概要
高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が通常よりも高い状態のことです。
尿酸*が過剰になると、体内で析出して結晶を作り、痛風と呼ばれる病気を発症することがあります。尿酸の結晶は足の親指の付け根に形成されることが多く、激烈な痛みや発赤、腫れなどの痛風関節炎(痛風発作)を引き起こします。そのほか、腎臓にも結晶を作ることもあり、腎臓結石の原因にもなります。
高尿酸血症は、アルコールや肉を多く摂取する、といった生活習慣と密接に関連していると考えられています。こうした生活スタイルは、高血圧や脂質異常症、糖尿病、肥満などとも関連しており、動脈硬化を進行させないという観点からも治療を行う必要があります。
*尿酸:核酸(DNAやRNAの総称)の主成分となるプリン体が代謝されてできた物質のことです。細胞が活動を行う過程においてプリン体が不要になると、プリン体は尿酸へと変換され主として腎臓を介して体外に排泄されます。
原因
高尿酸血症の原因は、腎臓からの排泄低下、尿酸の産生増加、両者の排出低下と産生増加の混合型に分けられます。
腎臓からの排泄低下
日本人の原因としてもっとも多いタイプです。尿酸を腎臓から十分に排出できないために高尿酸血症を生じます。
腎疾患により腎臓の機能が低下していたり、尿酸の排出に関与する利尿薬などの薬剤を使用していたりする場合には、尿酸の排出が低下するために血中の尿酸値が上昇しやすくなります。
肥満のひとつである内臓脂肪型肥満ではインスリン抵抗性を介して腎臓からの尿酸排泄が低下するため血清尿酸値が上昇しやすくなります。内臓脂肪型肥満では尿酸の産生も高まるといわれています。
乳酸が体内に過剰に存在すると尿酸の排出を阻害することが知られています。アルコールを摂取すると肝臓でのプリン代謝が増進されますが、乳酸はその過程において産生されます。アルコールは尿酸を増加させ、排出も低下させるため、過剰摂取には注意が必要です。
尿酸の産生増加
尿酸が通常よりも過剰に産生されることで高尿酸血症を生じます。溶血性貧血、白血病、リンパ腫といった血液系の病気や乾癬などの炎症性疾患が原因となります。これらの病気では核酸の代謝が活発となり、老廃物としての尿酸を大量に産生する傾向があります。
尿酸のもととなるプリン体を大量に摂取することも、高尿酸血症の原因になりえます。プリン体は、ビールやレバー類などに多く含まれています。したがって、こうしたものを多く摂取する生活習慣スタイルは高尿酸血症の原因となりえます。
最近の研究では、遺伝的要因として尿酸の排出に関わるABCG2遺伝子の変異が発症リスクを上昇させることも報告されています。ABCG2の機能が低下すると腸管からの尿酸の排泄が低下するため血清尿酸値が上昇しやすくなります。
症状
高尿酸血症そのもので症状が生じることはありません。しかし、高尿酸血症に関連して、痛風や腎臓・尿管結石を発症すると症状を自覚するようになります。
痛風関節炎は足の親指の付け根など小さい関節に生じることが多く、激烈な痛みや発赤、熱感、腫脹といった炎症反応をみることがあります。そのほか、くるぶし、膝、アキレス腱などにも起こります。通常は数日で治まりますが、背景に存在する高尿酸血症に対して適切な治療が行われないまま放置されると、何度も発作を繰り返すことがあります。さらに関節の変形や運動制限などにつながることもあります。
また、痛風結節と呼ばれる、黄色っぽく固いできものをみることもあります。好発部位は指、手、アキレス腱周囲などですが、腎臓など内臓に形成されることもあります。通常、痛みなどはありませんが、関節の変形につながったりすることもあります。
高尿酸血症では、腎臓に結石を作ることもあります。この場合は、背部痛の原因となることもありますし、腎障害が進行することもあります。さらに、高血圧や脂質異常症、肥満、糖尿病などの生活習慣病を合併することもまれではありません。
検査・診断
