ふめいねつ

不明熱

同義語
FUO:Fever of Unknown Origin
最終更新日:
2025年01月16日
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2025/01/16
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医師の方へ

概要

不明熱とは、3週間以上にわたって原因不明の38.3℃以上の発熱が続く状態です。現代では、血液検査や画像検査の精度が向上し、感染症や悪性腫瘍(あくせいしゅよう)といった発熱の原因となる病気の特定が以前より容易になっています。しかしながら、詳細な検査を実施しても原因が判明しない不明熱の症例は依然として多く存在し、その原因は多岐にわたっています。

不明熱の主な原因として、感染症や悪性腫瘍、膠原病(こうげんびょう)(免疫の異常によって体に炎症が生じる病気)が挙げられます。さらに、炎症性腸疾患家族性地中海熱、薬物の副作用など思わぬ原因が背景にあることもあります。適切な治療が遅れると命に関わるケースもあるため、原因不明の発熱がある場合には早めに専門の医療機関を受診することが重要です。

原因

不明熱ははっきりした原因が分からない38.3℃以上の発熱が続く状態を指します。不明熱の原因は多岐にわたりますが、最も多いのは感染症です。感染症では細菌、次いでウイルス・真菌感染が原因となりますが、特にサイトメガロウイルス感染症、EBウイルス感染症、HIV感染症結核などは原因として注意すべき病原体です。そのほかにも手術や病気の影響による(うよう)(体の中にできる(うみ)の塊)形成、感染性心内膜炎骨髄炎副鼻腔炎(ふくびくうえん)、細菌性関節炎、甲状腺炎なども不明熱の原因となります。

膠原病も重要な原因の1つとされており、成人スティル病、動脈炎、リウマチ性多発筋痛症関節リウマチ全身性エリテマトーデスなどが挙げられます。また、肝がん、腎がん、白血病悪性リンパ腫などの悪性腫瘍も不明熱の原因として多く報告されています。

さらに体の中に炎症が生じる家族性地中海熱や薬剤の副作用、深部静脈血栓症炎症性腸疾患、アルコール性肝硬変なども原因として知られています。なお、成人の場合、検査を繰り返しても原因が特定できないケースも10%程度存在するのが現状です。

症状

不明熱は38.3℃以上の発熱が3週間以上継続し、3日間入院して検査を行ったり、3回の外来診療を行ったりしてもはっきりした原因が分からないものと定義されています。

発熱以外にも倦怠感、関節痛などの症状を伴う場合もありますが症状の現れ方は原因によって異なるのが特徴です。具体的には、悪性腫瘍が原因の不明熱では体重減少や食欲低下、貧血などの症状が、膠原病が原因の不明熱では筋肉痛発疹(ほっしん)などさまざまな症状が現れます。

また、発熱の仕方も原因によって異なり、継続的に40℃以上の高熱が出るケースもあれば、発熱する期間と発熱しない期間を繰り返すケースもあります。

検査・診断

不明熱が疑われるときは、原因を特定するために詳細な症状や病歴・家族歴の聴取、内服中の薬の確認、聴診や触診などによる丁寧な身体診察を行う必要があります。そのうえで、次のような検査を進めるのが一般的です。

血液検査

体の中の炎症の程度を評価し、肝臓や腎臓の機能、貧血の有無などを調べます。悪性腫瘍が疑われる場合は腫瘍マーカー(悪性腫瘍の発生により体内で作られる物質)の測定、感染症が疑われるときは抗体検査、PCR検査血液培養検査などを行います。

また、膠原病が疑われる場合には自己抗体(自分の体を攻撃するタンパク質)などの有無を調べる検査も必要です。

尿検査

尿中の白血球数、血液混入の有無などを調べ、尿路感染症が疑われる場合には尿培養検査を行います。

画像検査

X線検査、CT検査、MRI検査、超音波検査、PET(FDG-PET)検査などを行います。リンパ節の腫れなどがある場合には全身性の病気の可能性があるため、全身の造影CT検査を行う場合もあります。

内視鏡検査

炎症性腸疾患など消化器系の病気が疑われるときは、内視鏡検査を行います。

病理検査

悪性腫瘍や膠原病が疑われる場合には、病変部の組織を採取して顕微鏡で詳しく観察する病理検査が必要です。

遺伝子検査

家族性地中海熱など遺伝子の変異によって引き起こされる病気が疑われる場合は、確定診断のために遺伝子検査が必要となります。

治療

不明熱の治療法は、その発症の原因によって異なるため、特定された原因に応じて適切な治療方針を決定します。

感染症が原因の場合、病原となる細菌やウイルスの増殖を抑制するために抗菌薬や抗ウイルス薬を投与します。悪性腫瘍が原因と判明した場合は、抗がん薬による化学療法や腫瘍を摘出する手術などの治療を実施します。また、膠原病と診断された場合は、炎症を抑制するステロイド薬や免疫調整薬による治療を行います。

また、不明熱に対する解熱薬(熱を下げる薬)の使用については、発熱の持続時間や程度、患者の全身の状態などを総合的に評価したうえで、慎重に判断する必要があります。

予防

不明熱の原因は多岐にわたるため、明確な予防方法はない場合もあります。

HIV感染症など免疫機能が低下する病気の方や、ステロイドホルモンなどの免疫を抑制する薬を使用している方は、真菌(カビ)など健康な人であれば問題とならない病原体に感染して不明熱を引き起こすことがあります。そのため、適切な治療の継続と感染対策を行うことで不明熱を予防できる場合があります。

また、悪性腫瘍や膠原病家族性地中海熱など不明熱を起こしやすい病気と診断された場合は、医師の指示に従った適切な治療の継続が必要です。

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