新型コロナウイルス感染症特設サイトはこちら
編集部記事

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の主な症状とは~初期症状と感染を疑った場合の対処方法、回復後も続く後遺症について解説~

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の主な症状とは~初期症状と感染を疑った場合の対処方法、回復後も続く後遺症について解説~
岸田 直樹 先生

感染症コンサルタント 、北海道科学大学 薬学部客員教授、一般社団法人Sapporo Medic...

岸田 直樹 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2021年10月15日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。

コロナウイルスとは、人や動物の間で広く感染を引き起こすウイルスで、感染すると主に発熱や咳などの呼吸器症状がみられます。これまでに人に感染を起こすものは6種類確認され、そのうちの2種類は重症化傾向のある中東呼吸器症候群MERS)と重症急性呼吸器症候群SARS)、残りの4種類は一般的な風邪の原因のうち10~15%(流行期は35%)を占めているものです。2021年9月現在、全世界に感染が広がっているのはいずれの種類でもない新種のコロナウイルスです。また、コロナウイルスは流行とともに少しずつ変異するため、新型コロナウイルスについても変異株が世界各地で報告されています。したがって、感染対策により流行を抑えることが、ウイルスが変異する機会を減らすことにつながります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状は、軽症の場合と重症化した場合に分けることができます。初期症状は軽症で、発熱や咳など風邪のような症状がみられることがありますが、重症化すると肺炎を発症します。

ただし、感染した人全員に症状がみられるとは限らず、無症状で経過する例もあります。発症する場合、潜伏期間は1~14日程度と考えられており、世界保健機構(WHO)によれば感染から5日程度で発症することが多いと考えられています。以下では、新型コロナウイルスの症状を初期症状、重症化したときの症状に分けて解説します。

新型コロナウイルス感染症の初期症状としては、鼻水や咳、発熱、軽い喉の痛み、筋肉痛や体のだるさ(倦怠感)など、風邪のような症状が挙げられます。特に、37.5℃程度の発熱と強い体のだるさを訴える方が多いという特徴がありますが、発熱がなく体のだるさなどの症状だけが現れる方もいます。また、“においが分からない”“味が分からない”など、嗅覚・味覚障害が起こる方もいることが分かっており、これらの症状は女性や子どもに生じやすいというデータもあります。そのほか、人によっては鼻づまりや鼻水、頭痛、痰や血痰(けったん)、下痢などが生じることもあります。

また、初期症状は平均して7日間程度続くといわれていますが、症状が長引いた場合でも、重症化しなければ次第に治っていきます。重症化せず軽快する方の割合は、症状が現れた方のうちおよそ80%と考えられています。

新型コロナウイルス感染症の初期症状が5~7日間で軽快せず重症化すると、肺炎を発症し、呼吸が苦しくなる、いわゆる呼吸困難の状態に陥ることがあります。また肺炎だけでなく上気道炎や気管支炎など、ほかの呼吸器系器官にも炎症が生じるケースもあります。このように重症化する方は、国内のデータでは新型コロナウイルスに感染して症状が現れた方のうち、およそ1.6%程度(50歳代以下では0.3%、60歳代以上では8.5%)といわれています。

そのほか、重症化した場合の特徴にはサイトカイン・ストームと呼ばれる全身性の炎症があることが指摘されています。これにより全身の血管の炎症が起こる場合があり、重症例では血栓症などの合併症も認められます。

なお、新型コロナウイルス感染症が重症化し肺炎が生じても、半数以上の場合は症状に対する治療を行うことで徐々に回復します。しかし、肺炎が悪化し重篤化すると急性呼吸器症候群(ARDS)や敗血症性ショック多臓器不全、血栓症などが起こり、場合によっては死に至るケースもあります。

2020年4月27日には、厚生労働省・新型コロナウイルス感染症対策推進本部より、無症状者・軽症者に対する”緊急性の高い症状“が発表されました。以下の症状に該当する場合は、新型コロナウイルス感染症が重症化している可能性が懸念されます。

