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心房細動はなぜ問題か。脳梗塞を防ぐための対処の必要性
高齢者に多い不整脈のひとつである心房細動は、脳梗塞の原因となることが問題視されています。心房細動があるとなぜ脳梗塞のリスクが高くなるのでしょうか。脳梗塞にならないために心房細動を管理していく必要...
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心房細動はなぜ問題か。脳梗塞を防ぐための対処の必要性

公開日 2016 年 03 月 13 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

心房細動はなぜ問題か。脳梗塞を防ぐための対処の必要性
加藤 貴雄 先生

国際医療福祉大学三田病院 予防医学センター、心臓血管センター、循環器内科/国際医療福祉大学 教授/日本医科大学 名誉教授

加藤 貴雄 先生

高齢者に多い不整脈のひとつである心房細動は、脳梗塞の原因となることが問題視されています。心房細動があるとなぜ脳梗塞のリスクが高くなるのでしょうか。脳梗塞にならないために心房細動を管理していく必要性について、国際医療福祉大学三田病院 予防医学センター・心臓血管センターの加藤貴雄先生にお話をうかがいました。

心房細動とは

心房細動とは、心房内で秩序を失った興奮が不規則に起こっている状態で、電気的には非常に細かく不規則で速い興奮が起きているのですが、有効な収縮が得られなくなり、心房がほぼ止まってしまっているような状態です。

心室細動と心房細動は、同じ細動でもまったく異なる病態です。「細動」というと何かよくわからない、非常に怖いものだと思われる方もいらっしゃいますが、心房細動そのもので命に障ることはありません。一方、心室細動では心室が収縮しなくなり、血液を循環させることができなくなって死亡してしまうのです。

心房細動の原因・誘因

近年心房細動が増えている一番の原因は高齢化です。日本の統計でみると心房細動は年々増加しており、おそらく2015年時点では日本全国で100万人近くになっていると見込まれます。心房細動は高齢になればなるほど発生頻度が高くなり、80歳代ではほぼ1割近くの方が心房細動を起こしているといわれていますので、団塊の世代が高齢化する2025年にはこの数がどこまで増えるか想像がつきません。

高齢化以外にも、心房細動の発症にはさまざまな因子が関与しています。たとえば心筋梗塞などによって心臓の機能が低下し、心臓に負担がかかって心房細動が起きる、あるいは高血圧や弁膜症のために左心房に負担がかかり心房細動が起きるという症例がよくみられます。特に僧帽弁の弁膜症は心房細動を合併する率が非常に高いことが知られています。また若い人では、深酒の後など、夜間に発症する一過性の心房細動もあります。

心房細動はなぜ問題か

心房細動になると有効な心房の収縮ができなくなり、血液が心房の中でうっ滞します。その結果、特に左心房の中に血栓、つまり血のかたまりができやすくなります。この血栓が何かのきっかけで血流にのって左心房から左心室、左心室から大動脈、そして頸(くび)の動脈から頭に行き、頭の中の血管の狭いところに行って詰まってしまうのです。

これが典型的な心原性の脳梗塞というもので、脳梗塞の半数以上を占めていると考えられます。心房細動そのもののリスクよりも、それに伴って起こる脳梗塞のリスクが、何といっても一番の問題点なのです。心房細動が見つかったときは、まず血栓ができないように対処していくという積極的なアプローチが必要です。

心房細動管理の必要性

心房細動は次の3つのタイプに分けることができます

  • 発作性心房細動:数秒間から数分間、あるいは数時間発作が起きて自然におさまることを繰り返す
  • 持続性心房細動:いったん起きた心房細動が1週間以上続いてしまう
  • 永続性心房細動:慢性的にずっと心房細動の状態が続く

心房細動の3つのタイプによってそれぞれ治療のアプローチの仕方が異なりますが、共通して行なわれるのは抗凝固療法です。血栓ができて脳梗塞を起こすリスクを減らすための治療として、3つのタイプに共通して行なわれます。

また、それぞれのタイプごとに、もうひとつのリスクについてのアプローチが必要です。それは心不全を起こすリスクです。

心房細動は1分間に600〜800回という極端に速いペースで心房が興奮するため、いくつかの興奮は心室まで伝わってしまいます。その結果、通常は1分間に60回ぐらいである心室の拍出(はくしゅつ・心臓の拍動によって血液を送り出すこと)回数(心拍数)が、100回、150回と増えてしまうことになります。すると、今度は心臓全体のポンプ機能が損なわれ、血液の循環が悪くなって心不全を起こすリスクが出てくるため、そのリスク管理も同時に考えていく必要が生じます。

発作性や持続性と呼ばれる心房細動は心不全のリスクが高いので、心拍数が増えないようにする治療(通常は薬物治療)を並行して行なっていきます。一方、永続性心房細動になるとだんだん脈が落ち着いてきて、心不全のリスクは比較的少なくなります。このように心房細動のタイプによって、それぞれに必要な治療を同時進行で行なっていくのです。

永続性の場合は自覚症状がほとんどなく、ご本人は気が付かない場合も少なくありません。しかし心電図をとってみて明らかに心房細動であれば、脳梗塞のリスクは同じようにあるわけですから、やはり治療はしなければなりません。

抗凝固療法、増える選択肢

心房細動の治療における一般的な考え方は次のとおりです。

心房細動を管理し、脳梗塞を予防するためには、抗凝固薬・抗血栓薬と呼ばれる薬剤を継続的に服用する「抗凝固療法」を行う必要があります。従来はワルファリンという薬が主に使われてきましたが、近年、新しい経口抗凝固薬が相次いで登場し、治療の選択肢が増えています。抗凝固療法に使われる薬剤については、次の記事以降で詳しく説明していきます。

高橋淳先生監修、心房細動の最新記事はこちら↓

不整脈と、心房細動に対する高周波カテーテルアブレーション

心房細動に対するカテーテルアブレーションの歴史と最新事情 〜発作性心房細動だけでなく永続性心房細動への治療も〜

心臓病、特に心電図および不整脈を専門とし、長年第一線の診療・教育・研究に携わっているエキスパート。日本医科大学付属病院においては要職を兼任し、医療体制の構築・実践に取り組んできた。2012年に退任し現在は名誉教授。循環器に関連する数多くの学会・研究会を主催・主導する一方、講演や執筆を通して幅広く社会貢献活動を行っている。

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