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1型糖尿病

最終更新日
2021年12月28日
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2021/12/28
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

1型糖尿病とは、インスリンを分泌する膵臓(すいぞう)のβ(ベータ)細胞が壊れ、高血糖状態になる病気です。糖尿病には大きく1型と2型がありますが、1型はβ細胞の破壊によって生じるもので、運動不足や過食などの生活習慣によって起こる2型とは性質が異なります。

インスリンは血糖値(血液中を流れるブドウ糖の濃度)を一定に保つはたらきを持ち、食後に血糖値が上昇すると膵臓から分泌されます。そして、インスリンのはたらきによってブドウ糖が細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。

そのため、インスリンが分泌されなくなるとブドウ糖が使われなくなり、その結果として常に血糖値が高い状態になってしまうのです。インスリンが不足することから、継続的にインスリンを補充する治療が必要となります。

日本では毎年約14,000人が1型糖尿病と診断され、発症者は子どもに多く、思春期にピークを迎えます。大人に発症することもあります。

種類

1型糖尿病には、進行速度に応じて“急性発症”“緩徐進行”“劇症”の3つの種類があります。

急性発症1型糖尿病

1型糖尿病の中でもっとも頻度が高いタイプです。β細胞の破壊から数週間・数か月で症状が現れ、インスリン依存状態(インスリンがほとんど出なくなり、生きていくためにインスリンの補充が必要な状態)となります。

緩徐進行1型糖尿病

インスリンの分泌低下が半年から数年かけてゆっくりと進行します。このタイプではすぐにインスリン依存状態になりませんが、早期に膵臓を保護する治療を行うことで進行を遅らせることができる場合があるため、早期治療が望まれます。

劇症1型糖尿病

もっとも急激に発症し、数日間でβ細胞が破壊されてインスリン依存状態になるタイプです。1週間前後以内に糖尿病の急性合併症である糖尿病ケトアシドーシスになり、危機的な状態に陥ることもあるため、速やかなインスリン投与が必要です。

原因

インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊される原因は、まだはっきりと分かっていませんが、主に自己免疫異常とウイルス感染が関わっていると考えられています。

自己免疫とは、細菌やウイルスなどの外敵から体を守るための防御システムで、何らかの原因によって免疫に異常が生じると、正常な細胞を攻撃してしまいます。β細胞も例外ではなく、免疫異常がβ細胞を破壊することでインスリンの分泌が低下します。

ウイルス感染においては、ムンプスウイルス、エンテロウイルス、麻疹(ましん)ウイルス、レトロウイルス、サイトメガロウイルスなどが関連しているといわれています。

なお、インスリン遺伝子、HLA遺伝子、PTPN22遺伝子、CTLA4遺伝子などの遺伝子を持つ人では家族内発症もみられますが、通常は遺伝しません。

症状

1型糖尿病の典型的な症状は、口渇、多飲、多尿、体重減少です。

インスリンの分泌が低下し血糖値が上昇すると、尿糖が排出され尿細管内の浸透圧が上昇し、利尿作用が高くなって脱水になります。その結果、口渇、多飲、多尿の症状が現れます。

インスリンはブドウ糖を取り込んでエネルギー源として利用するはたらきもあるため、インスリンが不足するとエネルギーを蓄積できなくなり、体重が減少します。

劇症1型糖尿病ではウイルス感染を契機に発症することが多く、この場合には発熱や喉の痛み、お腹の痛み、悪心、嘔吐などの感染症状が先立って認められます。

インスリンがまったく分泌されなくなるとケトン体が作られ、これによってケトーシスやケトアシドーシスに陥り、命に関わるケースもあります。

検査・診断

1型糖尿病の診断は主に血液検査によって行われ、血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)など糖尿病の一般的な検査項目のほか、抗GAD抗体や血中インスリン濃度が測定されます。

抗GAD抗体は1型糖尿病に特徴的なβ細胞の破壊を示唆し、1型糖尿病では多くの場合で陽性となります。血中インスリン濃度は、インスリンの分泌低下の程度を調べる目的で測定されます。

ケトーシスやケトアシドーシスを診断するために、血液検査や尿検査でケトン体を調べることもあります。

治療

1型糖尿病の治療はインスリン療法が基本です。そのほかの治療法として、薬物療法や移植手術があります。

インスリン療法

インスリン療法とは、患者さん自身がインスリン製剤を継続的に投与して血糖をコントロールする治療法のことです。

インスリン製剤を投与する方法として、“頻回(ひんかい)インスリン注射療法”と“持続皮下インスリン注入療法”があります。

頻回インスリン注射療法は、一般的にペン型の注射器を用いて1日に数回インスリン注射を行う方法です。お腹、太もも、上腕、お尻に注射することが推奨され、これらの部位を少しずつずらしながら注射します。

持続皮下インスリン注入療法は、携帯型のインスリンポンプを使用して皮下に留置した挿入したカニューレ(細い管)からインスリンを持続的に注入する方法です。

インスリンの注入量や注入速度を細かく調整できるため、頻回インスリン注射療法で血糖コントロールが困難な人や低血糖を頻発する人、食事や勤務時間が不規則な人、妊娠中あるいは妊娠の予定がある人などに向いています。

薬物療法

1型糖尿病に対する主な薬にα(アルファ)グルコシダーゼ阻害薬があります。

この薬には食べ物に含まれる糖質の消化・吸収を遅らせ、食後の血糖値の上昇を緩やかにする作用があるため、食後過血糖がある場合に使用されます。

移植手術

重症の場合には、膵臓移植や膵島移植が適応となる場合があります。ただし、根治を目指せる治療法であるものの、ドナー不足などの問題から日本ではまだあまり行われていません。

しかし、IPS細胞などからβ細胞をつくる研究が行われていて、今後はドナーの有無にかかわらず移植できることが期待されています。

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