検査・診断
脳腫瘍が疑われるときは、次のような検査が行われます。
神経学的所見
神経学的所見とは患者の状態を観察し、意識レベルや言語機能、運動機能などを評価・確認することをいいます。この診察によって、脳腫瘍で生じることのある麻痺・言語障害などさまざまな症状を確認します。
画像検査
脳内の腫瘍の有無を評価し、腫瘍の大きさ・個数・位置・周辺組織への広がりなどを調べるためにCT・MRI・PETなどによる画像検査が必須となります。CT検査は迅速に行うことができるため、CTで腫瘍を発見した後、MRI検査でがんの広がりなどを確認することが一般的です。
また、がんの既往があると転移性脳腫瘍が疑われますが、原発のがんが不明な場合には元々どこにがんがあるのか調べるために全身のCTやPET検査が必要になることもあります。
血液検査
血液検査は貧血の有無など全身の状態を調べるほか、がんでは血液中の腫瘍マーカーが高くなることがありますが、脳腫瘍のほとんどは腫瘍マーカーで診断されることはありません。悪性リンパ腫ではIL2-Rというマーカーが高値になることがあります。
病理検査
脳腫瘍には150種類以上のタイプがあるため、どのタイプのものか確定するには手術で腫瘍組織を採取し、病理検査を行う必要があります。
病理検査は、手術中に病理検査を同時にする“病理迅速診断”を行い術後により詳しく検査を行います。病理迅速診断は脳腫瘍が悪性か良性かを見極め、おおよその診断をつけます。たとえば悪性リンパ腫のような脳腫瘍では、放射線化学療法で腫瘍が消失するので無理に切除する必要はありません。また最近では、脳室にある腫瘍に対して神経内視鏡を用いて脳腫瘍の組織を採取し、病理検査で確定診断を行うこともあります。
術中の迅速診断によって、手術の方針(全部取るべきか否か)が変わるため、手術は病理医がいて術中迅速診断のできる施設で行うことが望ましいです。
遺伝子検査
最近の世界共通のWHO診断では、悪性脳腫瘍の分類は腫瘍組織の遺伝子によって分類されます。この遺伝子検査は保険適応にはなっておらず、一部の大学病院やがんセンターの研究室で行われますが、診断や化学療法の効果を予想するうえではとても重要な検査です。
さらに、次世代シークエンサーを用いたがんゲノムプロファイリング検査が保険で行われています。悪性脳腫瘍の患者では、残存・局所進行があり、標準治療が終了または見込まれる患者が対象で、全国の大学病院などの指定病院で行われます。がんゲノムプロファイリング検査は腫瘍組織の遺伝子変異などを網羅的に解析し、新薬の治験に参加できるかどうかを決めるうえで役立ちます。
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