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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の主な症状とは~初期症状と感染を疑った場合の対処方法、回復後も続く後遺症について解説~

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の主な症状とは~初期症状と感染を疑った場合の対処方法、回復後も続く後遺症について解説~
岸田 直樹 先生

総合診療医/感染症コンサルタント/北海道科学大学薬学部客員教授/一般社団法人Sapporo M...

岸田 直樹 先生

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コロナウイルスとは、人や動物の間で広く感染を引き起こすウイルスで、感染すると主に発熱や咳などの呼吸器症状が見られます。

これまでに人に感染を起こすものは6種類確認され、そのうちの2種類は重症化傾向のある中東呼吸器症候群MERS)と重症急性呼吸器症候群SARS)、残りの4種類は一般的な風邪の原因のうち10~15%(流行期は35%)を占めているものです。

2020年8月25日現在、全世界に感染が広がっているのはいずれの種類でもない新種のコロナウイルスです。

現在、中国から全世界に感染が広がり、パンデミック(世界的に流行が拡大すること)となっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状は、軽症の場合と重症化した場合に分けることができます。初期症状では軽症で、発熱や咳など風邪のような症状が見られるほか、嗅覚・味覚障害が生じることがあります。人によっては下痢・嘔吐などの消化器症状や意識障害などの神経症状が現れることもあります。また、重症化すると肺炎を発症します。

ただし、感染した人全員に症状が見られるとは限らず、無症状で経過する例もあります。

通常のウイルス感染症では、他者へウイルスを感染させる可能性がもっとも高いのは、症状が強く現れる時期といわれています。しかし新型コロナウイルス感染症の場合は、無症状の段階、軽症の段階、重症化した段階それぞれで感染する可能性があると考えられており、症状のない人からうつる可能性も想定し、日頃から感染症対策を行う必要があります。具体的には、感染者の体内のウイルス量は症状が出る数日前から増加し、症状が出る0.7日前に最大となるとされます。これに伴い、濃厚接触者の定義も“感染者に発症日以降に接触した人”から “感染者に症状が出る2日前から接触した人”となりました。

また、発症後は徐々に感染性は低くなると考えられています。これに伴い、新型コロナウイルス感染症で入院した場合の退院基準も“2回のPCR検査で陰性が出ること”などの規制が緩和され、6月12日からは有症者であれば“発症してから10日間が経過し、かつ症状が軽快してから72時間経過すれば、PCR検査なしで退院できる”ようになりました。

なお、最近では “夜の街”(ナイトクラブやバーなど)や“大きな声を出す機会がある場所”(カラオケや飲み会、ランチなど)でクラスター(集団感染)が発生しやすいということが分かってきており、注意すべき感染場所の特徴がつかめるようになってきています。ただし、いまだ東京などの都市部で感染経路が追えない感染者が持続的に発生している現状から、体調管理に気を配り、体調の変化を感じる場合には積極的なマスク着用を行い、感染拡大を防ぐようにすることが重要です。

以下では、新型コロナウイルスの症状を初期症状、重症化したときの症状に分けてお伝えします。

新型コロナウイルス感染症の初期症状では、鼻水や咳、発熱、軽い喉の痛み、筋肉痛や体のだるさ(倦怠感)など、風邪のような症状が生じます。特に、37.5℃程度の発熱と強い体のだるさを訴える人が多いという特徴があります。また、“においが分からない”“味が分からない”など、嗅覚・味覚障害が起きる人もいることが分かっています。そのほか、人によっては鼻づまりや鼻水、頭痛、痰や血痰(けったん)、下痢などが生じることもあります。新型コロナウイルス感染症の初期症状はおよそ5~7日間程度続き、重症化しなければ次第に治っていきます。

新型コロナウイルス感染症の初期症状が5~7日間で軽快せず重症化すると、肺炎を発症し、呼吸が苦しくなる、いわゆる呼吸困難の状態に陥ることがあります。また肺炎だけでなく上気道炎や気管支炎など、ほかの呼吸器系器官にも炎症が生じるケースもあります。

そのほか、重症化した場合の特徴にはサイトカイン・ストームと呼ばれる全身性の炎症があることが指摘されています。これにより全身の血管の炎症が起こる場合があり、重症例では血栓症などの合併症も認められます。

