尿酸値とは血液中の尿酸の濃度のことで、基準値よりも高い状態を高尿酸血症といいます。放置すると痛風や腎機能障害、腎臓・尿管結石などの病気を引き起こしますので、早期発見が重要となります。
このため、尿酸値は上記のような病気の診断だけでなく、早期発見を目的として健康診断などでも広く調べられる検査項目となっています。
尿酸はプリン体が分解されて生成される物質です。プリン体は細胞の増殖などの際に体内で生成されるほか、干物や甲殻類、ビールなどの食品からも体内に取り入れられます。プリン体が分解されて尿酸になると最終的に約80%が尿として、残りの約20%が便や汗などから排泄されます。しかし、体内でプリン体が多く作られたり、プリン体を多く含む食品の過剰摂取や腎機能の低下によって尿酸の過剰な生成や排泄の低下が生じたりすると、血液中の尿酸が増加します。尿酸は関節内や腎臓で固まりやすく、固まった尿酸が関節内で炎症を起こすと痛風を引き起こし、腎臓にたまると腎機能障害や腎臓結石、腎臓結石が尿管に落下すると尿管結石となるのです。なお、女性ホルモンには腎臓から尿酸の排泄を促す作用があるので、尿酸値の基準値には男女差があり、男性のほうが女性よりも尿酸値が上がりやすいとされています。
尿酸値は血液検査で測定することができ、痛風や腎臓の機能障害、腎臓・尿管結石などの病気の可能性が考えられるときに、診断の補助として検査が行われます。尿酸値が高値を示した場合、高尿酸血症と診断されますが、高尿酸血症によって起こり得る病気は前述したようにさまざまで、尿酸値のみで病気を特定することはできません。特定するためには追加の検査が必要になります。
また、尿酸値の測定は関連する病気の治療中や治療後にも経過をみる目的として調べられることが多くあります。加えて、健康診断や人間ドックにおける血液検査の測定項目にも含まれています。
血液検査の項目の一部は、食事や運動、服薬などに影響を受けて正しい測定値が得られない場合があります。尿酸値においては利尿薬や脂質異常症、高血圧などの薬の影響を受けるので、服用している薬があれば医師に必ず伝えましょう。健康診断や人間ドックを受ける場合には、血液検査のさまざまな項目を測定することから、検査前日の夕食は20時までに済ませ、当日は朝食を取らず、運動を控えて空腹・安静の状態で検査を受けるようにしましょう。
血液検査で用いる血液は、主に腕の血管に針を刺して採取しますので、腕が隠れている場合には上着などを脱ぎ、袖をまくりあげてもらうことになります。スムーズに採血ができるよう、検査当日は着脱しやすい上着や袖まわりにゆとりがある服装を選びましょう。
血液検査自体がスムーズにいけば、それほど時間はかかりません。また、痛みも針を刺すときに軽い痛みを感じる程度で済むことがほとんどです。ただし、まれに激しい痛みやしびれを感じることがあります。その場合は我慢せず、すぐに採血担当者に伝えましょう。また、採血直後に気分が悪くなったり冷や汗が出たりすることもあります。このような異常を感じた場合も遠慮せずに申し出るようにしましょう。
尿酸値の基準値は一般的に、男性で3.7~7.0 mg/dL、女性で2.5~7.0mg/dLです。男女ともに7.0mg/dLを超える場合に高尿酸血症と診断されます。ただし、基準値は測定方法や検査機関によって異なる場合があるので、結果については医師から直接お聞きください。
高尿酸血症が原因となり得る病気には、痛風や腎機能障害、腎臓・尿管結石などがあります。このため高尿酸血症と診断された後、それらの病気の有無を調べるために追加の精密検査が行われる場合があります。
・腎結石・尿管結石が疑われる場合……腹部X線検査・腹部超音波検査・腹部CT検査などが行われます。
・骨の破壊や痛風結節(尿酸塩結晶の塊)の可能性がある場合……関節X線検査・関節超音波検査などが行われます。また、特殊な施設の場合、尿酸塩結晶の同定のためにdual energy(DE)CT検査が行われることもあります。
以上のように、問診や血液検査の結果によって、どのような検査が行われるかは異なります。精密検査の結果、病気が見つからなくても高尿酸血症の状態が続くとさまざまな病気を引き起こすリスクがあるので、生活習慣の改善や薬物療法などによる治療をすすめられる場合があります。
また、尿酸値の測定は、関連する病気の治療中に経過を見る目的として行われることも多くあります。このときに前回のデータと比較して改善していると判断された場合、たとえ基準値を超えていたとしても特別な対処は行わず、引き続き同様の治療が行われることも考えられます。痛風の場合は、尿酸値を下げる薬を使って、関節内にある痛風結節(尿酸塩結晶の塊)を溶かす必要があるため、尿酸値を6.0mg/dL以下に維持するように薬の量を調整します。
尿酸値が異常と判断された場合、目立った自覚症状がない場合でも病気の早期発見のため医師の指示に従って精密検査を受けるようにしましょう。また、精密検査で問題がなくても食事や運動といった生活習慣の見直しが必要と判断された場合には、医師の指示に従って行動するようにしましょう。検査の結果から、薬による治療が検討されることもあります。治療については医師とよく相談し、治療を受ける場合には自己判断で中断しないことが大切です。
本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。
周辺で尿酸値に関連する治療の実績がある医師
イーヘルスクリニック新宿院 院長、帝京大学大学院公衆衛生学研究科 非常勤講師、久留米大学医学部公衆衛生学講座 助教
イーヘルスクリニック新宿院―「一歩先のかかりつけ医」を目指しています。
イーヘルスクリニック新宿院(東京都新宿区新宿2丁目6-4 新宿通東洋ビル3F:都営新宿線 新宿三丁目 C5出口 徒歩1分)のクリニック紹介
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