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4/30更新:新型コロナウイルス関連肺炎(COVID-19)対策で今できることとは

4/30更新:新型コロナウイルス関連肺炎(COVID-19)対策で今できることとは
岸田 直樹 先生

感染症コンサルタント 、北海道科学大学 薬学部客員教授、一般社団法人Sapporo Medic...

岸田 直樹 先生

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この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2020年04月30日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。

世界各地で新型コロナウイルス関連肺炎(COVID-19)の感染が広がっており、日本でも大都市を中心に感染が拡大しています。2020年4月7日には7都市に緊急事態宣言が行われ、4月16日には全都道府県にその範囲が拡大しました。

では、新型コロナウイルスの感染予防や感染拡大の防止には、どのような対策が効果的なのでしょうか。

新型コロナウイルスは人から人に感染を起こすウイルスで、現在のところ1人の感染者から2~3人程度に感染させる力を持つのではないかと考えられています。

感染経路については重症患者や閉鎖空間での空気感染が懸念されていますが、基本は飛沫感染もしくは接触感染であると考えられています。飛沫感染では感染者のくしゃみや咳、唾などと一緒に放出されたウイルスを口や鼻から吸い込むことで感染します。一方の接触感染は、たとえば感染者がくしゃみや咳を手でおさえた後、その手で物に触れてウイルスが付着し他者がその物に触った手で口や鼻、目を触ることで感染します。

また、新型コロナウイルスは重症患者からだけでなく、軽症の患者や無症状の人からも感染することが分かっています。発症者のウイルス量は発症数日前から増え始め、発症する0.7日前が最大となることも分かってきており、症状がなくても多くのウイルスを持っていて人に感染させてしまう恐れがあります。このようなデータから流行地や医療機関では拡散を防ぐために、症状の有無にかかわらずユニバーサルマスキング(常時マスク着用)を推奨するところが増えてきています。

したがって、感染や感染の拡大を防ぐためには飛沫・接触感染の両方に対する対策を行う必要があります。また、症状のない人からも感染する可能性があるため、人と接触する機会を減らしたうえで健康管理や室内環境の改善も重要です。

3つの密を避ける

新型コロナウイルスは人から人にうつるウイルスなので、感染を防ぐために極力の人の集まる場所には足を運ばないようにしましょう。“換気の悪い密閉空間”“多数の人が集まる密集場所”“間近で会話をする密接場面”は“3つの密”と呼ばれ、特に集団感染が生じやすいことが分かっています。

また、2020年4月に出された緊急事態宣言では、通常時の8割の行動自粛が求められています。国民全員が行動制限を守り、人と接触する機会を極力減らすことで感染拡大を抑える効果が期待できます。

手洗い・うがい

電車やバスのつり革、ドアノブなどさまざまなものに触れることによって、自分の手にウイルスが付着している可能性があります。そのため、帰宅時や調理・食事前などにせっけんをつけて手洗いを行うようにしましょう。アルコールを含んだ消毒液で手を消毒するのも効果的です。また、手洗い・アルコール消毒に加えて、うがいもしておきましょう。

普段の健康管理

新型コロナウイルスに限らず、あらゆる感染症は免疫力が低下しているときにかかりやすくなります。しかし、過度な免疫力の向上にチャレンジする必要はありません。普段からバランスのよい食事と十分な睡眠を心掛けることが重要です。持病がある人などは公共交通機関や人混みの多い場所を避けるなど、よりいっそうの注意が必要です。

また、普段からセルフケアに気をつけている方は体調の変化にも気がつきやすいとされます。普段の健康管理をあらためて見直してみてください。

適度な湿度を保つ

1年の中で特に冬は空気が乾燥しています。空気が乾燥すると喉粘膜の防衛機能が低下してウイルスが侵入しやすくなるので、室内では加湿器などを使用して適切な湿度(40%以上)に保つことが大切です。

部屋の換気

換気をしていない密室はウイルスがこもりがちです。定期的に部屋の換気をするのも効果的とされています。特に寒冷地では住宅の気密性が高い作りとなっています。そのような地域では積極的な換気を心掛けましょう。

外出時のマスクの着用

感染予防(感染しない)におけるマスク着用の効果はあまり認められていません。しかし、マスクをしていると手で顔を触る回数が減り、手についたウイルスが鼻や口から入る確率が減るほか、咳やくしゃみなどによってウイルスが飛散するのを防ぐ効果が高いとされています。咳やくしゃみなどの症状がある場合には積極的にマスクを着用し、感染拡大の防止に努めましょう。

また、前述の通り、症状がなくても新型コロナウイルスに感染し大量のウイルスを持っているケースがありますので、流行地や医療機関では万一のウイルス拡散を防ぐために、症状がなくてもマスクを着用することを心掛けましょう。

咳エチケット

咳やくしゃみがある場合、咳やくしゃみを手でおさえると、その手で触った吊り革やドアノブなど周囲のものにウイルスが付着し、それらを介してほかの人にうつす可能性があります。咳やくしゃみがある人でマスクを着用していない際には、ティッシュやハンカチ、袖、肘の内側などを使って口や鼻をおさえるようしましょう。

新型コロナウイルスが疑われるような症状があった場合、直接病院を受診するのではなく、まずは“帰国者・接触者相談センター”へ電話で問い合わせましょう。具体的には、以下に当てはまる場合に“帰国者・接触者相談センター”への相談が推奨されています。

  • 風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている(解熱剤を飲み続けなければならないときを含む)
  • 強いだるさ(倦怠感(けんたいかん))や息苦しさ(呼吸困難)がある

* 高齢者や基礎疾患などのある人は、風邪の症状や37.5℃以上の発熱が2日程度続く場合、または強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合。

* 妊娠中の人も、念のため気になる症状があった場合早めに相談するようにしましょう。

また、帰国者・接触者相談センターの指示で病院を受診する際は、マスクを着用するなど感染症対策を徹底しましょう。なお、厚生労働省では新型コロナウイルス感染症の疑いがある人に対するオンライン診療の実施を検討中です(2020年4月30日時点)。

新型コロナウイルスは人から人への感染が認められている感染症で、無症状の感染者もいることから知らないうちに感染が広がってしまう恐れもあります。そのため、一人ひとりが新型コロナウイルスに感染しない・自分が感染している場合を想定して周囲に感染させないという意識を持ち、3つの密を避け、今以上の感染予防対策を実施することが重要です。手洗いやうがい、咳エチケットなど基本的な感染症対策はもちろん、大都市など大きな流行となっている地域では行動制限をきちんと守ることで感染予防や感染拡大の防止に努め、感染拡大のスピードをできるだけ遅くし、重症患者で医療機関が対応できなくならないようにすることが重要です。

  • 感染症コンサルタント 、北海道科学大学 薬学部客員教授、一般社団法人Sapporo Medical Academy(SMA) 代表理事

    日本感染症学会 感染症専門医・指導医日本内科学会 総合内科専門医日本化学療法学会 抗菌化学療法指導医 ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター

    岸田 直樹 先生

    “良き医学生・研修医教育が最も効率的な医療安全”をモットーに総合内科をベースに感染症のスペシャリティを生かして活動中。感染症のサブスペシャリティは最もコモンな免疫不全である“がん患者の感染症”。「自分が実感し体験した臨床の面白さをわかりやすく伝えたい」の一心でやっています。趣味は温泉めぐり、サッカー観戦(インテルファン)、物理学、村上春樹作品を読むこと。 医療におけるエンパワメントを推進する法人を立ち上げ活動している。

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