痛みを感じるとき、痛みの原因にはさまざまなことが考えられます。
たとえば、スポーツによって膝に大きな負担がかかったり、半月板や軟骨が損傷したりといった場合には膝に炎症が起こり、痛みが発生します。また、加齢や病気の症状が膝の痛みの原因になることもあります。
本記事では、膝の痛みや腫れの原因について、横浜石心会病院(旧 さいわい鶴見病院)関節外科センター センター長の竹内 良平先生にお話を伺いました。
膝の痛みは、若年の方と中高年の方で考えられる原因が異なります。
若年の方はスポーツが原因となって膝に痛みが生じることが多く、膝に継続して大きな負担がかかると膝に炎症が起こります。一方、中高年の方の場合、加齢による半月板や軟骨の劣化などによって変形性膝関節症が発症し、膝の痛みの原因となることが多いです。
先ほどもお話ししたように、スポーツと膝の痛みは密接に関係しています。
たとえば、膝の痛みの原因になり得るスポーツとして、柔道やサッカー、登山などが挙げられます。また、バレーボールやバスケットボールといった、ジャンプや着地動作を頻繁に行うスポーツも膝に大きな負担がかかり、膝の痛みの原因になることがあります。
このように、スポーツによって膝に過度の負担がかかると、靱帯損傷、半月板断裂や軟骨損傷などを生じ、膝に痛みが現れます。初期の段階で適切に対処しなければ、膝の機能に影響が残ってしまうこともあるため、早めに整形外科を受診することが大切です。
膝の痛みは、関節の内側が痛むか外側が痛むかによって考えられる原因は異なります。
膝の内側が痛む原因は、内側半月板や前十字靱帯、内側側副靱帯の損傷などが考えられます。また、スポーツをされる方などに起こりやすいという鵞足部*の炎症によって膝の内側が痛むことがあります。そのほかに、記事2『変形性膝関節症とは?――原因と症状、膝関節の基礎知識』で詳しくお話ししている変形性膝関節症も膝の内側に痛みが現れることが多い病気です。
*鵞足部:膝の下にある脛骨の内側の部分で、縫工筋、薄筋、半腱様筋という筋肉が付着している
膝の外側が痛む原因は、外側半月板や外側側副靱帯の損傷などが考えられます。また、腸脛靱帯*と大腿骨の摩擦によって炎症が生じる腸脛靱帯炎の場合、膝の外側に痛みが現れます。
*腸脛靱帯:大腿四頭筋の外側に位置し、腓骨(すねの外側の骨)に付着する長大な靱帯。膝関節の安定性に関わっている
膝の痛みに腫れが伴う場合には、膝に関節滑液や血液がたまっている可能性があります。たとえば、膝の腫れの原因として以下の病気が考えられます。
関節リウマチとは、免疫のはたらきの異常により関節内滑膜に炎症が生じる遺伝が関与する病気です。若い方から高齢の方まで、年齢問わず発症する可能性があります。
関節リウマチの症状として、膝が炎症を起こすと、痛みに伴って膝に腫れや熱感がみられます。
なんらかの原因で膝の内部にある滑膜の血管が切れて出血し、血液が膝の内部にたまる特発性膝関節内血腫は、膝の痛みに伴って腫れがみられます。出血量が多い方ですと、100ccくらいの血液が膝にたまっていることがあります。はっきりとした原因は不明ですが、どちらかというとX脚の人に生じやすいです。
膝の半月板が損傷すると、関節滑液がたまって膝が腫れる場合があります。
半月板損傷の原因には、スポーツによる外傷や加齢による劣化などが挙げられます。重症になると、切れた半月板が関節内で引っかかり膝が動かしにくくなることもあります。
変形性膝関節症は、加齢に伴って膝関節の軟骨や半月板が劣化することで起こる病気です。進行すると、膝の曲げ伸ばしが困難となり、膝の変形が起こります。また、外傷が原因で起こる二次性変形性膝関節症もあります。
変形性膝関節症については、記事2『変形性膝関節症とは? ――原因と症状、膝関節の基礎知識』で詳しくご説明しています。
膝に痛みがある場合、無理に痛みを紛らわそうとするのではなく、整形外科で検査を受けて自分の病状を把握することが大切です。痛みが現れた時期と経過、どの場所がどのように痛むのかを細かく医師に説明し、症状に合わせて適切な治療を選択しましょう。
先ほどもお話ししたように、痛みを感じた段階で適切な処置を行わなければ、一時的に痛みが治まっていても、数年後に再び痛みが現れることがあります。膝の痛みの原因をきちんと把握して、初期段階で治療を受けるようにしていただきたいです。
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横浜石心会病院 関節外科センター センター長
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