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腎臓病を持っている人が新型コロナウイルス感染症対策で今できること

腎臓病を持っている人が新型コロナウイルス感染症対策で今できること
南学 正臣 先生

東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 教授

南学 正臣 先生

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は高齢者や基礎疾患(持病)を持つ人がかかると重症化しやすいことが分かっています。さらに腎臓病にかかっている人や血液透析を受けている人、腎移植を受け免疫抑制剤を服用しており免疫抑制状態にある人などは感染・重症化リスクが高いと考えられています。

今回は腎臓病を持つ患者の新型コロナウイルス感染症への感染・重症化リスクや透析を受ける際の注意点などについて、東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 教授の南学 正臣(なんがく まさおみ)先生にお伺いしました。

※本記事は2020年5月21日時点の医師個人の知見に基づくものです。

具体的には腎炎やネフローゼ症候群にかかっている患者さん、あるいは腎臓病により透析や腎移植を受けている患者さん、治療としてステロイドや免疫抑制剤を服用している患者さんなどは新型コロナウイルスに感染しやすいと考えられています。なお、いまだ新型コロナウイルスに関する特性は明らかとなっていませんが重症化リスクも高いかもしれません。

日本透析医会によれば透析患者さんが新型コロナウイルス感染症にかかった場合の死亡率は現時点で8.7%といわれています(2020年5月21日時点)。日本全体の新型コロナウイルス感染症による死亡率が現段階でおよそ3%と考えられているため、比較すると透析患者さんは一般の人より新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高いと考えられます。

しかしながら透析患者さんは高齢の方も多いので、今後背景因子などを調整して比較検討する必要があります。そのほかの腎臓病に関する詳しいデータはまだはっきりと分かっていません。

まずは一般の方と同じように感染予防対策を徹底することが肝要です。

また、免疫抑制剤など治療薬を服用している方は勝手にやめたりせず服用を継続してください。服用にあたって不安なことや気になることがあるときや症状が現れたときなどは、かかりつけ医に電話などで速やかに相談するようにしましょう。

腎臓病にかかっているとさまざまな理由で免疫抑制状態となるため、ウイルスに感染しやすいと考えられます。たとえば、腎臓病によって腎移植手術を受けている患者さんやネフローゼ症候群にかかっている患者さんは免疫抑制剤を服用しています。また、腎不全そのものが免疫を抑えるともいわれており、腎臓病にかかっていると免疫抑制剤を飲んでいなくても通常時より免疫が抑えられた状態になります。

ただし、免疫抑制状態が新型コロナウイルス感染症の重症化リスクを高めているかどうかはよく分かっていません。というのも新型コロナウイルス感染症では重症化に免疫の過剰反応が関与していると考えられているからです。新型コロナウイルス感染症にかかると免疫機能が暴走し強い炎症反応が起こる、いわゆる“サイトカイン・ストーム”が生じることで重症化してしまうと考えられています。そのため腎臓病の患者さんのように免疫抑制状態にある場合、免疫機能の暴走を食い止めてかえって重症化を防げるという可能性も考えられています。このことからも重症化の具体的なメカニズムは現段階では分からず、今後データが集まることで明らかになってくるでしょう。

まず自分が新型コロナウイルス感染症にかかりやすいということを自覚していただきたいです。透析を受けている患者さんが新型コロナウイルス感染症にかかりやすい理由は大きく二つあります。一つ目は前述のとおり腎不全の方は免疫抑制状態にあり、感染症にかかりやすいからです。二つ目は透析のために2日に1回透析クリニックを受診する必要があり、一般の方と同じように外出を控え“STAY HOME”をすることができないからです。

透析を受けている患者さんの死因第1位は心不全ですが実は第2位に感染症が入ります。そのため日頃から感染症予防対策を行うことが大切です。

自分が万一新型コロナウイルスに感染していた場合を想定し、感染を拡大させない工夫をすることです。具体的にはマスク着用などの感染症予防対策をしっかり行うほか、発熱・倦怠感(けんたいかん)など新型コロナウイルス感染症を疑うような症状が現れた場合、透析クリニックに足を運ぶ前にまずは電話で相談をしてかかりつけ医の指示を仰ぎましょう。

新型コロナウイルス感染症の疑いがある患者さんが透析に行くことによって、透析クリニックの医療従事者やほかの患者さんに感染を広げてしまう恐れもあります。医療従事者や透析を受けている患者さんに新型コロナウイルス感染症が広がれば、医療の提供が立ち行かなくなり、場合によっては医療崩壊につながることも懸念されます。

新型コロナウイルス感染症は重症化すると肺炎を引き起こします。実は肺と腎臓は臓器連関があるといわれており、肺が悪くなると腎臓も悪くなる、腎臓が悪くなると肺が悪くなるという関係性と考えられています。

新型コロナウイルス感染症でも一定の確率で急性腎障害が生じることが分かっています。これまでに発表された論文によれば新型コロナウイルス感染症にかかった人のうち、急性腎障害が生じた人は予後が悪く亡くなってしまうケースもあるといわれています。

新型コロナウイルス感染症で急性腎障害が生じる原因としては肺と腎臓の臓器連関のほか、サイトカイン・ストームによって全身性の炎症が生じていることが考えられます。また、腎臓が直接新型コロナウイルスに感染していると述べる人もいますがそれはまだ証明されていません。

現在これらの薬を服用している人は自己判断で服用をやめたりせず継続して服用してください。薬の服用について不安なことがあればかかりつけ医に電話で相談しましょう。

ニューイングランド・ジャーナルに掲載された三つの論文によればACE阻害薬(カプトプリル、エナラプリルなど)やARB(カンデサルタン、テルミサルタンなど)と新型コロナウイルス感染症の感染・重症化に関連性はなかったといわれています。そのためヨーロッパ高血圧学会・循環器学会・国際高血圧学会など、さまざまな学会で“ACE阻害薬やARBの服用を継続すべきである”という声明が発表されており、日本腎臓学会もそれを支持しています。

日本腎臓学会の新型コロナウイルス感染症特設ページをご覧ください。前述のACE阻害薬・ARBの服用についての声明のほか、医療従事者向けの新型コロナウイルス感染症対応ガイドも公開しています。

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