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新型コロナウイルス感染症における子どもへの感染の可能性〜大人と子どもの違いとは〜

新型コロナウイルス感染症における子どもへの感染の可能性〜大人と子どもの違いとは〜
加來 浩器  先生

防衛医科大学校 防衛医学研究センター 教授

加來 浩器 先生

目次
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中国を発端として感染が広がっている新型コロナウイルス感染症。感染者は徐々に増加する傾向にあり、日本をはじめ世界各地で感染者が確認されています。

日本国内でもさまざまな情報発信・報道が行われ、新型コロナウイルス感染症に対する関心が高まっていますが、子どもに関する情報は限定的です。

2020年3月時点において、子どもの感染者はどのくらいいるのでしょうか。子どもが感染した場合は重症化しやすいのでしょうか。また、感染予防にはどのような対策が有効なのでしょうか。

現時点では子どもに関する情報が少なく不明な点が多いですが、中国からの報告によると、感染者のほとんどが成人で子どもの感染者はごくわずかとのことです。また、日本国内で複数の感染者が確認されていますが、子どもの感染者の割合は大人に比べると非常に低いとされています。(2020年3月時点)

これまでにコロナウイルスの種類は6種類確認されており、そのうち4種類は一般の風邪の10~15%(流行期は35%)を占め、残りの“SARS-CoV(通称SARS)”と“MERS-CoV(通称MERS)”はそれぞれ2002年、2012年に新種のコロナウイルスとして初めて確認され、世界的に猛威を振るいました。

SARSとMERSでは、子どもはウイルスに感染していても軽症か、症状が現れないこと(不顕性感染)が多いといわれていました。今流行している新型コロナウイルス(COVID-19)でも、同様に子どもの感染者には症状が出にくい可能性があると考えられています。しかし、現段階では詳しいことはいまだ明らかになってはいません。

現時点で、日本では高齢者や基礎疾患を抱えている人を中心に、成人が新型コロナウイルスに感染して重症化し死亡された例が報告されています。しかし、今のところ子どもの感染者が重症化したという報告はありません。

ところが今後、子どもでの患者数が増えてくるにつれて、SARSMERSが流行した際と同様、さまざまな基礎疾患を有する子どものなかで重症化例が出てくる可能性も想定されます。

現在の日本は、まだ新型コロナウイルス感染症のまん延期に突入した状況ではありません。

日本における子どもの感染者も現在はごくわずかですが、今後増える可能性も考えられます。今、私たちにできることは感染症対策に取り組み、感染予防に努めることです。

新型コロナウイルス感染症の予防には、風邪やインフルエンザなどほかの感染症と同様、飛沫予防に加えて、手洗いや手指のアルコール消毒が重要です。また高頻度に接触する箇所のアルコールや界面活性剤による拭き取りが有効です。

外出時には、不意に咳やくしゃみの飛沫を浴びることや、ウイルスに汚染された場所を直接手に触れる機会も多くなります。ドアノブや遊具、おもちゃなどに触れた手で口や鼻を触ることで感染するため、帰宅後などには石鹸を付けて手を洗い、適宜アルコール消毒液で手を消毒するのがよいでしょう。

また、衛生対策だけでなく体調管理や室内環境も大切です。免疫力が低下しているときや、空気の乾燥によって気道粘膜の防衛機能が低下しているときは、感染症にかかりやすくなります。したがって、日頃から体調に気をつけるとともに室内の湿度を50~60%に保つようにしましょう。喉に付着したウイルスの体内侵入のリスクを減らすために、うがいや歯磨きなどの口腔衛生を保つことも有用であると考えられます。

新型コロナウイルスの感染予防に対するマスク着用の効果は子どもの場合、正しくマスクを着用することが難しく、マスクを手で触ることによりマスクに付着したウイルスが手に付いてしまう可能性もあるため限定的です。

咳やくしゃみをしている人がマスクを着用してウイルスの飛散を防ぐ“咳エチケット”が推奨されていますが、これも子どもの場合はあまり期待できません。したがって、そのような症状がある場合は、できるだけ外出を控え、自宅で安静にすることを検討しましょう。

また、マスクをしていないときに不意に咳やくしゃみしてしまうことがあります。そのときはほかの人に向けてしない、袖・肘の内側やティッシュなどを使って口や鼻をおさえるなどの“咳エチケット”を家庭で指導するとよいでしょう。

現在は、中国の湖北省または浙江省への渡航歴の有無にかかわらず、新型コロナウイルス感染症の日本各地で散発している状態です。感染していることが確認された人と接触歴があることが明らかな場合には、保健所から健康観察を指示されることもあります。無症状であっても事前に保育園や学校などに連絡し、14日間は登園・登校を避け、外出も控えましょう。

現在は、内閣総理大臣から外出の自粛に加えて学校の一斉休校が行われています。(2020年3月時点)。今後、感染が急激に拡大するのか、ゆるやかな発生になるのかの重要な時期であると判断されたからです。しかし、子どもが外出を自粛していても、保護者は仕事や家事の都合で外出するためウイルスを持ち帰る機会があり、家庭内感染を起こしてしまう恐れがあります。そのため、子どもと一緒に保護者も手洗いやうがい、咳エチケットなどを積極的に行い、感染の予防・拡大防止に努めるようにしましょう。

  • 防衛医科大学校 防衛医学研究センター 教授

    加來 浩器 先生

    防衛医科大学校防衛医学研究センターにて、広域感染症疫学・制御研究部門の教授を務める。デング熱やマラリアなど、世界で流行する感染症について、病原体や媒介者の性質、地域の歴史や国ごとの課題などに深い観察眼を持ち、多角的な研究を行っている。

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