概要
早産とは自然早産とも呼ばれ、37週未満で出産することの総称です。日本においては22週0日~36週6日に出産すると早産となり、発生率は全妊娠の約5%です。なお、妊娠22週未満の出産は流産と定義されます。また、早産になりかかっている状態は切迫早産と呼び、早産とは区別されます。
早産の原因には妊娠中の異常や病気、過去の早産、年齢、喫煙など、さまざまな要因が関与するとされています。
早く生まれた赤ちゃんほど重い後遺症が生じる可能性が高くなるため、早産にならないようにするために定期健診をきちんと受けていち早く異常を発見すること、そして日頃から健康的かつ快適な妊娠生活を心がけることが大切です。
種類
早産には自然早産と人工早産があります。人工早産とは、胎児や母体の健康状態が悪い場合に人為的に出産とすることです。一方自然早産は、それ以外の理由で早産になることです。その割合は自然早産が約75%、人工早産が約25%といわれています。
原因
原因が分からない場合も多いですが、分かるものでは感染や体質によるものが多いといわれています。また、妊娠中の異常や病気、過去の早産、病歴、手術歴、母体の年齢、喫煙やアルコールなどの生活習慣など、さまざまな原因が挙げられます。
妊娠中の異常・病気
感染については、主に腟から細菌が侵入することによって、腟炎から頸管炎、絨毛膜羊膜炎というように感染が上方に波及して子宮内感染が起こります。絨毛膜羊膜炎になると早産を防ぐことが難しいといわれています。また、歯周病などが原因となることもあるといわれています。
そのほか妊娠中の異常・病気として、妊娠高血圧症候群、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、胎児機能不全、子宮疾患(子宮筋腫・子宮頸管ポリープ・子宮腺筋症・子宮形態異常など)、頸管無力症、妊娠中期の頸管長短縮、羊水過多、多胎妊娠などが早産に関与しています。
既往歴
前回の妊娠で早産や切迫早産、前期破水の既往がある人、頸管無力症の既往がある人、子宮頸部円錐切除術の既往がある人は早産が起こりやすくなります。
年齢・体質・生活習慣
若年妊娠や高年齢妊娠では、適齢期での妊娠と比べて早産の可能性が高くなるとされています。また、妊婦の痩せ(低栄養)、喫煙やアルコールなどの生活習慣も原因に挙げられます。喫煙とアルコールは胎児の発育や成長に直接的な悪影響も及ぼします。
症状
早産になりそうな場合は、主に子宮の収縮(お腹の張りや下腹部・腰の痛み)が規則的に、そして頻繁に起こります。また、性器から出血がみられたり、破水が起きたりすることもあります。
検査・診断
一般的に妊娠22週以降37週未満において、まず問診で自覚症状を確認し、次に内診で性器出血や破水の有無、子宮口が開いていないかを調べます。また、経腟超音波検査で子宮頸管長の短縮を確認することもできます。胎児心拍数モニター検査で子宮の収縮を評価します。
これらの検査で、子宮収縮を認め、かつ子宮口の開大傾向がある場合に切迫早産と診断されます。
治療
早産の疑いがある(切迫早産)場合には、まず子宮口が開かないように、塩酸リトドリン(経口薬、点滴薬)や硫酸マグネシウム(点滴薬)などの子宮収縮抑制薬を投与し、子宮の収縮を抑えますが、効果と副作用の観点から長期の子宮収縮薬投与は行わない傾向にあります。子宮口があまり開いていなければ外来で治療を行うこともありますが、子宮口が大きく開いていて子宮収縮が強い場合には入院下での治療が必要です。また、生まれた後の赤ちゃんの健康状態をよくする目的で妊婦にステロイド薬が使用されることがあります。
このほか早産のリスクを下げるために、子宮内感染が疑われると抗菌薬が用いられたり、子宮頸管無力症(症状がなく子宮口が開きやすい状態)であったりする場合には頸管を縛る子宮頸管縫縮術が行われることもあります。破水が起こると赤ちゃんが細菌に感染してしまう場合があるため、抗菌薬を投与することが一般的です。妊娠34週未満に破水が起きた場合には妊娠延長を期待して管理されることがあります。
予防
切迫早産や早産を予防するためには、日頃から健康的かつ快適な妊娠生活を心がけることが何より大切です。そのうえで妊婦健診を忘れずに受け、医師からの指導があった場合には必ずその指導に従うようにしましょう。指導内容は患者によって異なりますが、たとえば痩せている人は十分かつバランスのよい食事を取ること、喫煙している人には禁煙、アルコールを飲んでいる人には断酒の指導が行われるでしょう。
また、早産の原因となる病気がある場合には、その病気の治療を行うことが予防につながることがあります。妊娠中に何かしらの異常を感じたら妊婦健診を待たずに受診しましょう。
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