甲状腺機能亢進症とは、代謝の活発化や成長の促進などに関与する“甲状腺ホルモン”が正常より多く産生されることによって甲状腺ホルモンのはたらきが過剰になってしまう病気の総称です。
主な病気として、“バセドウ病”“機能性甲状腺結節”“TSH産生下垂体腫瘍”“妊娠性一過性甲状腺機能亢進症”が挙げられます。代謝が活発になるため汗をかきやすくなる、食べ物をたくさん食べても太らないなどの症状が現れるほか、自律神経への作用によって手が震えたり、下痢が生じやすくなったりすることもあります。
このページでは、主な甲状腺機能亢進症の治療方法を病気別にお伝えします。
甲状腺機能亢進症は、病気の種類によって治療方法が異なります。
自己免疫疾患の1つで、甲状腺を刺激する自己抗体が生じることにより甲状腺が刺激され、甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまいます。薬物治療・手術治療・アイソトープ治療の中から治療が検討されます。日本では薬物治療を第一選択とすることが一般的で、薬物治療の副作用が出た場合や、服用を継続しても薬を止められる目処が立たないときにそのほかの治療が検討されます。
薬物治療では、甲状腺ホルモンが作られることを抑える“抗甲状腺薬”が処方されます。抗甲状腺薬の副作用としては、かゆみや肝障害、まれに白血球の減少などが見られます。
手術治療では、甲状腺摘出術が検討されます。摘出方法にはいくつか種類がありますが、再発を防ぐために甲状腺を全摘出する方法やごく一部を残す方法(準全摘術)が取られることが一般的です。治療後は、甲状腺ホルモン薬の補充療法が必要です。
アイソトープ治療とは、放射性ヨウ素のカプセルを内服することによって、甲状腺を小さくし、甲状腺ホルモンの産生を抑える治療方法です。治療後は、甲状腺ホルモンの産生量が少なくなるため、甲状腺ホルモン薬の服用が必要な場合があります。
なお、アイソトープ治療は妊娠を早期に希望する女性や若年者の方などには行えないため、注意が必要です。
甲状腺内にしこりのようなもの(腺腫様結節)が生じ、それらが甲状腺ホルモンを過剰に産生することによって生じる病気です。主に手術治療・アイソトープ治療・経皮的エタノール注入療法(PEIT)・薬物療法の中から治療が検討されます。
機能性甲状腺結節の場合、結節が大きい場合や症状が強い場合などには確実に根治できる治療方法として手術方法が検討されることが一般的です。しかし、年齢や全身状態によって手術で生じる体への負担が大きい場合には、アイソトープ治療や経皮的エタノール注入療法、薬物療法などが検討されます。
経皮的エタノール注入療法とは体の表面から針を刺し、結節にエタノールを注入することによって壊死させる治療方法です。嚢胞性甲状腺結節や、機能性甲状腺結節でも結節があまり大きくない場合などに検討される治療方法です。
脳の“下垂体”に生じる良性の腫瘍で、甲状腺ホルモンの産生を促す“甲状腺刺激ホルモン(TSH)”を多く産出するために、甲状腺刺激ホルモンが過剰に産生されてしまう病気です。
TSH産生下垂体腫瘍の場合、脳の腫瘍を取り除くための手術治療が行われることが一般的です。ただし、腫瘍が脳の別の部分に浸潤(広がること)している場合など、全摘出が難しい場合には併せて放射線治療(ガンマナイフ)が行われることもあります。また、何らかの理由で手術が行えない場合や手術などで十分な効果が得られなかった場合には、腫瘍を小さくし、症状を緩和させるための薬物療法が検討されます。
妊娠初期に一時的に生じる甲状腺機能亢進症です。妊娠中期に自然治癒する確率が高いものの、早産・死産などのリスクになる可能性がある場合には、必要に応じて抗甲状腺薬による薬物治療が行われることがあります。
甲状腺ホルモンのはたらきが過剰なときはイライラしやすい、疲れやすいなど体が不調を訴えやすいため、ストレスを避けて体を休めることを心がけましょう。
