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インタビュー

腎臓を守るためには減塩が大切!(後編)—慢性腎臓病における減塩の重要性について

腎臓を守るためには減塩が大切!(後編)—慢性腎臓病における減塩の重要性について
上條 由佳 先生

日本赤十字社医療センター腎臓内科

上條 由佳 先生

石橋 由孝 先生

日本赤十字社医療センター 腎臓内科部長

石橋 由孝 先生

慢性腎臓病の患者さんが腎臓を守るにあたって、減塩はとても大切です。慢性腎臓病における減塩の重要性について、2回にわたってご説明します。
前編では、腎臓の働きと構造、過剰な食塩摂取が腎臓・心臓・脳に及ぼすダメージについてご説明しました。後編では、減塩目標、減塩の方法などについて見ていきましょう。

前編で、食塩制限がなぜ大切なのかについてご説明しました。その理由を以下にまとめます。
なお、この食塩制限は、腎不全(腎臓の機能が落ちてしまった状態)の程度に関わらず重要です。

1つは腎臓を守るためです。透析前の方であれば、透析の状態になるまでの時間を長くするために食塩制限はとても大切です。また、これは透析治療を始めた方でも同じです。ご自分の残った腎臓の機能を保つことが、その後のお体の状態を良くしていくのに非常に重要だと言われています。

そして、もう1つは心臓や脳、血管への負担を減らし命に関わる合併症を減らすためです。血液透析患者さんの場合は、減塩により透析と透析の間の体重増加を減らすことで心臓への負担を減らします。腹膜透析患者さんでも同様です。
参考記事:透析治療を受けている人はどのような食事をとればいい?

ちなみに、しっかり食塩管理を行えば、降圧剤(こうあつざい:血圧を下げるためのお薬)も減らすことができます。降圧剤に頼らずに血圧管理ができるようになると、心臓への負担もさることながら血管へのダメージも少なく済みます。
逆に降圧剤だけで血圧を下げて、食塩や水分管理をしなければ、心臓への負担が強くなります。これは透析治療をされている方には、特に重要なポイントですので覚えておきましょう。

1日に摂取してよい食塩の量は、日本では6gに設定されていますが、ヨーロッパの高血圧学会では3.8gから5gと設定されています。

では、なぜそのような数値になるのでしょうか?
実は、7g/日以上食塩を摂取すると血圧を下げる効果はなく、6g/日未満に制限したケースでは血圧を下げる効果があると確認されているのです。

また腎臓が弱っている方の場合は6g/日でも多く、3~6g/日にしたほうがよいとされていますが、まずは一般の高血圧患者さんと同様に6g/日以下を目指しましょう。

まずは現在の食塩摂取量を調べてみましょう。

食塩はほぼ全て尿に排泄されますので、24時間の畜尿検査(24時間尿をため、その尿を調べる検査)を行えば、食塩摂取量を知ることができます。お家で尿をためて、その一部を外来の際に持参していただく方法です。

普段自分がどのくらい食塩を摂取しているのか、一度確認してみましょう。また、たびたびチェックすることでご自分の食事がうまくいっているかどうかの目安にもなります。ご希望の方は担当の先生に相談してみましょう。

最近では食品の成分表に食塩やナトリウムの量が記載されていることがありますが、1つ注意していただきたいことがあります。

それは、「ナトリウム量と食塩量は違うもので、ナトリウムに2.5をかけたものが食塩量となる」ということです。例えば、ナトリウム量2.0gと表記されているカップラーメンは、実際の食塩量としてはこれに2.5を掛けて5.0gとなるのです。

表記されている量が「ナトリウム表記」なのか「食塩表記」なのかを良く確認するようにしましょう。

実際に食塩をおさえていくためのいくつかのポイントをまとめてみました。試したことがないものがありましたら、ぜひ試してみてください。

  1. 食品の表示内容を確認しましょう。
  2. お醤油は「減塩醤油」に変更し、“かける”のではなく、“つける”ようにしましょう。また醤油や塩ではなく、ポン酢・お酢・レモン・香辛料などを味付けに使用してみるのもポイントです。
  3. 麺類は食塩が多いので、スープは残すなどの工夫をしましょう。
  4. レシピ本を活用しましょう。
  5. 1食だけ配達食を頼んだり、なるべく外食を控えたりするのも良いでしょう。

ただし、これらの食塩制限を実際の生活になじませていくのは簡単にはできることではないと思います。これまで味の濃い食事をされてきた方は特に難しく感じるかもしれませんが、実は塩分を感じる味覚は日々の食事によって変化することが分かっています。

『素材の味を感じるようになった』、『前食べていた食事を食べたら、とてもしょっぱく感じるようになった』これらは時間をかけて食塩制限ができるようになった患者さんから度々耳にする言葉です。

逆に、今の食事を変えていかなければ、味覚は変化せず塩分への感度が落ちたままになってしまいます。ご自身でなかなか食塩制限ができないときは、実際の食事内容を可能な範囲でメモして、担当の先生と工夫のしかたを一緒に考えましょう。

減塩がいかに大切かお分かりいただけましたでしょうか。減塩の取り組みは、誰でもすぐにできるようなものではありません。お一人で抱え込まず、医療スタッフと相談しながら一歩ずつ進んでいきましょう。

 

記事1:血液透析患者さんは海外旅行できる?―その準備、注意点について
記事2:腎臓移植とは(前編)—ドナーとレシピエントの条件、移植の手順について
記事3:血液透析とは?―そのしくみ、合併症、生活上の注意について
記事4:透析治療を受けている人はどのような食事をとればいい?
記事5:腹膜透析とは?―自宅でできる透析治療
記事6:腹膜透析の合併症にはどんなものがある?-塩分と感染に注意
記事7:腎臓移植とは(後編)ー移植後の生活、移植のメリット・デメリット、費用について
記事8:腎臓を守るためには減塩が大切!(前編)—慢性腎臓病における減塩の重要性について
記事9:腎臓を守るためには減塩が大切!(後編)—慢性腎臓病における減塩の重要性について
記事10:慢性腎臓病(CKD)とは—腎臓が悪くなると、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まる?

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