たぞうきふぜん

多臓器不全

目次

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概要

多臓器不全とは、肺や腎臓、脳など生命の維持に欠かすことのできない複数の重要臓器のはたらきが著しく低下した状態を指します。

多臓器不全が起こる原因はさまざまですが、治療介入が遅れることで生命の危機に瀕することもあります。

そのため、適切な診断のもと、迅速かつ集学的(複数の治療を組み合わせて行う)な治療を受けることが重要です。

原因

多臓器不全は、重症感染症のひとつである敗血症、重度のやけどや外傷、大量出血などを原因として発症します。

通常、体内で炎症反応が生じた場合、炎症反応が増強しすぎることのないよう、ある程度ブレーキがかかるシステムが備わっています。

しかし、先に挙げたような病態が存在する状況では、身体の中でさまざまな物質が放出され、炎症を誘導したり、逆に炎症を抑えるようにしたりといったアンバランスが生じ、制御不能な状態に陥ってしまいます。

その結果として、肺や肝臓、腎臓、脳など複数の臓器にわたりさまざまな機能障害が生じ、多臓器不全を発症します。

症状

多臓器不全では複数の臓器が機能障害を起こすため、全身各所にさまざまな症状が現れます。

肺が障害を受けると、呼吸が著しく影響を受けることとなり、息苦しさ、呼吸不全が生じます。また、肩呼吸や陥没(かんぼつ)呼吸、呼吸回数の増加などといった努力性呼吸の徴候も出現します。

腎臓が機能不全を起こすと、尿が出なくなったり、全身がむくんだりします。身体にとっての不要物を尿として排泄できなくなる結果、意識障害を起こすこともあります。また、電解質のバランスも崩れてしまい、不整脈が起こることもあります。

そのほか、肝臓の機能が著しく低下している場合には、ちょっとした傷から出血したり、止血が難しくなったりすることがあります。

検査・診断

多臓器不全では、各種臓器の機能評価を行うことが大切です。レントゲン写真や胸部CT検査といった画像検査、血液検査、尿検査などを行うことで全身の臓器障害を評価していきます。

また、多臓器不全では原因となった病気を確認するための検査も行われます。たとえば、敗血症を原因として多臓器不全が引き起こされることがありますが、原因となった病原体を特定するために血液を用いた培養検査が行われることがあります。

治療

多臓器不全では、各種臓器障害に対しての治療が必要とされます。具体的には、呼吸障害に対しては、酸素投与や挿管による人工呼吸管理などが行われます。

腎不全に対しては、場合により人工透析が導入され、肝機能障害に対しては輸血製剤の投与や各種肝庇護療法(かんひごりょうほう)などが選択されます。

また、多臓器不全が起こる原因となった病気に対しての治療も大切です。感染症が原因の場合には抗生物質の投与が検討され、やけどが原因の場合は輸液管理や皮膚の治療(植皮術など)も必要とされます。