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東京都医師会副会長 角田 徹先生に聞く、新型コロナウイルスの正しい消毒方法 ~手洗いは流水だけでもいい? うがい薬に効果はあるのか~

東京都医師会副会長 角田 徹先生に聞く、新型コロナウイルスの正しい消毒方法 ~手洗いは流水だけでもいい? うがい薬に効果はあるのか~
角田 徹 先生

日本医師会 副会長、角田外科消化器科医院 院長

角田 徹 先生

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この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2020年10月29日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。

2020年9月現在、新型コロナウイルス感染症に対してさまざまな感染対策が講じられており、たとえば商業施設の出入り口では人々が手指を消毒する姿が見受けられます。

世間にはさまざまな消毒方法があふれていますが、実際に新型コロナウイルスへの感染を防ぐためにはどのような方法が有効なのでしょうか。今回は新型コロナウイルス感染症の基本的な予防方法や消毒の方法などについて、東京都医師会副会長 角田 徹(かくた とおる)先生にお話を伺いました。

新型コロナウイルスは飛沫感染、接触感染という2つの感染経路から感染することが明らかになっています。そのため、それぞれの感染経路に合わせた対策が必要です。

飛沫感染を防ぐためには、みなさんもよくご存知かと思いますが、3つの密(3密)を防ぐこと、マスクを着用すること、換気をすることなどが大切です。

3つの密(3密)を防ぐ

3つの密とは“密閉・密集・密接”を指し、大人数で換気の悪いところに集まることをいいます。このような環境では飛沫が飛び交いやすく、飛び散った飛沫を他者が吸い込むことによって新型コロナウイルスに感染しやすいことが分かっています。

マスクの着用――暑い時期は適宜外すことも大切

自分の飛沫をほかの人に飛ばさないように、人に会うときはマスクを着用するようにしましょう。

しかし一方で、夏の暑い時期などにマスクをして出歩くと心臓や肺に負担がかかり、熱中症にかかってしまうこともあります。熱中症は重症化すれば命に関わる危険な病気です。屋外でソーシャル・ディスタンスをきちんと取れる状態であれば、積極的にマスクを外すようにするとよいでしょう。特に高齢の方など体に負担がかかりやすい方や、ジョギング中にマスクをしている方は熱中症の危険が高いと考えられます。

換気をする

屋内で人が集まるときには、こまめな換気を心がけましょう。具体的には1時間に2回、数分程度の換気を行うことが望ましいといわれています。

人がよく触るものにはウイルスが付着している可能性があるため、接触感染の予防方法としてはこまめな手洗いがもっとも重要です。新型コロナウイルスの場合、プラスチックや金属に付着した後も72時間ほど残存するというデータがあり、それらの付着したウイルスを手で触り、その手で粘膜に触れてしまうと感染してしまう恐れがあるといわれています。

手洗いは流水だけでもよいのか

感染対策で理想的な手洗いは、流水と石鹸を使用し、十分な時間をかけて行うことです。しかし石鹸がない環境では、流水で15秒手を洗うだけでも手に付着しているウイルスの数を100分の1まで減少させることができるといわれています。

ちなみに、石鹸を使用して10秒間もみ洗いをし、その後流水で15秒すすいだ場合には、手に残っているウイルスの数は1万分の1まで減少します。このように、手洗いは非常に有効な感染症対策であるため、手洗い後は消毒液を使用しなくてもよいと考えられています。手洗いができない環境の場合には、消毒液を使用して手指を消毒するとよいでしょう。

家庭内などでは物の消毒も大切

家庭内など人が集まるところでは、手すりやドアノブなどを消毒液で拭き取り消毒することも効果的です。拭き取りの消毒をすることによって、手すりやドアノブなどに付着したウイルスを死滅させることができます。

そのほかの感染症対策としては、免疫状態を高めるために規則正しい生活を送ることや体調が悪いときには無理をして出かけないことなどが挙げられます。日頃からバランスのよい食生活を心がけ、睡眠をしっかりとることによって、感染症にかかりにくい体づくりをしておきましょう。また、体調が悪いときにはしっかり休むようにしましょう。

