高尿酸血症は生活習慣病の1つとして知られている病気です。自覚症状が出ないこともあり、健康診断で偶然見つかる人も少なくありません。特に男性に多い病気で、年々増加傾向にあることが分かっています。また、患者さんの80%に高血圧症、肥満症、脂質異常症など、ほかの生活習慣病の合併がみられることも特徴です。
本記事では、高尿酸血症の原因や症状などについて分かりやすく解説します。
高尿酸血症とは血液中の尿酸が高い状態のことで、血液検査で尿酸値が7.0mg/dL以上の場合に診断されます。
尿酸はプリン体(後述)が分解されてできた老廃物です。通常は腎臓や腸などから排出され、体の中で一定の量を保っています。しかし、尿酸が体の中で作られすぎてしまったり、腎臓や腸の機能が低下して尿酸をうまく排出できなくなってしまったりすると、血液中の尿酸濃度が増加して高尿酸血症となります。
前述のとおり、尿酸はプリン体と呼ばれる物質から作られます。プリン体というと悪いもののイメージもありますが、これは細胞の核を構成する成分で、私たちの体の中で自然に産生されています。ビールや肉、卵などの食品にも多く含まれるため、それらを食べることで体に取り込まれる可能性があります。そのためプリン体を多く含んだ食品をよく取っていると、それだけ尿酸が過剰に産生されやすく、高尿酸血症になりやすいともいえます。
高尿酸血症の原因には、日頃の食生活などの生活習慣や遺伝的な要因などが挙げられます。具体的な原因は尿酸値が上がってしまう仕組みによって異なります。
尿酸が過剰に作られてしまうことで尿酸値が上がるタイプの高尿酸血症です。プリン体の多い食品の過剰摂取や薬の副作用、代謝系の病気などが原因で、体の中で尿酸が多く作られるようになります。
尿酸の排出がうまくいかなくなるタイプの高尿酸血症です。特に日本ではこのタイプの患者さんが多く、全体の60%程度いるといわれています。
主に腎臓や腸管のはたらきの低下や、水分摂取不足、薬の副作用が原因になるといわれます。腎臓や腸管のはたらきが低下してしまうと、尿酸がうまく排出できなくなり、血液中の尿酸値が高い状態が続いてしまうと考えられています。
また摂取する食品によって、尿酸の排出低下が促進される例もあり、主な食品にはアルコールが挙げられます。そのため仮にプリン体の入っていないお酒でも、お酒であるかぎり尿酸値が上がってしまう可能性があることを理解しておくとよいでしょう。
尿酸産生過剰型と尿酸排出低下型が混合したタイプの高尿酸血症です。肥満の人はこのタイプが多いと考えられています。これは食べすぎや飲みすぎによって尿酸が過剰に作られるほか、インスリンのはたらきが十分に発揮できないことから尿酸の再吸収が促されて、尿酸の排泄が低下すると考えられているためです。
高尿酸血症そのものに自覚症状はありません。そのため、症状がない段階で健康診断などをきっかけに偶然見つかることもあります。
高尿酸血症が進行すると痛風や尿路結石症などが生じ、強い自覚症状が現れる可能性があります。
痛風とは、尿酸が関節などに結晶としてたまり、炎症を起こすことによって激痛が生じることです。また尿路結石症とは、腎臓から尿道までを指す“尿路”のどこかに尿酸による結石が生じる病気です。結石の位置によっては無症状の場合もありますが、背中や脇腹に強い痛みが生じたり、血尿が生じたりする可能性もあります。
また、高尿酸血症にかかると腎障害が促進されることが分かっています。加えて前述のとおり、ほかの生活習慣病を合併する人が多いことから、それらとの関連性も指摘されているほか、血管がしなやかさを失う“動脈硬化”のリスクでもあることが疑われています。
高尿酸血症は問診と血液検査から診断されることが一般的です。問診では、過去の病気や現在服用している治療薬、生活習慣などが尋ねられます。診断後は患者さんに合わせた治療が検討されます。高尿酸血症の治療法としては、生活習慣の改善と薬物療法が挙げられます。
高尿酸血症は生活習慣病であるため、第一に生活習慣の改善が指導されます。具体的には、カロリー制限、飲酒量の制限などの食事療法のほか、運動療法などが提案されます。
生活習慣の改善を行っても尿酸値が十分に下がらない場合、薬物療法が検討されることが一般的です。尿酸値を下げる治療薬には、尿酸の産生を抑えるものや尿酸の排泄を促すものなどの種類があり、病気のタイプに応じて治療薬を検討します。
高尿酸血症は診断されても自覚症状がないことも多く、治療の重要性を感じにくい可能性があります。しかし、放置していると痛風や尿路結石症といった病気に結びつくこともあるほか、腎障害の促進などさまざまなリスクが懸念されます。そのため、「尿酸値が高い」と指摘されたら、放置せずにまずは医療機関の受診を検討しましょう。
イーヘルスクリニック新宿院 院長、帝京大学大学院公衆衛生学研究科 非常勤講師、久留米大学医学部公衆衛生学講座 助教
日本内科学会 認定内科医日本腎臓学会 腎臓専門医・腎臓指導医日本抗加齢医学会 抗加齢専門医日本医師会 認定産業医
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院 (eHealth clinic 新宿院)」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
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