関節リウマチは、人体を守る免疫システムが誤動作を起こし、関節の滑膜を攻撃するようになって炎症や痛みを生じる病気です。積極的に治療を行わない場合、発症から2年以内に関節が破壊されることが分かっています。ここでは、生活を阻害する関節リウマチの症状や合併症について、国立病院機構 横浜医療センター 膠原病・リウマチ内科 部長の井畑 淳先生にお話しを伺いました。
関節リウマチは、関節を覆う滑膜が免疫システムに攻撃され、炎症を起こすことによって起こる病気です。そのため、全般的な症状としてはこわばりや痛みなどが生じますが、関節リウマチの場合、初期症状から病状が進行した末期状態になるまで、症状は変化していきます。また病状の進行にともなってさまざまな合併症を生じることが一般的です。
関節リウマチのもっとも初期に見られる症状は“起床時の関節のこわばり”です。起床時に少なくとも1時間以上関節がこわばった感じが治まらない場合、関節リウマチの初期症状が起きている可能性が考えられます。
関節痛、関節の腫れなども起こります。
なお、関節の腫れや痛みは外傷や痛風などの代謝疾患でも起こります。これらの原因によって起こる症状と、関節リウマチによって起こる症状の違いは、関節リウマチの場合は左右対称・複数の関節に痛みや腫脹が起こることです。また、腫れている部分は外傷などとは違って柔らかいという特徴があります。
関節リウマチの患者さんのうち、90%以上の方が手足の指の関節に症状を訴え、膝・肘・肩・足首などにも痛みが出ます。そのなかでも特に上肢の関節に強く痛みや自覚症状が出る傾向があります。関節リウマチでは手の指の第1関節に症状が起きることはまれで、第2関節や指の付け根の関節に症状が出ることが多いのも特徴です。
また、まれにですが、手や指、手首の関節に腫れが見られないものの、足の指など下肢の関節にだけ炎症が生じている場合もあります。一般的に足は手よりも痛みを感じにくいことが多いといわれています。足に違和感を生じるときは、医師の診察時に、忘れずに申告することが大事です。
関節リウマチは、起床時の関節のこわばりからはじまり、やがて関節の炎症が進み、痛みや腫脹が起こる病気です。炎症が進むと滑膜が増殖し、関節本来の運動機能が徐々に損なわれます。
さらに病状が進行すると、関節内の軟骨と骨が破壊されます。また、骨粗しょう症を起こして骨がもろくなり、圧迫骨折などを引き起こす可能性も高くなります。
関節リウマチになったばかりで関節が痛いときには、重たいものを持ったり、無理な運動を行ったりすることは好ましくありません。しかしながら、何も運動しないと筋力が低下するだけでなく、骨自体ももろくなってしまいます。病気が落ち着いたら主治医の指示にしたがって、筋力維持のトレーニングを図ったり、関節の可動域(関節が動く範囲)が狭くならないようなリハビリテーションを継続的に行ったりすることも重要です。
関節リウマチは、関節以外にも症状を引き起こすことがあります。具体的には“リウマトイド結節”と呼ばれる、皮膚の下にしこりを生じる症状がもっとも多く見られます。
また、末梢神経の障害や潰瘍などの皮膚疾患もよく見られる症状です。なかには間質性肺疾患などの重篤な呼吸器疾患や血管炎症状・眼強膜炎などの症状を引き起こすこともあり、これらは関節炎とは治療が少し異なります。何か気になる症状があったら受診時に相談してみましょう。
国立病院機構横浜医療センター 臨床研究部長/膠原病・リウマチ内科部長
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