なお、新型コロナウイルス感染症が重症化し、肺炎が生じても半数以上の場合は症状に対する治療を行うことで徐々に回復します。しかし、肺炎が悪化し重篤化すると急性呼吸器症候群(ARDS)や敗血症性ショック多臓器不全、血栓症などが起こり、場合によっては死に至るケースもあります。

2020年4月27日には、厚生労働省・新型コロナウイルス感染症対策推進本部より、無症状者・軽症者に対する”緊急性の高い症状“が発表されました。以下の症状に該当する場合は、新型コロナウイルス感染症が重症化している可能性が懸念されます。

厚生労働省の提示する緊急性の高い症状

  • 顔色が悪い
  • 唇が紫色に変色している
  • 第三者から見て、様子がいつもと異なる
  • 呼吸数が増え、息が荒くなった
  • 急に息苦しさが生じた
  • 少しでも動くと息苦しく感じる
  • 胸に痛みがある
  • 座っていないと呼吸ができず、横になれない
  • 呼吸の際に肩が大きく動く(肩で息をしている)
  • 呼吸に抵抗が生じ、ゼーゼーと音がする
  • 意識がぼんやりとしている
  • 第三者が声をかけても応答がない
  • 脈のリズムが乱れ、脈が飛んでいる

これらの症状が見られた場合、宿泊施設で療養している場合は看護師へ、自宅で療養している場合には“帰国者・接触者相談センター”へ直ちに連絡し、指示を仰ぎましょう。

新型コロナウイルス感染症は、コロナウイルスによる一般的な風邪よりも重症化しやすいといわれていますが、必ずしも重症化するわけではありません。

現在、どのような人が重症化しやすいかは十分に分かっていませんが、高齢者や糖尿病、心臓や肺などの持病を持っている、または免疫抑制剤や抗がん剤治療を受けているなどの理由で免疫機能が低下している人はリスクが高いと考えられています。

当初、小児は重症化のリスクは高くないと考えられていました。高齢者ほどではありませんが、小児の中でも年齢の低い乳幼児で重症化する傾向があることが指摘されています。インフルエンザ同様に高齢者だけではなく、乳幼児やさらに妊婦も重症化には注意が必要と考えたほうがよいでしょう。

新型コロナウイルス感染症の回復後も、後遺症として何らかの症状が持続している方が多いことが世界各国から報告されています。2020年7月に発表された、イタリアの大学病院で行われた調査では、新型コロナウイルス感染症の回復後に退院した143名のうち、退院から約60日間の時点で、多くの人に何らかの症状があったことが分かっています。多くみられた症状は、疲労・倦怠感(53.1%)、呼吸困難(43.4%)、関節痛(27.3%)、胸痛(21.7%)です。44.1%の人が、QOL(生活の質)が悪化したと回答しています*

また、後遺症として頭痛や発熱、嗅覚障害睡眠障害などの症状が続いている方もいるといわれています。日本では、2020年8月から厚生労働省が後遺症に関する調査を開始する予定です。

*Angelo Carfì et al. JAMA.2020;324(6):603-605

インフルエンザはインフルエンザウイルスによるもので、一方のコロナウイルスは一般的な風邪のおよそ10~15%(流行期は35%)を占める原因ウイルスでもあります。風邪の原因ウイルスには、ほかにもライノウイルスやアデノウイルスなどがあります。

風邪の多くは喉の痛み、鼻水、くしゃみ、咳などの症状が中心で全身症状はあまり見られません。インフルエンザにおいては高熱や頭痛、関節痛・筋肉痛、体のだるさなどの全身症状が比較的急速に現れるのが特徴です。

ただし、新型コロナウイルス感染症は発熱や咳など風邪のような症状が中心であるものの、インフルエンザのように全身症状(特に強い倦怠感)が見られる場合もあります。そのため、特に初期には症状だけで風邪やインフルエンザなのか、新型コロナウイルスによるものなのかを100%判断するのは困難といえます。

発熱やだるさ、息苦しさなど、新型コロナウイルスへの感染が疑われるような症状があった場合、まずは会社や学校を休み、外出を控えて自宅で安静にしましょう。発熱のある間は外出を控えたうえで毎日体温を測定し、どのくらいの熱が何日程度続いたかを記録しておくとよいでしょう。