食生活については、抗甲状腺薬を服用している場合には薬の効き目が悪くなってしまうことがあるため、昆布などヨードが多く含まれた食品を取りすぎないようにしましょう。また、代謝がよくなりすぎて体重が減りやすくなることから、食事や水分を十分に取り、ビタミン・ミネラルなどの栄養素を意識的に取ることが大切です。なお、病気が肝機能に影響を及ぼす可能性があるため、飲酒を控えることを心がけましょう。
甲状腺機能亢進症の治療方法は病気の種類によってもさまざまです。また、患者の年齢や全身状態、症状の現れ方などによっても異なりますので、治療について気になることがあれば、医師に相談してみるとよいでしょう。
医療法人神甲会隈病院 診療支援本部 本部長 内科 副科長
関連の医療相談が28件あります
甲状腺機能亢進症
質問よろしくお願いします。 最近頻脈と体重減少が気になり検査してもらって甲状腺機能亢進症と診断されました。今産後3ヶ月で、一人目の出産の時も一時的に甲状腺のホルモンが過剰分泌しました。3ヶ月程度で薬も飲まなくて良くなりました。今回も同じかな?と思ったのですが、昨日の診断から顎から首にかけてのところが痛いまではいかなくても違和感?があります。口が大きくあきにくいような、、あと、右耳下のあたりが風船を膨らました時のような感じがします。甲状腺と関係あるのでしょうか??違和感が気になります。よろしくお願いします。
3か月前から胸の痛み
こんばんは。20歳です。 3か月前に健康診断を受け甲状腺が腫れていると言われ病院に行き、バセドウ病と診断されました。 今、通院しています。 最近アイソトープ治療を受けました。 健康診断を受けた後ぐらいから右の胸の方が深呼吸(息を吸う)や仕事をしていて疲れてくると圧迫感や息苦しさ動悸があります。 それが、1か月前ぐらいから左の胸の方が深呼吸(息を吐く)や疲れてくると圧迫感や息苦しさ、動悸、腕の付け根の痛みがあります。 主治医に相談したのですがバセドウ病とは関係ないと言われました。 レントゲンも何回かとったのですが異常はなかったです。 毎日痛くなるのでとても辛く原因がわからないので不安です。 何かの病気なのでしょうか。 可能性のある病気や何科にかかるのが良いのか知りたいです。 よろしくお願いします。
バセドウ病 アイソトープの2回目をするか全摘出をするか
16歳の娘は3年程前バセドウ病と診断され薬物療法を開始しましたがすぐに蕁麻疹が出てしまい他のお薬に。 3年間投薬しましたが副作用が出てしまいこのまま投薬は無理とゆうことで全摘出かアイソトープかとゆうことになりアイソトープを選びました。 しかしアイソトープ後半年で数値が上がってしまい再度アイソトープをするか全摘出をするかと担当医師から言われました。 知り合いの方は同じバセドウ病で投薬治療していましたが橋本病に反転してしまいとても辛いと聞いたのでどうしようかと家族で何度も話し合いましたがまだ結果が出ず…。 主人のいとこもバセドウ病で全摘出ではなく少量残したと聞きました。 良いアドバイスがあれば宜しくお願いいたします。
16歳の娘がバセドウ病と診断
娘が昨日 エコーと血液検査の結果 バセドウ病と診断され、メルカゾールの服用を始めました。まだ 16歳なので 副作用の出る可能性のある薬の服用が心配です。 まだまだ先の事ですが、服用中は妊娠も出来ないと聞いた事があります。(それまでに治れば良いのですが…) 若年層のバセドウ病に対しての最適な治療方法と どのような事に注意していったらいいのか 教えてください。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「甲状腺機能亢進症」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。