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巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)とは―膠原病として数少ない緊急疾患
巨細胞性動脈炎は、側頭動脈炎とも呼ばれ、リウマチ性多発筋痛症と相互に合併することの多い病気です。また、この側頭動脈炎は失明につながる可能性があり、膠原病のなかでの救急疾患の1つです。側頭動脈炎と...
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巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)とは―膠原病として数少ない緊急疾患

公開日 2015 年 08 月 13 日 | 更新日 2017 年 12 月 05 日

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)とは―膠原病として数少ない緊急疾患
金城 光代 先生

沖縄県立中部病院

金城 光代 先生

巨細胞性動脈炎は、側頭動脈炎とも呼ばれ、リウマチ性多発筋痛症と相互に合併することの多い病気です。また、この側頭動脈炎は失明につながる可能性があり、膠原病のなかでの救急疾患の1つです。側頭動脈炎とはどのような病気なのでしょうか。沖縄県立中部病院の金城光代先生にお話をお聞きしました。

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)とは

巨細胞性動脈炎は、大きな血管(大動脈またはそれにつながる動脈)に起こる動脈炎です。新規発症の頭痛を特徴とし、高齢の女性に多い病気です。注意が必要なのは、失明の原因となるからです。しばしば頭の外側にある側頭動脈(図)にも炎症が起きるため、側頭動脈炎とも呼ばれます。リウマチ性多発筋痛症の患者さんのうち5~20%に併って起こります。また、巨細胞性動脈炎の方の半分にリウマチ性多発筋痛症が起こります。

側頭動脈炎(巨細胞血管炎)

側頭動脈炎(巨細胞血管炎)

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の原因とリスクは?

基本的には原因不明です。リウマチ性多発筋痛症と同様に年齢との関係があり、50歳以上の方に多く起こります。また、スカンジナビアの方に多く起こる点もリウマチ性多発筋痛症と同様です。一方で、リウマチ性多発筋痛症と異なる点としては、遺伝との関連が指摘されつつあることが挙げられます。

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の症状

  • 新規発症の頭痛
  • 全身倦怠感
  • 食欲低下
  • 体重減少
  • 発熱
  • 失明、視力障害
  • 眼痛
  • 顎のだるさ(特に、ものを噛んでいるとだるくなってくる、虚血症状)

このようにさまざまな症状がありますが、基本的な考え方としては「全身症状と新規発症の頭痛」が特徴的です。

何より危険な「失明」の危険性はどのように予測すればよいのでしょうか?
まず、何より大切なのは「視力障害」です。複視といって、ものが二重に見えたときにはすぐに受診しなくてはいけません。もう1つの特徴としては「顎のだるさ」です。特に、噛んでいると顎がだるくなっていくというのは顎の虚血症状(血の通りが悪くなっていく)の現れです。これらの症状があるときには、失明が目の前に迫っている危険な状況と考えられます。これらは、さほど頻度の高いものではありませんが緊急事態なので、すぐに病院に行かねばなりません。

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の検査・診断

〈アメリカリウマチ学会巨細胞性動脈炎分類基準〉

  • 発症年齢≧50歳
  • 新しく発症した頭痛
  • 側頭動脈の圧痛、あるいは、動脈硬化症とは無関係に起こった脈拍の減弱
  • 赤血球沈降反応>50mm/時
  • 浅側頭動脈生検で、血管炎を認める

上記は以前から使われているものですが、現在も分類基準として使われています。

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の治療

早期からのステロイド治療が有効

急性期治療(発症後すぐの治療)としては、「ステロイドパルス療法」という大量のステロイドによる治療を行います。特に、視力に危険があり失明の恐れがあるときにはすぐにステロイドパルス療法を始めます。この場合、側頭動脈生検(体の組織を採取して検査すること)などによる確定診断を待っていられないため、診断が確定する前に治療を開始します。

視力障害、失明の予防には低用量アスピリンを用いる

失明の予防として、低用量アスピリンが推奨されており、併用されています。

巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)はどうして危険なのか?

まず、先述したように、巨細胞性動脈炎は失明を起こしうるという点が危険であり理由です。もうひとつの危険性としては、「大血管炎」を引き起こす可能性もあるということです。これは、側頭動脈に炎症がなく、大動脈だけ大血管炎が起きてくる可能性もあります。つまり、頭痛などの症状もなく大動脈炎だけができることがあるということです。大動脈の炎症の結果、大動脈瘤ができることがあります。

大動脈瘤とは、血管が膨らんでしまうことを指します。膨らむだけであれば問題はありませんが、大動脈瘤ができると血管が破裂してしまうリスクが高くなります。「不明熱」という形で、頭痛は起こらないものの胸部大動脈瘤が起きてしまうリスクが普通の方と比較して17倍になります。大動脈解離という血管の壁が裂けてしまう状態になる可能性も高くなり、これは寿命や生命予後(病気になったあと何年生きられるか)にも関わります。

さらに、別の危険性もあります。これは、巨細胞性動脈炎のほうがリウマチ性多発筋痛症よりもはるかに大量のステロイドを使わなければいけないということです。リウマチ性多発筋痛症は、プレドニン(ステロイドの1種)でいえば2−3錠程度ですが、その5倍程度、つまりプレドニンでいえば10~12錠を使用します。こうなると、圧迫骨折や免疫抑制(身体の免疫機能を抑えてしまうため感染症などにかかりやすくなる)といったステロイドによる合併症も比較にならないほど高い率で起きます。そのため、ステロイドの合併症を慎重にモニタリングしていく必要があります。

東北大学医学部を卒業後、Beth Israel Medical Centerなどを経て現在は沖縄県立中部病院でチーフを務める。リウマチ膠原病疾患の中でも特にリウマチ性多発筋痛症や側頭動脈炎を専門とし、プライマリケア医への指導にもあたる。また、総合内科としてもトップランナーであり、NHKの「ドクターG」にも出演。著作の「内科外来マニュアル」は多くの医師が愛用している名著。

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