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新型コロナウイルス感染症の流行に伴うリウマチ患者への対応〜感染や治療に関する注意点〜

新型コロナウイルス感染症の流行に伴うリウマチ患者への対応〜感染や治療に関する注意点〜
竹内 勤 先生

慶應義塾常任理事 慶應義塾大学医学部 リウマチ・膠原病内科 教授

竹内 勤 先生

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とは、2019年12月に中国・湖北省武漢市で報告されて以来、世界各地に感染が拡大している感染症です。初期症状では風邪のような症状が見られ、重症化すると肺炎を引き起こし、命を落としてしまうこともあります。現在のところ、新型コロナウイルス感染症は、基礎疾患(持病)を持っている人がかかると重症化しやすいといわれています。では、リウマチなど自己免疫疾患膠原病)にかかっている人の場合も、重症化リスクは高いのでしょうか。

今回は、自己免疫疾患を持つ人の新型コロナウイルス感染症に関するリスクや薬の服用・病院の受診に関する注意点などについて、慶應義塾大学医学部 リウマチ・膠原病内科教授/日本リマウチ学会 理事長 竹内 勤(たけうち つとむ)先生にお話を伺いました。

※本記事は2020年4月28日時点の医師個人の知見に基づくものです。

現在のところ科学的根拠はありませんが、理論上は自己免疫疾患にかかっている人は新型コロナウイルスに感染しやすく、重症化しやすいといわれています。理由のひとつとして、自己免疫疾患にかかっている人は免疫を抑える治療を受けていることが挙げられます。

病気の治療などで免疫を抑制された状態にある人は、ウイルスに対する免疫力も下がった状態にあるため、新型コロナウイルスに感染しやすく重症化しやすいと考えられます。たとえば、中国の報告によれば、抗がん剤治療を受けている人は新型コロナウイルスが重症化しやすいといわれています。しかし、現在までのところ自己免疫疾患でそのような報告はありません。免疫抑制といってもその程度に大きな差があり、また、その種類も抗がん剤とは大きく異なります。

新型コロナウイルスは新しいウイルスということもあり、まだ分かっていないことも多いです。そのため、この仮説が正しいかどうかはこれから検証が必要であると考えます。

これらの噂に科学的な根拠はまったくありません。そのため、医師に処方されている薬は、これまで通り正しく服用するようにしましょう。

むしろ、自己免疫疾患に使用される“トシリズマブ”や“サリルマブ”などの治療薬は、新型コロナウイルス感染症の重症化を食い止めるのではないかと考えられており、現在治験が実施されています。新型コロナウイルス感染症が重症化するプロセスには、炎症が強く関わっています。トシリズマブやサリルマブは、炎症に関与するサイトカイン*の一種“IL-6(インターロイキン-6)”の作用を抑える効果があり、新型コロナウイルス感染症の重症化に強い炎症反応が関わっていると考えられるため、炎症を和らげ重症化を抑える効果があるのではないかと考えられているのです。ただし、トシリズマブやサリルマブが新型コロナウイルス感染症の治療に本当に有用なのか、有用だとしたらどのタイミングで投与すべきなのかということは、まだ明らかになっていません。

また、同様に自己免疫疾患のほか、マラリアの治療薬として知られる“ヒドロキシクロロキン”という治療薬もウイルスの感染力を抑え免疫を調整する役割を果たすことから、新型コロナウイルス感染症に効果を示す可能性が検討されています。

*サイトカイン:細胞から分泌されるたんぱく質の一種。細胞同士の情報伝達を行う 。

医師に処方されている治療薬は、継続的に服用しましょう。

自己判断でステロイド(プレドニゾロン、デキサメタゾンなど)や免疫抑制剤(メトトレキサートなど)などの治療薬をやめてしまうと自己免疫疾患そのものが悪くなり、入院が必要となってしまうことがあります。そのため、医師の指導のもと正しく服用しましょう。

前提として、薬の服用をやめてしまうことは危険なので、継続して服用できるよう薬を処方してもらう必要はあります。ただし、通院するとなると、病院までの移動中や病院で新型コロナウイルスに感染するリスクもあります。そのため、本当に病院に足を運ぶ必要があるかどうか、まずは病院に電話で相談してみましょう。

症状が安定している人の場合、必要に応じてオンライン診療やFAXによる処方箋の送付を検討してもらえる可能性があります。また、症状が不安定な人など、どうしても病院への通院が必要な場合には、マスクを着用するなど感染予防対策をしっかり行ったうえで通院しましょう。

自己免疫疾患にかかっている人が新型コロナウイルス感染症を疑う場合、まずはかかりつけ医に電話で相談していただきたいです。その人の病気や症状を一番理解しているかかりつけ医に相談することで、患者に合った指示・対応ができると考えられるからです。新型コロナウイルス感染症が流行している今の時期、病院の電話は混雑状態でなかなか連絡がつかないかもしれませんが、連絡があったことを病院に伝え、連絡を待ちましょう。連絡がとれないときは、相談しやすい近くの医院・病院を受診しましょう。

新型コロナウイルス感染症を疑うような症状が出た場合でも、ステロイドを含めた治療薬は継続的に飲み続けてください。これは、新型コロナウイルス感染症に限らず、風邪などほかの病気にかかったときでも変わりません。特に、ステロイドは突然服用をやめてしまうと、急性副腎不全を起こしショック症状が出ることもあり危険です。

なお、服用してよいか悩んだときや何か気になることがあったときは、かかりつけ医に相談しましょう。

日常生活で注意することは、自己免疫疾患にかかっている人でも一般の人と変わらず、感染予防対策を入念に行うことです。新型コロナウイルスは感染しても症状のでない人もいるため、人が多く集まる場所では知らない間に感染が広がる危険性があります。アメリカ・コロンビア大学の報告*では、出産のために入院した無症状の妊婦を対象にPCR検査を行ったところ、13.5%が陽性だったというデータが発表されました。このデータから、無症状の人のおよそ10人に1人が新型コロナウイルスに感染している可能性があると考えることもできます。

いつ感染者と接触するか分からないということを念頭に置き、なるべく外出しないことや手洗い・うがい・人との距離を保つことを心がけるようにしましょう。また、自己免疫疾患にかかっている人だけでなくその家族も感染予防対策をしっかり行い、自己免疫疾患を抱える人にうつさないよう意識していただきたいです。

*引用元:Universal Screening for SARS-CoV-2 in Women Admitted for Delivery

日本リウマチ学会では、2020年2月より“新型コロナウイルス(COVID-19)の対応について”という特設ページを開設しています。このページでは、患者様向け・医師向けそれぞれに新型コロナウイルスに関する情報を掲載しており、新しい情報があればその都度アップデートを行っておりますので参考にしてみてください。

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