インタビュー

脳梗塞後のけいれん発作を予防する―脳梗塞後に抗けいれん薬が必要なときと必要でないとき

脳梗塞後のけいれん発作を予防する―脳梗塞後に抗けいれん薬が必要なときと必要でないとき
徳田 安春 先生

群星沖縄臨床研修センター センター長 、東京科学大学 臨床教授、獨協大学 特任教授、琉球大学 ...

徳田 安春 先生

Choosing Wisely

この記事の最終更新は2015年07月19日です。

脳梗塞は、もっともメジャーなタイプの脳卒中です。症状としては、動脈が閉塞して、脳の一部に血液が運ばれなくなります。その結果、脳に損傷を与え、けいれん発作を引き起こすことがあります。

  • 意志に反した筋肉運動が起こることがある。
  • 異常な感覚が出てくることがある。
  • 意識がなくなることがある。

患者さんが脳梗塞を発症後、このような症状が出た場合、医師は抗けいれん薬を処方します。
ただし、この薬は、必ずしも必要なものではありません。効き目があるどころか、むしろ逆効果になることもあるのです。

脳梗塞後の抗けいれん薬が発作を予防し、また回復の助けになるというエビデンス(確固たる医学的証拠)はありません。もしも患者さんが、脳卒中を起こした直後にけいれん発作を起こしていないなら、この薬を服用する必要はないでしょう。

抗けいれん薬には、以下8つの副作用があります。

  • アレルギー反応
  • 発熱
  • 疲労感・全身倦怠感
  • 胃のむかつき
  • めまい
  • 複視
  • もうろう感
  • 集中力・注意力・焦点の障害

抗けいれん薬の費用は、かかっている保険によって様々です。具体的には、30日間の服用に対して15ドル(約1850円)から700ドル(約86500円)までと、非常に幅があります。

抗けいれん薬は、脳梗塞後、既にけいれん発作を起こした場合にのみ役立ちます。つまり抗けいれん薬を服用することによって、次のけいれん発作を予防することに役立つということです。

なんといっても最重要な予防法は、定期的な血圧の管理です。目安としては2年ごとに血圧を精密測定するとよいです。50歳以上の場合は、さらに頻繁に測定する必要があります。なお、すでに高血圧の方の場合は、お薬の服薬やライフスタイルの改善で血圧を管理する努力をしていきましょう。

善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らすよう、ライフスタイルを改善してみましょう。血液がサラサラになることで、血栓がつくられることはかなり予防できるといえます。つまり、コレステロール値の低下は脳梗塞予防に直結しているのです。また、念のためスタチン系のコレステロール低下薬の服用についても、主治医に相談してみましょう。

主治医にその効用とリスクについて聞いてみましょう。

心臓に問題があると血栓や脳卒中のリスクを引き上げるため、一度は診察してもらうとよいでしょう。

1日の塩分摂取量を、男性の場合は8g・女性の場合は6g以下に抑えることが必要です。また、カリウムを豊富に含んだ果物や野菜、低脂肪の乳製品、赤身のお肉を食べることも効果的です。

週5日・30分間を目安に中程度の有酸素運動(早歩きやサイクリング)をやりましょう。難しければストレッチ運動も効果的です。

男性なら40インチ(101.6㎝)、女性なら35インチ(88.9㎝)を目安に。BMI値は、25以下に抑えてください。BMI(肥満度)については、ConsumerReportsHealth.org/BMLをご参照ください。

男性は一日あたり2杯・女性は1杯までに控えましょう。

もしくは、今吸っていない人であれば、一生煙草を吸わないことです。

※本記事は、徳田安春先生ご監修のもと、米ABIMによる “Choosing Wisely” 記事を翻訳し、一部を日本の読者向けに改稿したものです。今回の翻訳元記事は、 “Preventing Seizures After an Ischemic Stroke” です。

翻訳 Choosing Wisely翻訳チーム 学生メンバー・大阪医科大学 荘子万能

翻訳監修 小林裕貴

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  • 群星沖縄臨床研修センター センター長 、東京科学大学 臨床教授、獨協大学 特任教授、琉球大学 客員教授、筑波大学 客員教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、Journal of Hospital General Medicine 編集長

    徳田 安春 先生

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