラザ)行き、西府駅行き 総合医療センター(府中メディカルプラザ)下車 徒歩14分
国立健康危機管理研究機構国立国際医療センター 元副院長・元脳卒中センター長・非常勤、順天堂大学大学院 医学研究科客員教授
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、乳腺腫瘍内科、膠原病科
東京都新宿区戸山1丁目21-1
都営大江戸線「若松河田」河田口 徒歩5分、東京メトロ東西線「早稲田」2番出口 徒歩15分
東京警察病院 脳神経外科 部長、脳卒中センター副センター長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器科、消化器科、腎臓内科、循環器科、小児科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科、総合診療科、病理診断科
東京都中野区中野4丁目22-1
JR中央線(快速)「中野」北口 バスも利用可(関東バス 東京警察病院正門前下車すぐ) 徒歩10分
佐々総合病院 脳神経外科 部長
内科、外科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産科、婦人科、リハビリテーション科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、脳神経内科、肛門外科、放射線診断科、児童精神科、総合診療科、産婦人科、救急科
東京都西東京市田無町4丁目24-15
西武新宿線「田無」北口 徒歩3分、西武池袋線「ひばりヶ丘」西武バス 境03、境05、田42系統 田無駅下車 徒歩3分 バス、JR中央線(快速)「武蔵境」西武バス 境03、境04、境07系統 田無駅下車 徒歩3分 バス
東京医科大学病院 脳卒中センター長、東京医科大学 脳神経外科学分野 主任教授
内科、血液内科、リウマチ・膠原病内科、外科、心療内科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、消化器内科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、矯正歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、循環器内科、糖尿病内科、代謝内科、内分泌内科
東京都新宿区西新宿6丁目7-1
東京メトロ丸ノ内線「西新宿」2番出口またはE5出口 徒歩1分、JR山手線「新宿」西口 その他JR複数線、小田急線小田原線、京王電鉄京王線、都営新宿線なども利用可能 徒歩10分
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