新型コロナウイルスに効果のある消毒液としては、アルコール消毒液や次亜塩素酸の含まれた消毒液などが挙げられます。基本的には消毒液として販売されているものを、パッケージにある説明どおりに使用するのがもっとも効果的と考えられます。アルコールの消毒液を使用する場合には、アルコール度数が70%以上のものを使用することが望ましいといわれていますが、60%台でも一定の有効性があると考えられています。

アルコール消毒液の供給が追いつかず入手が困難だった際には、次亜塩素酸が含まれた消毒液も広く使用されていました。次亜塩素酸が含まれた消毒液には“次亜塩素酸ナトリウム”と“次亜塩素酸水”があります。名前は似ていますがこの2つは別物で、次亜塩素酸ナトリウムは塩素系漂白剤のことです。

物を消毒する際に薄めた次亜塩素酸ナトリウムで拭き取りを行うことは効果的であると考えられます。次亜塩素酸水も一定の濃度があれば消毒効果が見込めますが、非常に不安定な消毒液で、作成してから時間が経つと効果が薄れてしまいますので注意が必要です。

前述のとおり、アルコール消毒液はアルコール度数が70%以上であることが必要ですので、一般的な飲用酒での代用は難しいと考えられます。しかし、アルコール消毒液が入手困難だった時期に、いくつかの酒造メーカーが消毒にも使用できる高濃度のアルコールを販売していました。これらの中にはアルコール度数が70%を超えるものもあるため、消毒液として使用できるものもあるでしょう。

外出時などに多くの人がよく触れる場所に触れてしまい、すぐに手洗いができない場合には手指の消毒をするようにしましょう。たとえば、電車の吊り革やエスカレーターのベルトなどに触れた場合には、消毒をしたほうがよいと考えます。

最近はお店の出入り口にも消毒液がよく置かれていますが、可能であれば入店時と退店時の両方で消毒していただくのがよいと思います。入店時に消毒をすれば店内へのウイルスの持ち込みを防ぐことができますし、退店時に消毒をすれば店内でウイルスに触れることがあったとしても、それを持ち出すことを予防できます。

消毒液を使用する際は手のひらだけでなく、指の間や爪の間、手首など広範囲に刷り込むようにしましょう。また、消毒をする前の手で顔を触ったり、目をこすったりすると、手についたウイルスが粘膜に付着し、感染につながります。手を消毒する前や手を洗う前は、顔に触れないように注意しましょう。

前述のとおり、流水と石鹸による手洗いには十分な予防効果があると考えられています。そのため、基本的には手洗いの後に消毒液を使用する必要はありません。やってはいけないというわけではありませんが、手洗いだけでも構いません。

また、子どもや皮膚が弱い方の場合には、消毒液を多用することによって皮膚が荒れてしまうこともあります。そのような場合は消毒液を使用しなくても、こまめに手洗いを行うだけで十分な予防効果があると考えられています。

一般的な石鹸であれば、手洗いに使用することによって予防効果が期待できます。牛乳を成分とする石鹸やボディソープであっても、通常の石鹸と同等の効果があると考えられます。

新型コロナウイルスの感染対策として使用されているアルコール消毒液や次亜塩素酸を含む消毒液と比較して有効かどうかは分かりませんが、使用が可能な環境であるならばPHMBやIPAを使用してもよいでしょう。

そもそも、うがいに感染症の予防効果があるという根拠がないため、難しい質問です。外出後にうがいをすること自体は衛生上悪いことではないのですが、感染症を予防するという観点では過度な期待はできないのが実情です。私としては、衛生的な意味で外出後に水でうがいをする程度で十分ではないかと考えています。

うがい薬に含まれるポピドンヨードに殺菌作用があることは確かなのですが、うがい薬に使用されているポピドンヨードの量は人の粘膜に障害を起こさない程度にとどめられています。そのため、その量で感染症を予防するほどの十分な殺菌効果があるかどうかは疑問です。また、ヨードアレルギーのある方や甲状腺機能亢進症など甲状腺の病気を持っている方は、ポピドンヨードの含まれたうがい薬を使用することによって重篤な症状が現れることもあります。

