
世界的に感染が拡大している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。これに感染しているかどうかを判別する方法に、“PCR検査”があります。PCR検査は遺伝子の検査に使用される方法の一つであり、SARSの検査にも使用されました。本記事では、2020年3月に保険適用されたことでも話題になった、新型コロナウイルス感染症に対するPCR検査について解説します。
新型コロナウイルスに感染しているかどうかを調べるには“PCR検査”を行います。PCR検査とは、検査を受ける人の体液などから検体を採取し、特定のDNAだけを増やす検査です。検体を採取する際に周囲に感染を拡大させる恐れがあるため、院内感染防止や検査の精度管理の観点から、体制が整っている“帰国者・接触者外来”でPCR検査を実施しています。
かかりつけ医などに相談があった場合、医師はPCR検査の必要があるかどうか判断し、必要な場合は保健所に設置されている“帰国者・接触者相談センター”を経由して帰国者・接触者外来に誘導します。帰国者・接触者外来では、かかりつけ医などの判断も考慮に入れたうえで、必要と認められる場合にPCR検査を行います。
*高齢者、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)など)がある方、透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方、妊娠中の方
なお、症状が4日以上続く場合は必ず“帰国者・接触者相談センター”に問い合わせをしましょう。症状には個人差があるため、強い症状だと感じる場合はすぐに相談をしてください。
【各都道府県の帰国者・接触者相談センターはこちら(厚生労働省リンク)】
PCR検査は、ウイルスゲノムを検出するという原理から、一般論として感度は低く特異度は高い検査と考えられます。感度が低いということは、“偽陰性率(新型コロナウイルス感染症にかかっているにもかかわらず陰性となってしまう確率)”が高いということです。実際に、PCR検査で陰性が出たが、後日陽性となった人も存在します。したがって、新型コロナウイルス感染症が疑われる方は、検査結果にかかわらず外出を控えることが必要です。一方、特異度は高いため、感染していない人が陽性と判定される確率は高くないと考えられます。
地域における入院のキャパシティにもよりますが、PCR検査の結果が陽性でも症状が軽い場合は自治体が用意した施設または自宅で経過観察となります。症状が変化したときは直ちに医療機関に連絡し、必要により入院することとなります。
軽症かどうかの判断は医師によって行われます。感染拡大を防ぐため、自宅または宿泊施設で療養している人は、たとえ症状が軽くなったとしても一定期間外出せずに療養していただくことが必要です。また、一般的に、感染症は一度かかったら短期間で再度かかることは考えにくいとされていますが、軽快したものが再燃することも考えられます。一度新型コロナウイルスの感染が確認され、軽快したのちに退院し、再度PCR検査を行ったところ陽性となった事例もあるため、さらなる分析がされています。
PCR検査には、行政(保健所など)が行うものと一般の医療機関が行うものがあり、それぞれ対象や目的が異なります。
行政検査は、感染の連鎖を防ぐことを目的として、14日以内の海外渡航歴がある方や濃厚接触者、重症の肺炎が疑われる方を中心として、行政が積極的に疫学調査を行うものです。これは保健所などで行います。この場合検査にかかる費用は無料です。陰性だった場合に高額な費用が請求されることもありません。
臨床検査は、医師の判断で行うPCR検査です。3月6日にPCR検査が保険適用されたことにより、保健所への相談を介することなく医師の判断で帰国者・接触者外来を紹介できるようになりました。これは新型コロナウイルス感染症の重症化を防止することが目的です。帰国者・接触者外来では、医師の判断を考慮して必要と認められる場合にPCR検査が行われます。
現在の日本においては、この両者をバランスよく実施することが重要です。
医師の判断でPCR検査を行えるようになれば、民間検査機関が設備投資や増員を行うことで検査体制のキャパシティにも徐々に増加が見込めます。政府の“新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策 第2弾”によれば、1日最大7,000件まで検査能力が拡大すると見られています。一方で、PCR検査体制のキャパシティがいっぱいになる頃には、簡易検査キットが開発されているのではないか、という見解もあります。
現在、検査時間を短縮できる検査方法の開発が進んでいます。すでにPCR検査と同じくらいの精度があることが確認された機器が二つあり、検査時間の短縮や医療機関等での検査の実施拡大にも繋がると考えられています。
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