表情や見た目

  • 顔色が悪い
  • 唇が紫色に変色している
  • 第三者から見て、様子がいつもと異なる

息苦しさなどの症状

  • 呼吸数が増え、息が荒くなった
  • 急に息苦しさが生じた
  • 少しでも動くと息苦しく感じる
  • 胸に痛みがある
  • 座っていないと呼吸ができず、横になれない
  • 呼吸の際に肩が大きく動く(肩で息をしている)
  • 呼吸に抵抗が生じ、ゼーゼーと音がする

意識障害

  • 意識がぼんやりとしている
  • 第三者が声をかけても応答がない
  • 脈のリズムが乱れ、脈が飛んでいる

これらの症状がみられた場合、宿泊施設で療養している場合は看護師へ、自宅で療養している場合には各地域の指示に従い、かかりつけの病院や地域の“受診・相談センター”へ直ちに連絡し、指示を仰ぎましょう。

ウイルスには、流行に伴い遺伝子情報が少しずつ変化するものもあります。これを“変異”といい、変異したウイルスのことを“変異株”といいます。ウイルスが変異すると感染しやすくなったり、重症化しやすくなったりする可能性があります。

世界各国で報告されている新型コロナウイルスの変異株の中にも、重症化しやすい可能性があるものや、ワクチンが効きにくい可能性があるものなど多様な性質の変化を認めているものがあります。中でも特に感染性が高いものが世界各国で急速に広がっており、日本国内でも従来のウイルスを凌ぐ勢いで変異株(現在は特にデルタ株)の感染者数が増加傾向にあります。

症状については、“酸素投与が必要なほどの肺炎”になる人が多いとされています。さらに高齢者だけでなく、若い世代(非高齢成人)にも重症化する人が増えています。そのため、若いからといって大丈夫だと考えず、注意を呼びかけることが必要です。

また、変異株(特にデルタ株)はこれまで小児を含め全体的に流行が見られなかったことが特徴の1つでした。ただし、現在は大人を中心に流行し、小児でも感染が認められています。

新型コロナウイルス感染症は、コロナウイルスによる一般的な風邪よりも重症化しやすいといわれていますが、必ずしも重症化するわけではありません。

現在、どのような人が重症化しやすいかは十分に分かっていませんが、高齢者や糖尿病、心臓や肺などの持病を持っている、または免疫抑制剤や抗がん剤治療を受けているなどの理由で免疫機能が低下している方はリスクが高いと考えられています。

当初、小児は重症化のリスクは高くないと考えられていました。しかし、高齢者ほどではないものの、小児の中でも基礎疾患のある小児や年齢の低い乳幼児で重症化する傾向があることが指摘されています。インフルエンザ同様に高齢者だけでなく、乳幼児や妊娠中の方も重症化には注意が必要と考えたほうがよいでしょう。

新型コロナウイルス感染症の回復後も、後遺症として何らかの症状が続いている方が多いことが世界各国から報告されています。厚生労働省では定期的に開催される新型コロナウイルス感染症対策の会議において2021年6月に後遺症に関する調査資料*を発表しました。

新型コロナウイルス感染症で入院した方の入院時と3か月後にある自覚症状について調べたものでは、筋力低下、息苦しさ、倦怠感が3か月後も自覚している傾向にあり、特に筋力低下と息苦しさは重症度が高い人ほど顕著に出ていることが分かっています。

また、検査結果が陽性で入院した方の診断から退院6か月後の自覚症状を調べたものでは、退院時に疲労感・倦怠感、息苦しさ、筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力低下、脱毛に関して自覚があった約3割以上の方が、診断後6か月経過しても同じ症状があったと回答しています。

一方、このような症状の有無にかかわらず、診断6か月後に行ったアンケートで約8割の方は診断前の健康状態に戻ったと回答しています。厚生労働省では今後も引き続き調査を行う予定です。

* COVID-19 後遺障害に関する実態調査(中間集計報告)等,厚生労働省

感染するウイルスが異なります。インフルエンザはインフルエンザウイルスによるもので、新型コロナウイルス感染症は一般的な風邪のおよそ10~15%(流行期は35%)を占めるコロナウイルスのなかでも新しい種類のコロナウイルスです。

