インタビュー

心房細動の心電図検査とは。心房細動は早期発見と早期治療が大切

心房細動の心電図検査とは。心房細動は早期発見と早期治療が大切
池田 隆徳 先生

東邦大学 医学部内科学講座循環器内科学分野 教授

池田 隆徳 先生

この記事の最終更新は2015年10月30日です。

心房細動を発見するにあたり、もっとも重要なのが心電図検査です。心房細動の心電図の特徴は『心房細動とはどのような病気?』でもご紹介しましたが、一般的な心電図はもちろん、近年では新たな仕組みを持った心電図検査法がたくさん開発され、様々なタイプの患者さんに対して的確な検査と診断ができるようになってきています。一般的な心電図検査から最新検査方法、心エコー検査に至るまで、東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野の池田隆徳先生にお話をお聞きしました。

心房細動を発見するための基本的な検査は、心電図検査です。慢性心房細動(詳細は『心房細動とはどのような病気?』)の方であれば、一般的な心電図ですぐに病気を発見することができます。

心房細動の心電図の特徴は以下のように、心房が興奮状態になることによって、波形は不規則に細かい状態が続きます。さざ波のようにF波と呼ばれる波が現れ、基線が直線状にならず、小刻みに震えるような心電図が持続します。また、正常の心電図で見られるP波と呼ばれる部分が確認できません。大きな波の起こる感覚も不規則に生じてしまいます。

心房細動不整脈の一種であり、無症状であることも少なくないため、定期検診の心電図検査で偶然見つかるケースも多いです。ただし会社の検診や学校検診などで心電図が取り入れられていない場合、あるいは数年に一度しか行われない場合は、知らないうちに症状が進行していることもあります。心疾患を持っている方や高齢の方はこまめに検査を受けたほうがよいでしょう。

触診や聴診で心房細動の可能性を疑うことはできますが、確実に診断するためにはやはり心電図検査が必要不可欠です。

通常の心電図以外に、現在は様々な心電計が編み出されています。一般的な心電図の次に多く行われているのが、24時間ホルター心電図です。24時間ホルター心電図であれば、丸一日心臓の動きを観察できるため、発作性心房細動を発見しやすくなります。

また、近年開発されたイベント心電図というものもあります。これはスマートフォンほどの大きさの器械を患者さんに持ってもらい、通常通り日常生活を送っていただくなかで動悸が発生したらその器械を胸に当て、心電図を撮るという仕組みです。結果を病院に持っていき、解析することで、心房細動を起こしているかどうかが分かります。これにより、症状はあるがごくまれにしか発作が出ない患者さんに対しても、的確な検査が行えるようになりました。

さらに、症状すらない方に対しては、体外式ループレコーダー(ELR)という心電計を用いることがあります。

心エコー検査はかつて心臓超音波検査とも呼ばれていました。この検査では心房の大きさや心機能の低下の有無を調べたり、血の塊ができやすい状態でないか、血栓ができていないかなどの確認も行います。

ただし、心エコー検査だけでは血栓をはっきりと確認することができません。万が一血栓ができていることを強く疑う場合、経食道心エコー検査も行われます。この検査では体の内側から心臓を診ることができるため、より確実に血栓の位置や大きさを診断することが可能となります。

心エコー検査は、心房細動に対する様々な治療を行うにあたって必ず行う必須検査です。

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