インタビュー

心房細動の原因

心房細動の原因
池田 隆徳 先生

東邦大学 医学部内科学講座循環器内科学分野 教授

池田 隆徳 先生

心房細動は多くの方が発症する可能性のある病気であり、若年層から高齢層まで幅広く発症リスクを持っています。それに伴い、心房細動を発症する原因も多々存在します。心房細動の原因について、東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野の池田隆徳先生にお話をお聞きしました。

心房細動は様々な原因で発症する病気で、具体的には以下のとおりです。

心臓に基礎疾患をお持ちの方は、心臓に常に負担がかかっている状態ともいえます。そのため、不整脈を起こす危険性が高まり、心房細動を併発する可能性が上昇します。

70歳代の5%、80歳代の10%程度の割合で発症するといわれています。加齢とともに発症率が増加するのは、心房細動の大きな特徴のひとつです。

高血圧はその名のとおり血管内の圧力が高まっている状態といえます。そうすると、血管内部の細胞に負荷がかかり、傷がつくことがあります。それが原因となり、心臓を動かす電気信号が乱れてしまいます。このような状態によって、高血圧が心房細動の誘因になると考えられています。なお、高血圧患者の絶対数(患者数)が日本には多いため、心房細動と高血圧症の合併者数も他の病気と比較して多いのが特徴です。

不規則な食習慣は高血圧や肥満などの生活習慣病の原因となります。前述のとおり、高血圧は心房細動の危険性を高めます。つまり、生活習慣病が様々な病気の引き金になり、その病気が心房細動を誘発してしまう恐れがあります。また生活習慣病は血栓を作りやすくするため、心原性脳梗塞『心房細動と脳梗塞の関係。心房細動は脳梗塞を引き起こす可能性がある』を参照)を起こす可能性が高まります。

ストレス・過労・不安・不眠・脱水・発熱などが挙げられます。特に若い方が心房細動を起こした場合は、原因としてストレスが深く関わっていると考えられています。

また、自律神経の活動も心房細動を引き起こす要因になりうるといわれています。自律神経が乱れる要因にはやはりストレスや過労、不規則な生活習慣などが挙げられます。

元々心臓に病気を持っている方は心房細動を起こしやすいといえます。心疾患を持っていなくても、貧血や脱水、発熱が要因となって引き起こされる場合もあります。また、高齢者は心筋が線維化し、心臓の構造が若い人と比べてもろくなっているため、心房細動を発症しやすいと考えられています。

その他、甲状腺機能亢進症など内分泌系の病気や、前述した自律神経の乱れ・過度な飲酒・不眠・過労・ストレス過多など、様々な要素が発端となる病気であり、心房細動を起こしやすい素因を持っていなくても発症してしまう可能性は否定できません。心房細動という病気の厄介なところは、上記のように様々な要因が関わっており、健常者であってもなる可能性があるという点にあります。

また、遺伝との関連はごく一部ですが確認されており、近年、研究が進められています。

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