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インタビュー

公開日 : 2016 年 02 月 24 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

東京都立多摩総合医療センター心臓外科部長の大塚俊哉先生は、アメリカ留学時の恩師であり、長年の友人でもあるRandall K. Wolf医師が考案した「ウルフ・ミニメイズ法」を原型として改良を加え、より患者さんの負担が少ない低侵襲内視鏡外科手術「WOLF-OHTSUKA法(以下、WO法)」を考案されました。大塚先生がこの手術法を考案した経緯や、クリエイティブなアイディアを生み出す背景についてお話をうかがいました。

胸腔鏡というキーワード

Wolf氏も実はそうだったらしいのですが、最初にこの手術を始めたとき、心房細動に特に興味があったわけではなかったのです。それよりは日進月歩で進化するテクノロジーと自分のテクニックを活かせる胸腔鏡手術を駆使して、もっと心臓外科に貢献したいという考えがありました。

私の外科医としてのキャリアは心臓外科領域が中心ではありますが、アメリカでWolf氏に師事していたときから、胸腔鏡の手術であれば何でも関わっていました。呼吸器、食道の手術も行いましたし、胸椎の手術など、もはや整形外科の領域まで手がけていたのです。過去の話ですが、関東労災病院の整形外科へ胸椎側弯症の手術を教えに行ったこともあります。

当時から胸腔鏡手術にどれくらいのポテンシャル(潜在的な可能性)があるのかを常に考えていました。

アイディアにテクノロジーがついてくると新しいことができるようになります。するとさらに新しいアイディアが浮かんできます。そのようなプロセスを経て、たまたま心房細動というカテゴリーの中で新しいテクノロジーと自分のテクニックが噛み合って、今ここにいるというわけです。

そういう意味で、自分のキャリアの中では胸腔鏡がひとつのキーワードになっています。心臓の手術に興味があるかと訊かれると、必ずしも心臓のみに興味があるわけではないのかもしれません。しかし、心臓外科領域には現状よりもずっと胸腔鏡を生かせる可能性があるのではないかという好奇心・期待感があります。自分は新しいもの好きですし、Wolf氏も同様です。彼と私はそういうところがとてもよく似ています。

良き友人、Randall K. Wolf医師について

Wolf氏は現在、世界最大のテキサス・メディカルセンターにおり、全世界から患者さんが集まっています。彼の治療にはそれだけ需要が多く、彼自身もポテンシャルもあるということを日々感じているはずです。

彼と私は性格も興味の対象もよく似ており、最初こそ師弟関係でしたが、今は親友関係となっています。私が医師になって何よりも影響を受けたのがWolf氏であるといっていいでしょう。彼によって自分の好奇心の対象が何であるか気づいたということが、私のキャリアの基礎になっています。彼は自分がやりたいことを次から次へとやっていくというところがありましたから、そういう意味で彼の影響は非常に大きなものがありました。

いまでも頻繁にメールのやり取りをしていますし、Facebookでの交流もあります。年に1度はどこかで会っていますし、彼が日本に来ることもあります。一昨年来日した際には、四国にいる共通の友人のところで行われた私の講演に同行してくれましたが、そのときに東京都立多摩総合医療センターで心房細動の手術が2例あったので「手伝うよ」とも言ってくれました。

彼は私にとって初めてできた「同志」と呼べる存在です。日本にいるとそういうタイプの医師に出会うことはなかなかありませんし、私のような変わったキャリアの心臓外科医というのは、まずいないのではないでしょうか。

Wolf氏は好奇心で動いているようなタイプの人間です。ただ、嗅覚が非常に敏感で、様々なことに挑戦しながらも、きちんと結果を出して前へ進んでいます。最終的にこの心房細動に集中していったのは、患者さんが増えてきてそうせざるを得なかったところもあるのでしょうが、やはりそこで結果を残しています。

私も自分の年齢のことを考えると、最終的にこの心房細動治療にフォーカスしていくことになるでしょう。まさに彼を追いかけながらやっているようなところがあります。ただ、彼がいうには、私がWO法をやっていること自体が彼にとってもありがたいのだそうです。私が何らかの形で手術法を進化させたり、違うアイディアを付け加えたり、お互いに刺激を与え合ってより良いものにしていくことが大事なのでしょう。

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