インフルエンザの場合は、高熱や頭痛、関節痛・筋肉痛、体のだるさなどの全身症状が比較的急速に現れるのが特徴です。

新型コロナウイルス感染症では、発熱や咳など風邪のような症状が中心であるものの、インフルエンザのように全身症状(特に強い倦怠感)がみられることもあります。そのため、特に初期には症状だけで風邪やインフルエンザなのか、新型コロナウイルス感染症なのかを100%判断するのは困難です。

2020~2021年の冬は、新型コロナウイルスに対する感染対策が強化されていたため、インフルエンザなどこれまで見られていた感染症が抑え込まれていました。しかし、2021~2022年の冬は新型コロナウイルスワクチン接種が進んだことにより感染対策の緩和が多くの国で行われる傾向があります。日本もその1つであることから、今後はいつもの流行に戻る可能性があります。

また、南半球(ブラジル)では、インフルエンザワクチンの予防接種を受けていた人はそうでない人に比べてインフルエンザだけでなく、新型コロナウイルス感染症による重症化リスク・死亡リスクが減った(死亡率が17%減少)という研究*があります。詳細についてはいまだ明らかではありませんが、このような研究データからも特に生後6か月以上の方は冬を迎える前にインフルエンザワクチンを受けるように心がけるとよいでしょう。

*Inactivated trivalent influenza vaccine is associated with lower mortality among Covid-19 patients in Brazil

通常のウイルス感染症では、他者へウイルスを感染させる可能性がもっとも高いのは、症状が強く現れる時期だといいます。しかし、新型コロナウイルス感染症の場合は、無症状の段階、軽症の段階、重症化した段階それぞれで感染する可能性があり、発症の2日前から発症後7~10日間は周囲の人に感染させてしまう恐れがあると考えられています。以上を踏まえて、現在国民が無症状でもマスクを着用しているのは、無症状の人からうつる可能性を想定し自分を防御するため以上に、無症状間での感染拡大を抑えるために行っている感染対策なのです。

また、体内のウイルス量は症状が出る数日前から増加し、症状が出る0.7日前に最大となるといい、発症後は徐々に感染性は低くなっていきます。発症後の感染性は低下していくことが分かったため、2020年6月12日からは新型コロナウイルス感染症で入院した場合の退院基準は有症者であれば“発症してから10日間が経過し、かつ症状が軽快してから72時間経過すれば、PCR検査なしで退院できる”などと緩和されつつあります。

“夜の街(ナイトクラブやバーなど)”や“大きな声を出す機会がある場所(カラオケや飲み会、ランチなど)”など、いわゆる換気の悪い密閉空間で人が多く集まる場所でクラスター(集団感染)が発生しやすいということが分かっています。そのため、密閉空間での食事会を避けるなど自分の行動パターンを見直すとともに、体調管理にも気を配り、体調の変化を感じる場合には積極的なマスク着用を行い、感染拡大を防ぐようにすることが重要です。

発熱やだるさ、息苦しさなど、新型コロナウイルスへの感染が疑われるような症状があった場合、まずは会社や学校を休み、外出を控えて自宅で安静にしましょう。発熱のある間は外出を控えたうえで毎日体温を測定し、どのくらいの熱が何日程度続いたかを記録しておくとよいでしょう。

なお、以下の条件に当てはまる人はかかりつけ医、あるいは地域の“受診・相談センター”に問い合わせ、係員の指示に従って病院の受診など行いましょう。相談の目安は症状のある方の年齢や持っている病気などによっても異なります。高齢の方や基礎疾患のある方、妊娠している方などは特に注意し、比較的軽い症状であっても相談を検討しましょう。

受診の相談が必要な場合

  • 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)、高熱などの強い症状のいずれかがある場合
  • 重症化しやすい方*で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
  • 上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合

*高齢者、基礎疾患(糖尿病心不全、呼吸器疾患<慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)など>など)がある方、透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方、妊娠中の方

