インタビュー

リウマチ性多発筋痛症とは―急に肩が痛くなる病気

リウマチ性多発筋痛症とは―急に肩が痛くなる病気
金城 光代 先生

沖縄県立中部病院 総合内科 リウマチ・膠原病・内分泌科 チーフ

金城 光代 先生

この記事の最終更新は2015年08月07日です。

リウマチ性多発筋痛症」という病名、あまり耳にしたことがない方が多いと思います。これは、原因がよくわからないけれども「50歳以上の人が、ある日急に、寝返りも打てず、とくに朝方に首から両肩にかけて痛くて肩があげられない」病気です。リウマチ性多発筋痛症について、沖縄県立中部病院の金城光代先生にお話をお聞きしました。

リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica; PMR)とは、原因はよく分からないけれども肩や頸に痛みが起こる、炎症を主体とする病気です。典型的なものとしては「50歳以上の女性または男性が急に後頭部から肩の筋肉の痛みを訴え、朝のこわばり(朝に強い症状が出ること:後述)を伴う」もので、この痛みはステロイド治療によりコントロールができます。

年齢と最も関連が高く、50歳以下の人では殆ど起こりません。リウマチ性多発筋痛症になりやすいのは50歳以上の方です。男性:女性の比率は1:2で、年齢とともに頻度は高くなり、最も多いのは70—80歳台の女性です。人口の比率としては0.5%、つまり200人に1人くらいの割合で起こる病気です。

世界的にはスカンジナビア(ノルウェー、スウェーデンなどを含むヨーロッパ北部の地方)が多く、トルコでは少ないようです。

リウマチ性多発筋痛症の原因はよく分かっていません。リスクとしては、年齢(50歳以上)との関連が最も強く、遺伝的背景や感染症後に起こりやすいなどと言われていますが、未だよくわかっていない点が多いです。

世界的なデータによれば、リウマチ性多発筋痛症の5~20%に「巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)」を合併する(伴って起こる)と言われています。この側頭動脈炎においても居住地域・人種差が明らかになっており、スカンジナビアの方々には非常に多くなります。
診断が難しいために日本における頻度は数字上では世界的なデータより少なくなります。また、側頭動脈炎の患者さんの側から見ると、半分の方はリウマチ性多発筋痛症を合併しています。このように、リウマチ性多発筋痛症と側頭動脈炎には深い関係があります。

炎症のサイクルによって、この2つの合併は以下の3パターンに分けられます。

  • リウマチ性多発筋痛症が先行してから、側頭動脈炎が出る
  • リウマチ性多発筋痛症と側頭動脈炎が同時に出てくる
  • 側頭動脈炎が先行してからリウマチ性多発筋痛症が出る

しかし、これらの原因についてまだはっきりしていません。側頭動脈炎をまったく起こさずにずっと過ごされる方もいれば、あるポイントで側頭動脈炎を起こす方もいます。

側頭動脈炎についてさらに詳しくは、別記事「巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)とは―膠原病として数少ない緊急疾患」をご参照ください。

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