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インタビュー

市中肺炎の検査と治療方法─原因によって抗菌薬が違う?

市中肺炎の検査と治療方法─原因によって抗菌薬が違う?
石田 直 先生

倉敷中央病院 呼吸器内科 主任部長

石田 直 先生

肺炎の原因は細菌性、非細菌性にわけられますが、(詳細は記事1『市中肺炎とは─初期症状は風邪と同じ?』をご覧ください)。細菌性と非細菌性に分類することは、診断後の治療方針に深く関わってきます。そのため検査を行い、正しく診断することが大切です。細菌性と非細菌性では処方される抗菌薬に大きな違いがあります。前回に引き続き倉敷中央病院呼吸器内科、主任部長の石田直(いしだただし)先生に市中肺炎の検査や治療方法についてご解説していただきます。

肺炎の原因が細菌か非細菌かによって治療に使用する抗菌薬が変わってきます。そのため、外来で検査をしっかり行い、可能な限り原因を特定することが重要になってきます。市中肺炎の検査には主に下記のような検査方法を用いられます。

<主な検査方法>

  • 胸部レントゲン
  • 血液検査
  • 喀痰検査
  • 尿中抗原検査
  • CT検査 など

市中肺炎の検査は、まず胸部レントゲンで行います。具体的には胸部レントゲンを撮影した際の浸潤影(しんじゅんえい)の有無が肺炎の診断基準になります。浸潤影とは、肺胞内に細胞成分や液体が入り込み、境界に不透明な陰影ができることを指します。

従来の検査では、これに加え血液検査で炎症所見や白血球の数などを検査します。また外来での検査では必ずしも行うものではありませんが、痰(たん)が出ている方には痰のなかに細菌がいるか調べる喀痰検査(かくたんけんさ)を行うこともあります。

肺炎球菌やレジオネラ菌の検査には尿中の肺炎球菌やレジオネラ菌の成分を検査する尿中抗原検査(にょうちゅうこうげんけんさ)を行います。これらの検査には迅速診断が行えるので、検査結果自体は15分程度ででます。

非細菌性のものでは、マイコプラズマやインフルエンザウイルスは迅速診断でその日の内に検査結果がでます。先ほども述べたように肺炎球菌やレジオネラ菌も迅速診断が可能です。

記事1『市中肺炎とは─初期症状は風邪と同じ?』でも述べましたが肺炎には大別して「市中肺炎」「院内肺炎」があります。入院を要する肺炎、入院中の肺炎では、外来同様の検査のほか、血液培養、血液ガス分析を行うことがあります。

血液培養は敗血症(はいけつしょう)の有無を調べるために行います。敗血症とは菌が血液のなかに大量に侵入し、悪寒や高熱などの症状がみられる疾患です。また、血液ガス分析(血中の酸素や二酸化炭素の量を調べる)を行うことで呼吸不全になっていないかなどを検査します。

肺炎の検査ではCT検査を行うこともありますが、これは必ず行う検査ではありません。肺炎はまず症状から疑われます。その後レントゲン検査で陰影がはっきりしない場合や、肺炎での重症度を知るために陰影の広がりを確認する際にCT検査を行うことがあります。

またレントゲン検査を行った際に肺炎とよく似た陰影がみられる疾患に心不全や他の疾患があります。これらの疾患との鑑別のためにCT検査を行うことはあります。

市中肺炎の治療は主に抗菌薬による治療を行います。抗菌薬の種類は市中肺炎の原因によって異なります。市中肺炎の原因については記事1『市中肺炎とは─初期症状は風邪と同じ?』にて解説していますが、主に細菌が原因の細菌性(定型)肺炎と非細菌が原因の非定型肺炎に分類されます。

細菌性(定型)肺炎の治療では主に下記のような抗菌薬を処方します。

<細菌性(定型)肺炎の主な抗菌薬>

  • ペニシリン系抗菌薬
  • セフェム系抗菌薬
  • カルバペネム系抗菌薬
  • フルオロキノロン系抗菌薬

非定型肺炎では、下記のような抗菌薬が有効です。

<非定型型肺炎の主な抗菌薬>

  • マクロライド系抗菌薬
  • テトラサイクリン系抗菌薬
  • フルオロキノロン系抗菌薬 など

お花

肺炎は患者さんの重症度によって外来のみで治療を行う場合もあれば、入院治療が必要に成る場合もあります。記事1『市中肺炎とは─初期症状は風邪と同じ?』でも述べましたが、市中肺炎のガイドラインでは重症度を測る目安として5つの項目があります。

<市中肺炎 重症度の5つの指標>

  • 男性70歳以上 女性75歳以上
  • 脱水の有無
  • 呼吸不全の有無
  • 意識障害の有無
  • 循環障害

上記の項目により軽症、中等症、重症まで分類します。

市中肺炎のガイドラインでは、中等症以上の方は入院治療が必要であるとされています。

呼吸不全や循環障害などがみられる場合は、重症とみなされ呼吸管理などが必要となり、入院をしたうえで集中治療室にて治療を行うこともあります。

またそれ以外には一人暮らしの高齢者や親族が遠方に住んでいて、ホームケアができない方なども入院治療となることがあります。

風邪から肺炎になるケースが多いので、風邪の基本的な予防を行うことで、ある程度は肺炎にかかる可能性を防げます。手洗いうがいを習慣にすることや、咳エチケットを心がけることが大切です。

<咳エチケットとは>

  • 咳やくしゃみの際はティッシュ、ハンカチなどで口と鼻をおさえる
  • 口と鼻を覆ったティッシュはすぐに蓋(ふた)つきのごみ箱に捨てる
  • 咳をしている人にマスクの着用を促す

など、自分以外にも周囲の方に咳エチケットを促すようにしましょう。

(参照:厚生労働省Webサイト http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/influenza/ 外部サイトに移動します)

またインフルエンザワクチンを接種することや、肺炎球菌ワクチンを接種することも予防の1つです。肺炎球菌ワクチンは小児の場合、生後2か月以上から接種できます。また成人の場合にも65歳以上の方を対象におこなっています。肺炎球菌ワクチンの接種をする場合にはお住いの自治体やお近くの医療機関に確認するようにしてください。

 

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