症状が4日以上続く場合は必ずかかりつけ医か地域の“受診・相談センター”に問い合わせをしましょう。なお、子どもの場合は小児科の医師による診察が望ましいとされています。症状には個人差があるため、強い症状だと感じる場合はすぐに相談をしてください。病院の受診時にはマスクを着用するなどして感染の拡大防止に努めるようにしましょう。

また、においや味が分からなくなる嗅覚・味覚障害を感じた場合は、37.5℃以上の発熱やだるさ、息苦しさが4日以上続くことがなければ、ひとまず外出を控え、様子を見るようにしましょう。この時点では、病院の受診も控えましょう。ただし、4日間以上の発熱、だるさ、息苦しさを伴う嗅覚・味覚障害がある場合は、かかりつけ医や地域の“受診・相談センター”へ問い合わせ、係員の指示に従って病院の受診などを検討しましょう。

また、発熱、だるさ、息苦しさなどの症状がないまま嗅覚・味覚障害が2週間以上続いた場合には、新型コロナウイルス感染症以外の病気が隠れている可能性があるため、耳鼻咽喉科(じびいんこうか)の受診を検討しましょう。

新型コロナウイルス感染症は都市部を中心に感染の拡大が起こっており、現在は従来のウイルスとは異なる変異株の感染が主流になってきています。一度感染・治癒した方が再感染した例も報告されているため、すでに感染を経験した方も引き続き対策を行う必要があります。

また、各地で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されており、今後も長期にわたってこのような状況が続くことも予測されます。これにより、短期的に新型コロナウイルスと戦うという姿勢から、新型コロナウイルスとともに新生活様式を作り上げるという姿勢が重要になってきています。専門家会議からも以下のような新しい生活様式が提案されています。

素材提供:PIXTA/加工:メディカルノート

新型コロナウイルスへの感染を予防するうえで、もっとも大切なことは個人個人の行動変容です。これは従来のウイルスでも変異株でも変わりません。一人ひとりが感染予防対策に努め、風邪やインフルエンザと同様に手洗いやうがい、マスクの着用による咳エチケットなどを行いましょう。特に感染性が高い変異株では、この感染対策の質(手洗いの仕方の質、鼻を出さないマスクの適切な着用方法など)をより高めるという側面に加え、遵守率(適切なタイミングでの手洗いの回数、適切なタイミングでのマスク着用率など)を高めることが求められます。このほか、アルコール消毒液や次亜塩素酸ナトリウムなどによる小まめな拭き取り消毒も推奨されているので、家庭や職場など複数の人が集まる場所で実施するとよいでしょう。ただし、拭き取り以外の次亜塩素酸による消毒(噴霧など)は効果が立証されておらず、万一人が吸い込むと危険なため注意が必要です。また、3密の回避や人との接触を避けることで感染拡大のスピードを遅くすることで、重症患者が増え医療機関が対応できなくならないようにすることが重要です。

  • 北海道科学大学 薬学部客員教授、一般社団法人Sapporo Medical Academy(SMA) 代表理事、感染症コンサルタント

    日本感染症学会 感染症専門医・指導医日本内科学会 総合内科専門医日本化学療法学会 抗菌化学療法指導医 ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター

    岸田 直樹 先生

    “良き医学生・研修医教育が最も効率的な医療安全”をモットーに総合内科をベースに感染症のスペシャリティを生かして活動中。感染症のサブスペシャリティは最もコモンな免疫不全である“がん患者の感染症”。「自分が実感し体験した臨床の面白さをわかりやすく伝えたい」の一心でやっています。趣味は温泉めぐり、サッカー観戦(インテルファン)、物理学、村上春樹作品を読むこと。 医療におけるエンパワメントを推進する法人を立ち上げ活動している。

    関連記事

  • もっと見る

    「新型コロナウイルス感染症」に関連する病院の紹介記事

    特定の医療機関について紹介する情報が掲載されています。

    「新型コロナウイルス感染症」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください