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高尿酸血症の薬物治療とは?~薬の種類別の特徴や服用期間の目安について解説~

高尿酸血症の薬物治療とは?~薬の種類別の特徴や服用期間の目安について解説~
天野 方一 先生

イーヘルスクリニック新宿院 院長、帝京大学大学院公衆衛生学研究科 非常勤講師、帝京大学ちば総合...

天野 方一 先生

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高尿酸血症生活習慣病の1つで、血液中の尿酸値が7mg/dL以上の状態を指します。初期は無症状のことが多いですが、その状態が続くと関節に強い痛みが生じる“痛風”、腎臓や膀胱といった尿路に結石が生じる“腎結石”“尿路結石”などを発症する恐れがあります。また、近年では腎障害との関連性が明らかになってきたほか、肥満症高血圧症など、ほかの生活習慣病との関連性も指摘されています。

高尿酸血症の治療方法として第一に生活習慣の改善が挙げられますが、状況に応じて薬物治療が併用されることもあります。このページでは、高尿酸血症の薬物治療について詳しくご紹介します。

高尿酸血症では、尿酸値を6.0mg/dL未満にすることを目標に治療が行われます。中でも薬物治療が検討される人は以下のとおりです。

ただし、すでに痛風発作が現れている人は尿酸値の変動によって症状が悪化する可能性があるため、発作がおさまるまでは痛み止めの治療を行うことが一般的です。発作がおさまったタイミングで高尿酸血症に対する治療が検討されます。

高尿酸血症の治療で用いられる“尿酸降下薬”は、主に“尿酸排泄促進薬”と“尿酸生成抑制薬”の2つに分けられます。

尿から尿酸を排泄することを促す治療薬です。2020年より登場した選択的尿酸再吸収阻害薬(ドチヌラド)をはじめ、URAT1阻害薬(ベンズブロマロン)、有機酸トランスポーター阻害薬(プロベネシド)、などがあります。

主な副作用

尿酸排泄促進薬は過去に腎・尿管結石症を起こしたことのある人が服用する場合、肝障害を引き起こす恐れもあるため、慎重に処方が検討されます。また尿路結石症を予防するために、尿をアルカリ化させるような治療薬の併用や水分をよく取る指導などが行われます。

尿酸生成抑制薬は尿酸が作られ過ぎてしまうことを抑える治療薬です。主にフェブキソスタット、トピロキソスタットなどがあります。

主な副作用

どちらの治療薬も飲み合わせの悪い治療薬が複数あります。そのため、処方される際には必ず医療機関に今飲んでいる薬を申告するようにしましょう。特にメルカプトプリン水和物やアザチオプリンを服用中の人は注意が必要です。

前述のとおり、高尿酸血症の治療薬にはいくつか種類があり、治療薬は病気のタイプや患者さんが現在飲んでいる治療薬、副作用のリスクなどによって使い分けることが一般的です。

高尿酸血症は現在大きく3つのタイプに分類されます。

1つは腎臓の機能低下によって尿酸の排泄がうまくいかなくなる“尿酸排泄低下型”、2つ目は尿酸が過剰に産生されてしまったり腎臓以外の部位からの排泄がうまくいかなくなったりする“腎負荷型(尿酸産生過剰型または腎外排泄低下型)”、3つ目は2つのタイプが混ざった“混合型”です。日本では、尿酸排泄低下型の患者さんがおよそ60%ともっとも多いといわれています。

このような病気のタイプも考慮して適切な薬が検討されます。

高尿酸血症の治療では尿酸値を6.0mg/dL未満にし、それを維持することが大切です。ただし、急激に尿酸値を下げてしまうと痛風が起こることがあるため、3〜6か月ほど時間をかけて、尿酸値を段階的に減らすことが検討されます。自己判断で服用やめると尿酸が高い状態にすぐ戻ってしまいます。そのため、決められた量や期間で医師の指示にしたがって服用することが重要です。

高尿酸血症は、治療を継続することで初めて改善が期待できる病気です。診断された際は、まず医師の指導の下で日々の食生活や運動習慣を見直し、薬物治療を行うことになった場合も継続して治療薬を飲み続けるようにしましょう。

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