高尿酸血症の診断は、血液検査で尿酸の値が高いことからなされます。一般的には尿酸値が7.0mg/dlを超えると高尿酸血症と診断されます。
痛風では尿酸の結晶が形成されていることを確認するために、関節穿刺*や関節超音波検査、特殊なCT検査(dual energy CT)などを行うことがあります。腎臓・尿管結石の確認のために、尿検査や超音波検査、CTなどといった画像検査が行われることもあります。
また、痛風に類似した症状をきたす病気との鑑別を行うために、血液検査や画像検査などが併用されることもあります。感染性関節炎や偽痛風、関節リウマチ、骨折など、多くの病気において痛風関節炎に類似した痛みをきたす可能性があります。
*関節穿刺:関節内に注射針を刺し、関節液の一部を採取すること
治療
高尿酸血症の治療は、大きく生活習慣の改善と薬物療法の2つに分けることができます。痛風関節炎に対しては非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)が使われます。
生活習慣の改善
プリン体を多く含む食品(動物の内臓など)やアルコールの摂取を控えることが重要です。また、肥満を併発していることも多いため減量を行うことも求められます。高血圧や糖尿病、脂質異常症などの動脈硬化のリスク因子があれば、それらに対しての治療も必要です。
薬物療法
尿酸が産生されにくくする薬や体外への排泄を促す薬などの尿酸降下薬を使用することになります。尿酸降下薬の開始時には痛風発作が生じることもあります。その場合においては、NSAIDsが併用されます。
予防
予防には、尿酸のもとなるプリン体の摂取を減らすことが大切です。プリン体を多く含む食品にはビール、レバー、肉、魚などが挙げられます。
また、アルコールは尿酸値を上昇させるため、アルコール自体の摂取を控えることも有効です。
実績のある医師
周辺で高尿酸血症の実績がある医師
イーヘルスクリニック新宿院 院長、帝京大学大学院公衆衛生学研究科 非常勤講師、久留米大学医学部公衆衛生学講座 助教

イーヘルスクリニック新宿院―「一歩先のかかりつけ医」を目指しています。
イーヘルスクリニック新宿院(東京都新宿区新宿2丁目6-4 新宿通東洋ビル3F:都営新宿線 新宿三丁目 C5出口 徒歩1分)のクリニック紹介
内科、アレルギー科、腎臓内科、泌尿器科、呼吸器内科、糖尿病内科
東京都新宿区新宿2丁目6-4 新宿通東洋ビル3F
都営新宿線「新宿三丁目」C5出口 徒歩1分、東京メトロ丸ノ内線「新宿三丁目」C5出口 徒歩1分、東京メトロ丸ノ内線「新宿御苑前」出口2 徒歩5分、JR山手線「新宿」東南口 徒歩7分
医療法人社団ユスタヴィア 理事長 、クリニックみらい国立 院長
内科、神経内科、腎臓内科、循環器内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科
東京都国立市東1丁目6-9
JR中央線(快速)「国立」南口 徒歩2分
両国東口クリニック 名誉院長
内科、リウマチ科、脳神経外科
東京都墨田区両国3丁目21-1 グレイスビル両国8階
JR中央・総武線「両国」東口 徒歩1分
医療法人社団めぐみ会 自由が丘メディカルプラザ、杉並堀ノ内クリニック 医師
内科、小児科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科
東京都杉並区堀ノ内2丁目29-14 ライオンズマンション新高円寺1F
JR中央線(快速)「阿佐ケ谷」都営・京王バス渋66系 堀ノ内二丁目下車 徒歩3分 バス
国分寺内科クリニック/内科、糖尿病・代謝内科、内分泌内科 院長
内科、糖尿病内科、代謝内科、内分泌内科
東京都国分寺市本町2丁目2-1 COCOBUNJI EAST 2F
JR中央本線(東京~塩尻)「国分寺」北口 徒歩1分
この記事は参考になりましたか?
なお、こちらで頂いたご意見への返信はおこなっておりません。医療相談をご要望の方はこちらからどうぞ。
「高尿酸血症」を登録すると、新着の情報をお知らせします