なお、最近では新型コロナウイルスの診断時に唾液を使用したPCR検査が実施されています。この検査前にポピドンヨードうがい薬でうがいをしてしまうと、唾液内のウイルスが減少してしまうことによって検出率が下がり、正しい結果が得られなくなってしまうこともあります。そのため、PCR検査前にポピドンヨードうがい薬でうがいをすることも控えましょう。

これも、人が飲むような濃さの緑茶で感染症を予防する効果が得られるかは疑問です。このような研究で使用されている緑茶の濃度は、一般的な飲用の濃度ではないことが予想されます。もちろん、緑茶を飲んではいけない、緑茶でうがいをしてはいけないということではありませんが、それらをすることによって目に見えて感染しにくくなるということはないと考えられます。

ポピドンヨードうがい薬以外の消毒液は、基本的には口に入れないで下さい。アルコール消毒液や次亜塩素酸を含む消毒液を口に入れることは絶対にやめましょう。うがいを目的とするのであれば、水道水で十分と考えます。

家族が共通で触れる場所はこまめに消毒することを心がけましょう。たとえば、トイレの便器や洗面台周辺は飛沫が飛びやすいため、こまめに消毒をすることが大切です。また、ドアノブやテーブルの上、電気のスイッチなども可能な限り消毒するとよいでしょう。ただし過敏になりすぎず、気がついたときにやるという意識で十分でしょう。

物を消毒するときは、水拭きで汚れを拭き取った後に消毒液で拭き取りをするとよいでしょう。ご家庭で消毒する際には次亜塩素酸ナトリウムを薄めたものを使用することが一般的です。薄め方や使用方法などはパッケージを見て確認しましょう。また、金属など一部の材質では次亜塩素酸ナトリウムが付着すると変質することもあるため、パッケージの説明をよく読み、取り扱いに注意しましょう。

必ずパッケージにある用途や濃度を確認して使用するようにしましょう。たとえば、アルコール消毒液は手指の消毒と物の消毒両方に使用できるものもありますが、次亜塩素酸ナトリウムは物の消毒には使用できても、手指の消毒には使用できません。

革製品などは、ものによっては消毒液を使用することによって色落ちやシミの原因となることもあります。そのため、乾拭きなどで可能な限り汚れを落とすだけにとどめたほうがよいでしょう。消毒ができないぶん、触った後は手を洗ったり、手指を消毒したりすることを心がけましょう。

厚生労働省も世界保健機関(WHO)も、消毒液を空気中に撒くことは推奨していません。殺菌効果があるほど強力な消毒液の場合、それを吸い込むことは人体に有害であることが分かっています。たとえば、海外では次亜塩素酸を含む消毒液を人が吸い込んでしまったことによって、肺炎が生じているケースもあります。

また、高濃度のアルコールを散布すれば、引火性があるため火事の原因になる可能性もあります。

新型コロナウイルス感染症についてさまざまな情報が錯綜(さくそう)していますが、ぜひ皆さんには正しい知識をつけて生活をしてほしいと思っています。たとえば、新型コロナウイルス感染症を極端に恐れる方の中には、街に出ただけで、あるいは病院に行っただけで感染してしまうと信じている方もいます。実際に、感染を恐れるあまり体調が悪いのに受診せず、持病が悪化してしまった方や、かなり重症化してから病気が見つかった方もいます。

新型コロナウイルスの予防において、感染リスクがゼロになるような予防方法はありませんが、気をつけるべきことは明確です。多くの場合、3密を避け、マスクを着用し、こまめに手洗いをしていれば感染を予防できます。そのため、持病の治療薬が切れたときや気になる症状があったときには感染対策をして、病院を受診していただきたいと思います。どうしても外出が心配なときには1人で悩まず、かかりつけ医に電話で相談したり、各地域の医師会に相談したりするようにしましょう。

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  • 日本医師会 副会長、角田外科消化器科医院 院長

    角田 徹 先生

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