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現在明らかになっている新型コロナウイルス感染症の特徴とは?〜正しい知識を身につけて感染拡大を防ぐ〜

現在明らかになっている新型コロナウイルス感染症の特徴とは?〜正しい知識を身につけて感染拡大を防ぐ〜
忽那 賢志 先生

大阪大学 大学院医学系研究科 感染制御医学講座(感染制御学) 教授

忽那 賢志 先生

目次
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この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2020年06月12日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症はコロナウイルス感染症の一種で、発熱・咳・筋肉痛などの症状が見られるほか、重症化すると肺炎を発症することもある病気です。2019年12月から中国・武漢市で流行し、その後世界各地に感染が拡大しています。ニュースやインターネットなどでは日々さまざまな情報が飛び交っており、素人ではどのような情報を信じて取り扱ってよいか判断するのは困難です。

そこで本記事では、新型コロナウイルス感染症の感染経路や症状、治療方法など現在明らかになっている正しい情報をお伝えします。

※本記事は6月15日時点の情報です。

新型コロナウイルス感染症の感染経路は、現在のところ“飛沫感染”と“接触感染”の二つが考えられています。以下では、それぞれの感染経路についてお伝えします。

飛沫感染(ひまつかんせん)とは、くしゃみや咳、会話などによって感染者の飛沫(つばなど)が飛んだ際、ほかの人がそれを口や鼻から吸い込むことによって感染してしまうことをいいます。人が密集する屋内など換気が不十分で、お互いの距離が近い場所にいると感染してしまう恐れがあります。

接触感染とは、物を触ることによって物に付着していたウイルスが手に付き、それが口や鼻から吸収されることによって感染してしまうことをいいます。物にウイルスが付着してしまう主な原因は感染者が手で抑えてくしゃみなどをして、ウイルスがついた手でそのまま物を触るためです。その結果、直接感染者と接触することがなくても物を介して感染してしまう可能性があります。たとえば、電車やバスのつり革、ドアノブなど不特定多数の人が触る物にウイルスが付着している可能性があります。

新型コロナウイルスに感染すると発熱・咳・喉の痛み・筋肉痛・倦怠感など、いわゆる風邪のような症状が現れるほか、嗅覚・味覚障害が生じることがあります。また、人によっては頭痛や下痢などの症状が伴うこともあります。重症化すると肺炎を発症することが分かっていますが、どのような場合に重症化するかについては現時点では明らかになっていません。

また、新型コロナウイルスに感染しているものの、これといった症状がないままウイルスが排除されることもあります。このような人のことを“無症状病原体保有者”といいます。現段階では無症状病原体保有者から新型コロナウイルスに感染する頻度は、症状のある新型コロナウイルスの感染者から感染するよりも低いと考えられています。

新型コロナウイルス感染症に対して有効な治療薬としてレムデシビルが挙げられます。レムデシビルは重症の新型コロナウイルスの感染者に使用することで症状のある期間を短縮できます。現時点(2020年6月)では、レムデシビル以外に有効な治療薬はありません。そのため重症ではない感染者には解熱剤や咳を抑える薬などを処方し、症状を和らげる治療(対症療法)を行います。

新型コロナウイルス感染症が疑われる場合、すぐに病院を受診するのではなく、まずは“帰国者・接触者相談センター”に相談しましょう。厚生労働省では、具体的には以下のような症状がある場合に相談するよう呼びかけています。

帰国者・接触者相談センターへ相談する目安

  • 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)、高熱などの強い症状のいずれかがある場合
  • 重症化しやすい人*で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
  • 上記以外の人で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合

*高齢者、基礎疾患(糖尿病心不全、呼吸器疾患〈慢性閉塞性肺疾患など〉など)がある人、透析を受けている人、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている人、妊娠中の人

なお、症状が4日以上続く場合は必ず“帰国者・接触者相談センター”に問い合わせをしましょう。症状には個人差があるため強い症状だと感じる場合はすぐに相談をしてください。病院の受診時にはマスクを着用するなどして感染の拡大防止に努めるようにしましょう。

新型コロナウイルス感染症はまだ明らかになっていないことも多く、情報が交錯しています。誤った情報に惑わされず厚生労働省など信頼できる情報源から情報を得るようにし、適切に対処・予防するよう心掛けましょう。また、新型コロナウイルスの予防には、手洗いや日頃の健康管理が有効といわれています。せっけんを使用した入念な手洗いや十分な睡眠・食事などを心掛け、感染拡大を防ぎましょう。

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