概要
痛風とは、血液中に溶けきれなくなった尿酸が結晶化し、関節などの組織に炎症を引き起こす病気のことです。結晶化した尿酸が関節にたまって炎症が起こると、急激な痛みや腫れを伴う痛風発作を引き起こします。
足の親指の付け根が赤く腫れて痛くなることが多く、風が吹いただけで痛みが生じるほど激烈な痛みを生じます。痛風発作は足の親指の付け根だけでなく、足・膝・手などのさまざまな関節にも生じます。また、痛みや腫れの症状以外にも、関節や耳にこぶのようなものができる痛風結節、腎臓のはたらきが悪くなる痛風腎や尿管結石を起こすこともあります。
原因
痛風は、血液中の尿酸の濃度が高い状態が続く高尿酸血症に起因する病気です。尿酸は、プリン体(プリン環の構造を持つものの総称。核酸の代謝によってつくられるもの)が分解されることでできる物質です。プリン体を多く含む食べ物を取り過ぎたり、代謝経路のどこかに異常ができたりすると、体内のプリン体は少しずつたまっていきます。
尿酸は、腎臓や腸管から排出されます。血液中の尿酸値は、体内でつくられた量と排泄された量のバランスによって決まります。血液中の尿酸値が上昇すると、高尿酸血症が現れます。やがて、血液に溶けきれなくなった尿酸が結晶化し、関節や皮膚の下に蓄積することで痛みや腫れを引き起こします。
症状
痛風発作は足の親指の付け根に生じることが多いのが特徴です。痛みを生じた箇所は赤く腫れ上がり、熱感を伴います。痛風発作は足の親指の付け根以外にも、足・膝・手などの関節にも起こります。痛風発作の痛みは耐え難いほどの激痛で、日常生活が困難になる人もいるほどです。通常、24時間以内に痛みのピークを迎えますが、強い痛みが数日間続き、7~10日間で症状は治まります。
さらに、高尿酸血症を放置しておくと、手足の関節や耳たぶの皮膚の下にも尿酸塩の結晶が沈着してこぶのようになります。これを痛風結節といいます。痛風結節は、痛風発作と違い痛みが生じることはありません。しかし、進行すると関節が変形したり、骨の破壊が起こったりして日常生活に影響が出ます。
検査・診断
痛風の検査では、はじめに痛風関節炎(痛風で生じる関節の炎症)や痛風結節の有無が診察で確認されます。また、血液検査や尿検査を行うことで、血清尿酸値や尿中尿酸排泄量といった数値も調べるのが一般的です。
診断が困難なケースでは、関節滑液中の尿酸塩結晶を調べることがあります。また、骨の状態を確認するためにX線撮影による検査が行われることもあります。尿酸結晶の沈着状態を超音波検査や特殊なCT検査(dual energy CT)で調べることもあります。
治療
治療では、高尿酸血症の改善が重要です。痛風発作の急激な痛みに対しては、消炎鎮痛薬を使って速やかに痛みを和らげます。痛風発作が治まったら、血中の尿酸値を下げるために尿酸降下薬の服用を開始します。
薬物療法のほかに大切なのが、生活習慣の改善です。尿酸値が高い高尿酸血症の状態が続くと、痛風発作を繰り返す原因となります。尿酸を増やさないためには、尿酸の元となるプリン体が多く含まれる食品(肉や魚の内臓など)やアルコールを控えるとよいでしょう。肥満の解消も尿酸の低下につながります。
予防
痛風患者が増加した背景には、食生活の欧米化や運動不足による肥満の増加があると考えられています。また、痛風の患者では、内臓肥満や脂質異常症などを伴うメタボリックシンドロームを合併していることも少なくありません。過度なエネルギー摂取にならないよう食生活を見直し、適量の飲酒を心がけるようにしましょう。
健康的な体重を維持するために週に3回ほど運動習慣を取り入れるのも有効です。痛風だけでなくメタボリックシンドロームの予防のためにも日頃から規則正しい生活を送ることが大切です。
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