インタビュー

失神の種類―頻度の多い迷走神経反射と状況失神について

失神の種類―頻度の多い迷走神経反射と状況失神について
徳田 安春 先生

群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、琉球大学 客員教授、獨協大学 特任...

徳田 安春 先生

この記事の最終更新は2015年06月26日です。

前々回前回の記事に引き続き、日本の総合診療を牽引する徳田安春先生に、失神についてお話をお聞きしました。

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失神の原因となる病気には様々なものがあります。そこで、数記事に渡って代表的なものの特徴をそれぞれみていきます。最初にこの記事で扱うのは、頻度が多く、あまり危険性のない失神です。これには「迷走神経反射」と「状況失神」が含まれます。

迷走神経反射」は、「神経反射性失神」などと呼ばれることもあります。これは、失神のうちのほとんどを占めるものです。発作直前に、なんらかの前兆・前駆症状(後述)が多く起こります。

また、よく起こる場面としては、長時間の立位姿勢や精神的・肉体的ストレスがかかっているときが挙げられます。迷走神経反射はそれ自体が命の危険を及ぼすわけではありません。しかし繰り返すことがあるので、転倒時など、ケガには十分に注意しなければなりません。

「迷走神経反射」の場合には前兆(前駆症状と言います)があることが多いので、それを感じたらなるべく安全なところに行き、横になるか少なくとも座るようにはしましょう。
よくある前駆症状としては「気分が悪くなる」「吐き気がする」「あくびが出る」「急に眠くなる」「視野が少しずつぼやけていく」などがあります。これらの前駆症状が出たらすぐに横になるか、危険でない位置に移動するなどしましょう。

状況失神は、咳嗽(がいそう・いわゆる「せき」)、嚥下(えんげ・食物を飲み下すこと)、排便、排尿、食後などの特定の状況または日常動作が原因となり引き起こされる失神です。これも急激な神経バランスの変化によるものです。つまり、ある動作によって「迷走神経」が活発になり、交感神経の活動が低下することにより血圧低下を起こし、失神に至ります。状況失神も、それ自体が命の危険を及ぼすわけではありません。しかし、繰り返しにはなりますが、ケガなどには注意すべきです。

ある動作・状況により失神してしまうということは、その動作を避けるのが一番です。咳失神であれば、咳止めを飲む・咳喘息の治療をするなど、原因となる咳を止める治療をしていきます。また、排尿や排便時の失神であれば、「急に立ち上がらない」「男性でも便器に座りながら排尿をする」などを心掛けます。このように、ライフスタイルに注意することで改善していくことができます。

これらの失神は、それ自体は命の危険を伴うものではありません。それでも、以下のようなパターンのときには慎重に経過を見たり、場合によっては病院・産業医などへの相談が必要なことがあります。

  • 失神を繰り返してしまう方
  • 失神時にケガをしてしまった方
  • 失神により生活に制限がかかってしまう方
  • 失神が社会的に問題となる場合(バスの運転手など失神が危険に直結する職業の場合、産業医と相談するなどして配置転換をしてもらうことが必要)
受診について相談する
  • 群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、琉球大学 客員教授、獨協大学 特任教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、Journal of Hospital General Medicine 編集長

    徳田 安春 先生

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