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新型コロナウイルス感染症で死亡するリスクを考える~致死率と死亡率の違いとは~

新型コロナウイルス感染症で死亡するリスクを考える~致死率と死亡率の違いとは~
忽那 賢志 先生

大阪大学 大学院医学系研究科 感染制御医学講座(感染制御学) 教授

忽那 賢志 先生

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この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2020年04月28日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。

新型コロナウイルス感染症は、2019年12月に中国湖北省武漢市で発生が報告された病気です。主な症状は、発熱、咳、倦怠感(けんたいかん)など風邪と似ており、重症化すると肺炎が生じることもあります。重症化し、肺炎が生じても半数以上の場合は治療を行うことで徐々に回復しますが、肺炎が悪化し重篤化すると急性呼吸器症候群(ARDS)や毒症ショック、多臓器不全などが起こり、場合によっては死亡するケースもあります。

本記事では、新型コロナウイルス感染症によって死亡するリスクや死亡リスクが高い人の特徴などをお伝えします。

新型コロナウイルス感染症に限らず、特定の病気で死亡した人の割合を求める場合、“死亡率”と“致死率”の違いを理解しておく必要があります。そのため、ここでは死亡率、致死率の言葉の意味と、算出方法について解説します。

死亡率とは集団のなかで一定期間に亡くなった人の割合のことをいいます。たとえば、厚生労働省が毎年発表している“人口動態統計月報年計”では日本の1年の死亡率を10万人のうち何人が亡くなったというデータで示しています。このデータの場合、死亡率は1年に死亡した人の数/その年の日本の人口×100,000で計算されます。

新型コロナウイルスに感染していない人を含めた全人口のなかで、新型コロナウイルス感染症によって死亡した人の割合について知りたい場合、“死亡率”を求めます。

致死率とは、ある病気にかかった人の集団のなかでの死亡者の割合を指します。“致命率”と呼ばれることもあります。致死率は%(パーセンテージ)で表され、ある一定期間にその病気によって亡くなった人の数/同じ期間のその病気の患者数×100で計算することができます。

新型コロナウイルス感染症にかかった人のうち、新型コロナウイルス感染症によって死亡した人の割合について知りたい場合は“致死率”を求めます。

新型コロナウイルス感染症で死に至る確率を知る指標には、致死率を参考にするとよいでしょう。前述した通り、致死率とはある病気にかかった集団のなかの死亡者の割合であるため、致死率を求めることで新型コロナウイルスに感染した人のなかで、何%程度の人が死亡しているのかが分かります。

2020年4月28日現在、中国の新型コロナウイルス感染症患者のデータによると、新型コロナウイルスの致死率は約2.3%とされています。この数値は、同じコロナウイルスの仲間で2000年代以降に猛威をふるったSARSMERSと比較すると、低いと考えられています。ただし、致死率が0.1%以下といわれているインフルエンザよりは高いとされています。

新型コロナウイルス感染症は、高齢者や基礎疾患がある人が感染すると重症化しやすく、死亡する人の割合が高くなることが分かってきています。WHOの報告によると、80歳代以上の方の場合、致死率は21.9%と非常に高くなるといわれています。また、以下のような基礎疾患を持っている人の場合も、新型コロナウイルスに感染すると重症化し、死亡するリスクが高いと考えられています。

<新型コロナウイルス感染症が重症化しやすくなる基礎疾患>

新型コロナウイルス感染症は、SARSMERSなどと比較すると致死率は低いと予想されています。過剰な危険視を避け、適切に予防対策を行うことを心がけましょう。ただし、高齢者や基礎疾患のある人の場合、重症化し死亡するリスクが高まることが分かっているため、対象となる人やその家族は注意が必要です。

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