なお、以下の条件に当てはまる人は、最寄りの保健所などに設置されている“帰国者・接触者相談センター”に問い合わせ、係員の指示に従って病院の受診など行いましょう。

帰国者・接触者相談センターへの問い合わせが必要な場合

  • 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)、高熱などの強い症状のいずれかがある場合
  • 重症化しやすい方*で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
  • 上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合

*高齢者、基礎疾患(糖尿病心不全、呼吸器疾患<慢性閉塞

()性肺疾患など>など)がある方、透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方、妊娠中の方

なお、症状が4日以上続く場合は必ず“帰国者・接触者相談センター”に問い合わせをしましょう。症状には個人差があるため、強い症状だと感じる場合はすぐに相談をしてください。病院の受診時にはマスクを着用するなどして感染の拡大防止に努めるようにしましょう。

また、においや味が分からなくなる嗅覚・味覚障害を感じた場合、37.5℃以上の発熱やだるさ、息苦しさが4日以上続くことがなければ、ひとまず外出を控え、様子を見るようにしましょう。この時点では、病院の受診も控えましょう。ただし、4日間以上の発熱、だるさ、息苦しさを伴う嗅覚・味覚障害の場合には、“帰国者・接触者相談センター”へ問い合わせ、係員の指示に従って病院の受診などを検討しましょう。

また、発熱、だるさ、息苦しさなどの症状がないまま嗅覚・味覚障害が2週間以上続いた場合には、新型コロナウイルス感染症以外の病気が隠れている可能性があるため、耳鼻咽喉(いんこう)科の受診を検討しましょう。

新型コロナウイルス感染症は、現時点で都市部を中心とした感染の拡大が起こっています。

3月中旬までの感染者の多くは接触歴の確認できる、いわゆる感染経路が分かる患者でしたが、今はそうではない患者の増加が著しく、感染対策もそれに合わせて変えていく必要があります。緊急事態宣言が発令されましたが、今後も長期にわたってこのような状況が続くことも予測されます。これにより、短期的に新型コロナウイルスと戦うという姿勢から、新型コロナウイルスとともに新生活様式を作り上げるという姿勢が重要になってきています。専門家会議からも以下のような新しい生活様式が提案されています。

新型コロナウイルスへの感染を予防するうえで、もっとも大切なことは個人個人の行動変容です。一人ひとりが感染予防対策に努め、風邪やインフルエンザと同様に手洗いやうがい、マスクの着用による咳エチケットなどを行いましょう。このほか、アルコール消毒液や次亜塩素酸などによる小まめな拭き取り消毒も推奨されているので、家庭や職場など複数の人が集まる場所で実施するとよいでしょう。ただし、拭き取り以外の次亜塩素酸による消毒(噴霧など)は効果が立証されておらず、万一人が吸い込むと危険なため注意が必要です。また、3密の回避や人との接触を避けることで感染拡大のスピードを遅くし、重症患者が増え医療機関が対応できなくならないようにすることが重要です。

なお、現在冬を迎えている南半球(ブラジル)では、インフルエンザワクチンの予防接種を受けていた人は受けなかった人に比べてインフルエンザだけではなく、新型コロナウイルス感染症による重症化・死亡リスクが減った(死亡率が17%程度減少した)といった研究*もあります。詳細についてはいまだ明らかではありませんが、このような研究データからも生後6か月以上の人は冬を迎える前にインフルエンザワクチンを受けるように心がけるとよいでしょう。

*Inactivated trivalent influenza vaccine is associated with lower mortality among Covid-19 patients in Brazil

  • 北海道科学大学 薬学部客員教授、一般社団法人Sapporo Medical Academy(SMA) 代表理事、感染症コンサルタント

    日本感染症学会 感染症専門医・指導医日本内科学会 総合内科専門医日本化学療法学会 抗菌化学療法指導医 ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター

    岸田 直樹 先生

    “良き医学生・研修医教育が最も効率的な医療安全”をモットーに総合内科をベースに感染症のスペシャリティを生かして活動中。感染症のサブスペシャリティは最もコモンな免疫不全である“がん患者の感染症”。「自分が実感し体験した臨床の面白さをわかりやすく伝えたい」の一心でやっています。趣味は温泉めぐり、サッカー観戦(インテルファン)、物理学、村上春樹作品を読むこと。 医療におけるエンパワメントを推進する法人を立ち上げ活動している。

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