私たちが日常の生活を送る中で、体を動かすことは欠かすことができません。普段意識することはありませんが、日常の中で行う動作は、筋肉や靱帯、そして骨格によって維持されています。特に複数の骨をつなぐ“関節”は、日常の動作や運動機能に大きな関連があります。この関節に生じる疾病が関節リウマチですが、具体的にはどのような病気なのでしょうか。国立病院機構 横浜医療センター 膠原病・リウマチ内科 部長の井畑 淳先生にお話を伺いました。
関節リウマチ(英語ではrheumatoid arthritis: RAと略すことも)は、関節に腫れや痛みが生じやすい特徴があります。
人間の体には、生命維持に関わる物質や病原体が侵入したときに、それらの排除を行う“免疫”というシステムが存在します。関節リウマチは、本来ならば体を守るはずの免疫システムが、関節の細胞を攻撃する誤作動を起こすことによって、全身に炎症が起こり、関節に腫れや痛みが生じる病気です。なお、関節リウマチは人にうつる病気ではありません。
人間の体の中で、手指・手首・肘・肩・脊椎・大腿骨・膝・踵の8箇所は、2つの骨が連結する構造になっています。もっとも、2つの骨はつながっておらず、骨の間にクッションの役割をする軟骨が存在します。2つの骨と軟骨は、滑膜と呼ばれる膜に覆われており、内部は潤滑油のはたらきをする関節液と呼ばれる液体で満たされています。そのため、2つの骨がこすれ合ったりすることはなく、スムーズに体を動かすことができる仕組みとなっています。
ところが関節リウマチを発症すると、関節の中のクッションである滑膜が、体を守る免疫システムの誤作動によって攻撃されてしまいます。この結果、滑膜の炎症や増殖を生じるようになり、関節の腫れや痛みを感じるようになります。また治療を行わないで放置しておくと、関節を構成する骨や軟骨、腱が破壊されて、ついには関節自体が変形していきます。その結果として、日常動作や運動が著しく制限されるようになります。
関節リウマチの詳細な原因は、研究が進んだ今も、未解明の部分を残しています。しかしこの病気に悩む方は女性のほうが多いことが分かっています。東京女子医科大学の統計データでは(IORRAによる)男性が20%、女性が80%であることが分かっています。また、リウマチ患者さんのサポートやさまざまな情報提供を行っている日本リウマチ友の会によると、男性患者の割合が10%であるのに対して、女性患者の割合が90%とかなりの開きがあることが分かっています。
かつて関節リウマチは、治ることがない難病と言われていました。しかしながら、医学研究の進歩により、現在では関節の痛みや炎症が起きない状態を維持する(寛解といいます)治療法が実現しています。
関節リウマチの病状が進行した場合は、外科的な治療が必要となりますが、早期に発見し、治療を開始すれば、薬物療法を中心とした、生活や体に負担をかけにくい治療で寛解を目指すことが可能です。
国立病院機構横浜医療センター 臨床研究部長/膠原病・リウマチ内科部長
関連の医療相談が44件あります
リウマチと蜂窩織炎で入院中、家族がコロナ感染
現在リウマチと蜂窩織炎で3週間入院し、3日後退院します。その間家族が2人新型コロナ感染し、私の退院時、感染13日目、14日目となります。抗原検査では陰性となったようですが、若干咳と鼻詰まりがあるそうです。熱は2人とも2、3日で治りました。大丈夫だと思うのですが、私の退院後感染する可能性はありますか?注意することはありますか?教えてください。よろしくお願い致します。
両肩の痛みと指先の痺れ痛みと足の裏の腫れについて
高齢の母が、2ヶ月前両肩が痛くなり、着替のとき痛みがある程度でした。その後寝返りがうてなくなりました。今は両手の指先痺れて痛みが一日中あるようで、痛みがあるときは指先は冷たくなってます。手の甲も腫れてます。年齢的なことや症状からリウマチ性多発筋痛症ではないかと思いましたが、診断は関節リウマチでした。血液検査は、リウマチ因子13、抗CCP抗27、MMP-3は200.でした。CPR10です。ただ、手の関節レントゲンをとってもとても綺麗で異常ありません。関節リウマチという診断は、正しいですか。
左右の人差し指を曲げると痛くて曲がらない。
数ヶ月前から右人差し指が痛くて曲がらなかなり、左も同じ症状で困っています。先日、整形外科に行きました。レントゲンも異常は無く、リウマチ検査も異常無しでした。 原因不明ということでした。 他の膠原病の疑いがあるかもしれないので、生活に支障があるなら、専門医に行くよう言われました。
全身性エリテマトーデスについてのお伺い
10年以上前から関節リウマチの治療をしている母親なのですが、3年前に13万近くあった血小板が半年位で6万くらいになり現在3万位に減ってきました。2018年9月から関節リウマチの薬(リウマトレックス)を止めプレドニゾロンを2㎎から徐々に増やし8㎎まで増やし、血小板の変化を診てもらいましたが変化なく、今年に入りてんかん重積発作で3度救急搬送されました。 検査の結果、MRI、MRA、CT、髄液検査、ウイルス検査、特に問題なし。強いて言うならMRIの画像で脳の表面にベトっとした影があるが解らないとの診断でした。 血小板が減少してしまう症状は外来診察して原因を見つけている間にてんかん重積発作を起こした為原因不明の状態です。 そこでお伺いしたいのが、 全身性エリテマトーデスと言う疾患についてなのですが、現在関節リウマチの治療をしていましたが、自己免疫の変異により全身性エリテマトーデス(中枢神経ループス)を合併する事はあるのでしょうか。 全身性エリテマトーデス(中枢神経ループス)は脳神経への影響がありけいれん、意識障害、精神症状、血小板減少症状が現れ、蝶型紅斑も特徴的だと思うのですが、母親は頬に少し赤みが出てり手のひらが真っ赤になったり、血小板減少し始めてから脱毛、昨年末頃首の痛みや腰の痛みにより寝たきりになる事も多く発熱する事もあり痙攣重積発作も発症しましたが脳卒中や脳外傷、ウイルスも検出されなかったことから全身性エリテマトーデスではないかと予測したのですが可能性はありますでしょうか。 現在は3度目の重積発作後薬による副作用なのか発作の後遺症なのか全身性エリテマトーデスの進行による意識、神経、精神障害なのか解りませんが、寝たきり状態でこちらからの問い掛けにもたまに返答する程度で良く話していた母親ですが今では別人の様に無表情になってしまいました。 今強い抗てんかん薬を投与していますが、もし全身性エリテマトーデスが原因で現在の状況になっているのであれば薬の変更など可能なのでしょうか。 宜しくお願い致します。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「関節リウマチ」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。